国際組織犯罪に対する国際社会と日本の取組
第10回日・UNODC戦略政策対話の開催
7月3日、ウィーンにおいて、第10回日・UNODC(国連薬物・犯罪事務所)戦略政策対話が、市川恵一外務省総合外交政策局長とガーダ・ワーリーUNODC事務局長(Ms. Ghada Waly, Executive Director of the United Nations Office on Drugs and Crime)との間で開催されました。
- 市川局長から、歴史的転換期にある国際社会において、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くことや、様々な課題に直面する新興国や途上国への関与を強化することの重要性が広島G7サミットにおいて確認されたことを説明し、また、日本を含む先進国は新興国・途上国のそれぞれの状況、ニーズを踏まえたきめ細やかな協力が重要である旨述べました。
- ワーリー事務局長からは、日本の支援に謝意を表した上で、UNODCはその専門性や多くの地域事務所を有する特性を活かして組織犯罪対策、テロ、海洋安保、国境管理、腐敗対策等の幅広い分野における取組を通じて、法の支配の推進に重要な役割を果たしていることを強調しました。
- その上で、両者は、ウクライナの復旧・復興に向けた支援のあり方について意見交換し、アフガニスタンの薬物対策、インド太平洋における海上犯罪対策を始めとする日・UNODC間で実施されている協力案件を評価するとともに、テロ・暴力的過激主義対策、サイバー犯罪、薬物問題といった組織犯罪への対策、第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)で採択された京都宣言のフォローアップについて認識を共有し、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)のための新たなプランも踏まえつつ、日本とUNODCとの間の連携を一層強化していくことで一致しました。
- この対話に際し、日・UNODC共同行動計画が改定され、両者により署名されました。
1997年に「国連薬物統制計画」と「犯罪防止刑事司法計画」が統合され設立。本部はウィーン。違法薬物及び犯罪に関する調査・分析、犯罪や麻薬関連条約の締結・実施と国内法整備支援、組織犯罪・テロ対策能力向上のための技術協力を実施。
2013年に作成された日・UNODC行動計画に基づき、テロ及び組織犯罪対策のための協力を推進するために、日本とUNODCとの間で行われている対話の枠組み。
インド太平洋地域において、ルールに基づく国際秩序を構築し、自由貿易や航行の自由、法の支配といった、地域の安定と繁栄を実現する上で欠くことのできない原理・原則を定着させていくことを要諦とする外交戦略。2023年3月20日、岸田総理は、「平和の原則と繁栄のルール」、「インド太平洋流の課題対処」、「多層的な連結性」、「「海」から「空」へ拡がる安全保障・安全利用の取組」をFOIP協力の4つの柱とする、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)のための新たなプランを発表した。
国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)とは、犯罪防止・刑事司法分野における国連最大の国際会議(5年に1度開催)、UNODCが事務局を務める。日本が開催国となった第14回コングレスは、2021年3月7日から12日まで国立京都国際会館で開催され、オンライン参加も含め152の国連加盟国の代表やUNODC等の国際機関、NGO関係者の参加の下、犯罪防止・刑事司法分野の対策や国際協力の在り方について議論。同会議において、犯罪防止・刑事司法分野における国連及び加盟国の指針となる「京都宣言」を採択。