人道支援

令和4年9月29日

問1.最近、世界では大規模な災害が起きていますが、日本はどのような支援を行っていますか。

 外務省では、被災国の要請を受け、国際緊急援助隊の派遣(人的援助)、緊急援助物資の供与(物的援助)、緊急無償資金協力(資金援助)の3つを主軸として災害に対する緊急援助を行っています。

 以下、最近の事例を一部紹介します。過去の実績をご覧になりたい方はこちらをご参照ください。

【トンガ王国における火山噴火及び津波被害】

 2022年1月15日にトンガ王国で発生した火山噴火及び津波による被害に対し、日本政府は同月20日に国際協力機構(JICA)を通じた緊急援助物資の供与と、この物資を輸送するための国際緊急援助隊・自衛隊部隊の派遣を決定しました。1月22日から2月16日までの間に離島3島を含むトンガの島に緊急援助物資(飲料水及び造水した飲用水、火山灰撤去のための用具、食料品(ツナ缶)、高圧洗浄機、マスク、手押し一輪車、リヤカー、ポリタンク等)を自衛隊の輸送機と輸送艦によって届けました。また、2月4日、日本政府は、約244万米ドル(約2億6,400万円)の緊急無償資金協力を実施することを決定しました。この資金協力により、国連児童基金(UNICEF)及び国連世界食糧計画(WFP)を通じて、甚大な被害を受けたトンガの被災者に対して、水・衛生、保健、食料、通信等の分野における人道支援が実施されました。2月17日に国際緊急援助隊・自衛隊部隊の現地での活動は終了し、トンガ国王及び政府から日本からの迅速な対応に謝意が表明されました。日本としては、引き続きトンガ政府や関係国・機関等と緊密に連携し、迅速かつ中長期的な視点から支援を実施していきます。

【アフガニスタン東部における地震被害】

 2022年6月22日に発生したアフガニスタン東部を震源とする地震による被害に対し、同月24日、日本政府は、国際新月社連盟(IFRC)からの要請を受け、国際協力機構(JICA)を通じ、緊急支援物資(毛布、スリーピングパット等)を供与することを決定しました。また、7月12日、日本政府は、300万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定し、この資金協力により、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)を通じて、保健・医療、シェルター、水・衛生等の分野における人道支援が実施されました。

【パキスタン・イスラム共和国における洪水被害】

 2022年6月中旬以降、パキスタン各地での大雨による洪水の発生により、死傷者を含む多数の被災民と物的被害が生じました。日本政府は8月29日にパキスタン政府からの要請を受け、同日に国際協力機構(JICA)を通じて緊急援助物資(テント及びプラスチックシート)を供与することを決定しました。また、9月16日、日本政府は、700万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定し、この資金協力により、国連世界食糧計画(WFP)、国際移住機関(IOM)、国連児童基金(UNICEF)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)を通じて、食料、シェルター・非食料援助物資、保健・医療、水・衛生等の分野における人道支援が実施されます。

問2.国際緊急援助隊とはどのようなチームですか。

 我が国の国際緊急援助隊は、1987年から現在まで、アジア・アフリカ・中東等の50の国・地域に計161チームを派遣してきました。国際緊急援助隊は救助チーム、医療チーム、感染症対策チーム、専門家チーム、自衛隊部隊(特に必要がある場合に派遣)の5つに類別されます。さらに詳しくご覧になりたい方はこちらをご参照ください。

【救助チーム】

 外務省からの団長を含め、警察、消防、海上保安庁及びJICA等らの約75名で編成され、救助犬も参加します。主な活動内容は、地震等に起因する倒壊建物からの被災者の捜索・救出・安全な場所への搬送を含む救助活動です。

【医療チーム】

 外務省からの団長を含め、JICAに登録され必要な研修を受けた医師・看護師・薬剤師(等から編成され、被害状況や被災国のニーズに応じて、柔軟に対応できるよう体制(Type1 27名、Type2 69名)を整えています。主な活動内容として、診療所・病院を開設し、被災者に対する応急診療活動を行います。また、医療チームは国際緊急援助隊の中で最も歴史が長く、派遣回数も最多です。

【感染症対策チーム】

 外務省からの団長を含め、JICAに登録され必要な研修を受けた医師・看護師・薬剤師(等から編成されます。2014年に西アフリカで感染が拡大したエボラ出血熱への対応を踏まえ、2015年10月に設立されました。感染症に係る幅広い支援を実施するため、「疫学」、「検査診断」、「臨床・感染制御」、「公衆衛生」、「ロジスティクス」を合わせた5つの機能から構成され活動を行います。

【専門家チーム】

 被災国政府からの要請に見合った関係省庁等の専門家等から編成され、参加人数は事案により大きく異なります。主な活動内容は、災害発生の制御、災害の拡大防止のために専門的な助言・指導等です。

【自衛隊部隊】

 陸・海・空の自衛隊から自己完結的な機能を備えた部隊を派遣します。過去には、医療・防疫、輸送、給水等の実績があります。

問3.緊急援助物資としてはどのようなものが供与されていますか。

 外務省が海外で災害が発生した被災国政府からの要請を受け、緊急援助物資の供与が必要であると認めた場合、JICAは迅速に緊急援助物資を被災国に供与しています。JICAは特に需要の多い品目を迅速に被災国に供与するため、海外3カ所(シンガポール、マイアミ(米国)、ドバイ(アラブ首長国連合))の倉庫に備蓄しています。さらに詳しくご覧になりたい方はこちらをご参照ください。

【海外倉庫に備蓄している供与物資の種類】

  • (写真1)テントの画像
    テント
  • (写真2)スリーピングパッドの画像
    スリーピングパッド
  • (写真3)毛布の画像
    毛布
  • (写真4)ポリタンクの画像
    ポリタンク
  • (写真5)プラスチックシートの画像
    プラスチックシート
  • (写真6)浄水器の画像
    浄水器

問4.緊急無償資金協力とは具体的にどのような支援に使われているのですか。

 海外における自然災害や紛争の被災者・難民・避難民等を救援することを目的として、被災国政府や被災地で緊急援助活動を行う国際機関・赤十字に対し、緊急に実施される無償資金協力のことです。緊急無償資金協力は以下3つの目的のために実施されます。

【災害緊急援助】

 自然災害や、内戦等の人為的災害の被災者・難民・避難民を支援します(食料や生活必需品の供与、水へのアクセス改善等)。

【民主化支援】

 政変等の緊急事態により、発展途上国の民主化推進のために重要な意義を持つ選挙の実施に必要となる支援を行うものです(投票箱等の機材供与、有権者登録や投票所の設置の支援等)。

【復興開発支援】

 和平成立前の緊急援助から、和平成立後の開発援助へと移行する期間において、紛争当事者であった国又は地域がスムーズに復興・再建プロセスに移行できるよう、国際機関等に対し資金供与を行います(難民帰還支援、社会・経済インフラの修復支援等)。

問5.日本は世界からみて、どれだけ人道支援に貢献していますか。

 現在世界では、人道支援と保護が必要と見込まれる人は2.74億人います(出典:OCHA 2021年12月)。
 世界における日本の拠出額順位は世界第7位でその金額は10.1億ドル(2021)であり(出典:FTS 2022年9月現在)、世界の中でも主要なドナー国です。また、日本は1987年から2022年6月までに161チームの国際緊急援助隊を50カ国・地域に派遣しています(出典:外務省)。

問6.日本の緊急・人道支援は、どのような国際機関と連携して支援を行っているのですか。

 現在、国際協力局緊急・人道支援課では、以下の主要な人道関連国際機関等と連携して支援を行っています。

【主要な人道関連国際機関等】

      活動内容
WFP 国連世界食糧計画 (画像1)国連世界食糧計画 食料支援
UNICEF 国連児童基金 (画像2)国連児童基金 子どもへの支援
UNHCR 国連難民高等弁務官
事務所
(画像3)国連難民高等弁務官 事務所 難民等支援
IOM 国際移住機関 (画像4)国際移住機関 移民・避難民支援
UNRWA 国連パレスチナ
難民救済事業機関
(画像5)国連パレスチナ<br>難民救済事業機関 パレスチナ難民支援
ICRC 赤十字国際委員会 (画像6)赤十字国際委員会 紛争下の文民保護
IFRC 国際赤十字・
赤新月社連盟
(画像7)国際赤十字・赤新月社連盟の画像 災害時の救援活動
OCHA 国連人道問題調整事務所 (画像8)国連人道問題調整事務所 人道支援活動の調整
  • (注1)その他、国連平和活動局(DPO)の地雷・不発弾対策専門部局である国連地雷対策サービス部(UNMAS)を通じた人道的な地雷対策支援も行っている。
  • (注2)また、OCHAにより設置・管理されている、緊急人道支援や忘れられた危機対応のための基金(中央緊急対応基金:CERF)及び、新たな人道危機が発生又は既存の危機が悪化した国・地域における人道支援のためのプール基金(国別プール基金:CBPF)への拠出も行っている。
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