国際機関を通じた協力
有形文化遺産の保存・修復
令和4年6月21日
優れた文化遺産は、国境を越え、次の世代へ受け継いでいくべき人類共通の貴重な財産です。しかし、世界各地には、崩壊や消滅の危機にさらされている文化遺産も多く、一度失われてしまえば復元には大きな困難を伴うことから、その保護は緊急性が高いものとなっています。
日本は、1988年に竹下総理大臣(当時)がロンドンで行ったスピーチにより、「世界に貢献する日本」を実現するための「国際協力構想」を発表し、その三本柱の一つに国際文化交流の強化を挙げています。その一環として、1989年、ユネスコに世界各地の文化遺産保存を支援するための「文化遺産保存日本信託基金」を設立し、また2018年には、より多様な需要に応えるため新たな日本信託基金を設立しました。日本は、1989年から現在までにこれら二つの日本信託基金に約7,500万ドルを拠出しており、その中から世界64カ国にある計46件の遺跡について保存・修復等、支援事業を実施しています。事業の内容は、専門家の派遣、保存・修復のための具体的な工事の施工や機材の供与等多岐に亘り、特に、持続的な保存修復が可能となるよう人材育成に力を入れています。
紛争後の文化面での復興支援策の一環として行っている、カンボジアのアンコール遺跡や、アフガニスタンのバーミヤン遺跡における事業がその代表的な例です。
これらの事業は、国際的にも高い水準にある日本の保存修復技術を活用するため、日本人専門家の参加を得るとともに、将来はその国の人々が自分たちの手で自国の文化遺産を守っていかれるよう、現地の関係機関と合同で実施しています。
- バーミヤン遺跡
- アンコール・ワット
- バイヨン寺院における修復作業
(アンコール・バイヨン寺院)
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