広報文化外交

平成25年12月16日
1.概要
  • (1)12月5日、カンボジアのシエムリアップにおいて、アンコールに関する第3回政府間会議が、フン・セン・カンボジア首相による開会に引き続き、ソック・アン・カンボジア副首相兼アンコール地域遺跡整備機構総裁の議長の下で行われ、我が国からは長嶺外務審議官が日本政府代表として出席した。
  • (2)本会議では、「アンコール:生きた遺産の包括的かつ持続可能な管理」というテーマのもと、1993年の東京における第1回会議以降、国際社会がカンボジアの復興と共にアンコール遺跡救済のために成し遂げてきた20年の成果の確認と今後の展望を議論、総括として、「アンコール宣言」と右宣言の付属文書である「次の10年に向けた勧告」と題する成果文書が取りまとめられた。
  • (3)なお、本会議には、我が国に加え、フランスからフィリペッティ文化通信大臣、ラオ・ユネスコ世界遺産センター長が出席した他、豪、中、独 印、伊等、また、アジア開発銀行、ASEAN、EU UNDP、WMF等の計24カ国、10の国際機関が出席した。
2.評価
  • (1)カンボジア和平後に我が国が主導して1993年に第1回アンコール救済国際会議を東京で日仏共同議長にて開催した。これにより、当時危機に瀕していたアンコール遺跡の救済のための国際協力が始動し、2004年にはユネスコの危機に瀕した世界遺産一覧表からの削除という成果をあげた。今回20年目の節目にカンボジアが自ら第3回会議を主催し、議長を務めたことは、本件のカンボジアのオーナーシップと主体的取組を印象づけるとの見地からも意義があった。なお、2003年にはパリで第2回会議が日仏共同議長で開催された経緯がある。
  • (2)本会議は、フン・セン首相、ソック・アン副首相の他、長嶺外務審議官と仏文化通信大臣等の出席を得て、カンボジア側の議事振りにより、成果文書として今後10年間の取組につき「アンコール宣言」等を取りまとめることができ、閣僚級会議として成功裡に終えることができた。
  • (3)「アンコール宣言」等では、カンボジア側の主体性強化の必要性等について改めて確認するとともに、観光地としての問題、環境・気候変動問題、貧困削減等の新たな課題にも対応するべく、アンコール地域の持続可能な管理、無形文化遺産を含む生きた遺産としての保護を考慮して包括的に遺跡保存に取り組んでいく方向性が示されたことは重要である。
  • (4)我が国代表として出席した長嶺外務審議官は、これまでの日本の貢献に鑑み、本会議においてカンボジア側から閣僚級としての扱いを受け、我が国は多数の国々・国際機関の関わる国際協力の場において重要かつ不可欠な存在として大きなプレゼンスを示すことが出来た。
  • (5)特に、アンコール遺跡保護にかかる国際協力を現地で調整する国際調整委員会での日仏によるこれまで運営に謝意が表され、日仏共同議長体制が継続することとなった他、出席者から昨年11月に京都で開催された世界遺産条約採択40周年最終会合の成果物である「京都ビジョン」への言及があったなど、アンコール遺跡保護と共に、世界遺産条約に対する我が国の積極的な取組及び貢献を印象付けることができた。
  • (6)また、本会議は、11月の安倍総理のカンボジア訪問直後及び日・ASEAN特別首脳会議に出席するフン・セン首相の公式訪問直前に開催された。長嶺外務審議官によるハシモニ・カンボジア国王謁見、フン・セン同首相及びソック・アン副首相との会談が時宜を得て実現したことは、外交関係樹立60周年となる日・カンボジア関係の観点からも大きな成果であった。
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