ロシア連邦

平成28年4月15日
日露外相会談1
日露外相会談2

 4月15日午後3時30分から約1時間50分間,岸田外務大臣は,訪日中のラヴロフ・ロシア外務大臣と外務省飯倉別館にて会談し,その後共同記者会見を挟み,午後8時過ぎまで約1時間半ワーキングディナーを行った。

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1 日露関係全般

(1)両外相は,首脳レベルを含め,日露で対話が活発に行われていることを歓迎し,近く行われる安倍総理の非公式訪露に向けて,具体的な日程も含め,様々な調整と準備を精力的に進めていくことで一致した。その上で,平和条約締結交渉を含む政治,経済,文化等の様々な分野で成果を出せるよう,プーチン大統領の訪日に向けた準備を進めることを確認した。

(2)ラヴロフ外相から,日露関係を全ての側面で発展させたい旨述べ,また14日に発生した熊本地震の被害者へのお見舞いが述べられた。

(3)本年に入り,自民党の高村副総裁,稲田政調会長が訪露し,6月にはナルィシュキン国家院議長が訪日予定であるなど,議員・議会間交流が活発に行われており,このような交流は相互理解の促進に有意義であるとの評価で一致した。

2 平和条約締結問題

(1)平和条約締結問題については,昨年9月の日露外相会談でのやり取りも踏まえ,双方に受入れ可能な解決策を作成していくべく,今後の交渉に弾みを与えるような前向きな議論が行われた。

(2)そうした議論の結果,日露両首脳の指示の下,継続して行っている平和条約締結交渉を,総理訪露後のできるだけ早い時期に行うことで一致し,今後外交ルートを通じて日程を調整していくこととなった。

3 その他の二国間関係

(1)安全保障分野

 双方の安全保障政策や情勢認識を確認するとの観点から,両国外務省ハイレベルの実務者による安全保障に関する協議を行うことで一致した。

(2)経済分野

(ア)ラヴロフ外相から,貿易経済分野の協力への関心が示され,岸田大臣から,「日露中央アジア交流促進会議」等を通じた日本側の取り組みを紹介した。

(イ)岸田大臣から,さけ・ます流し網の代替漁法について,本年以降のロシア水域での操業機会を確保すべく,操業の具体的形態に関する議論へのロシア側の協力を求めた。また,東日本大震災に伴い,露側が導入した日本産水産物の輸入規制の早期撤廃・緩和実現,日本産牛肉の輸出可能施設への追加を求めた。

(3)文化・人的交流

 文化・人的交流・青年交流は,両国国民間の相互理解の促進の観点から有意義であることで一致。岸田大臣から,人的交流の活性化の観点から,査証緩和を戦略的に検討しており,ロシアも検討の対象に含まれていることを紹介した。

(4)その他

 四島への墓参,自由訪問及び四島交流事業に関し,人道的な見地からも,各事業の円滑な実施が重要であることを確認した。
 シベリア抑留問題に関し,岸田大臣から,死亡者名簿や埋葬地等に関する資料提供等で引き続きロシア側の協力を得たいと述べ,ラヴロフ外相もこれに同意した。

4 国際情勢

(1)ウクライナ

 岸田大臣から,ウクライナ情勢の改善に向け,全ての当事者によるミンスク合意の履行が不可欠である旨指摘しつつ,ロシア側の建設的な対応を求めた。

(2)北朝鮮

 両外相は,北朝鮮の核実験弾道ミサイルの発射は国際社会全体に対する脅威であり,北朝鮮が更なる挑発活動を行わないよう,日露で連携して自制を強く求めることで一致した。岸田大臣から,先般採択された安保理決議の厳格な履行を通じて北朝鮮に対する圧力を強化すべきであり,核,ミサイル,拉致といった諸懸案の包括的な解決に向けて協力したい旨言及し,ラヴロフ外相から,北朝鮮を巡る強い懸念を共有するとして,今後とも日露で協力していきたい旨反応があった。

(3)中東情勢

 シリア情勢について,国連の下でのシリア政府と反体制派の協議が進展し,政治的解決につなげることが必要との認識で一致した。


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