「中央アジア+日本」対話

令和元年5月18日
(写真1)「中央アジア+日本」対話・第7回外相会合 「中央アジア+日本」対話・第7回外相会合
(写真2)「中央アジア+日本」対話・第7回外相会合 「中央アジア+日本」対話・第7回外相会合
(写真3)「中央アジア+日本」対話・第7回外相会合 「中央アジア+日本」対話・第7回外相会合

 本18日(土曜日),河野太郎外務大臣は訪問中のタジキスタンにおいて「中央アジア+日本」対話・第7回外相会合に出席したところ,概要は以下のとおりです。

1 冒頭セッションでは,議長国タジキスタンのムフリッディン外相の歓迎の言葉の後,河野大臣から,日本は,中央アジア諸国の(1)「開かれ」,(2)「安定し」,(3)「自立した発展」を後押しし,地域協力の(4)「触媒」としての役割を引き続き果たしていくとの日本の対中央アジア外交の基本方針を改めて強調しました。その上で,河野大臣から,日本は,近年の中央アジアにおける地域協力のダイナミズムを高く評価しており,本日の会合が,中央アジア地域協力の気運を一層高める機会となるように力を尽くしたい旨述べました。
 各国参加者からは,15年にわたる「中央アジア+日本」対話の下での有益な協力をはじめ,上述の4つの柱に基づく日本の対中央アジア外交の方針を高く評価する旨の指摘がありました。

2 第一議題の観光分野については,河野大臣から,シルクロードの遺産や自然に恵まれた中央アジアには,観光振興を通じてさらに発展する高い潜在力があるが,これを十分に活かすためには諸国間の連結の改善が大きな鍵となる旨述べました。その上で,河野大臣より最近の各国間の国境ポイントやフライトの再開などの肯定的な動きを評価する旨述べるとともに,地域各国間の一層の連携を呼びかけました。また,河野大臣より,中央アジアの観光振興のための取組として,域内航空便の連結性強化,日本旅行業協会(JATA)との提携,中央アジア域内の共通査証の導入等を提案しました。
 各国参加者からは,観光面での潜在性の高さに触れつつ,地域間での協力の重要性についての認識を共有し,上述のような中央アジアの観光振興のための取組を実際に進めていることにつき紹介がありました。また、日本に対する知見の提供や人材育成のための協力に関する期待が示されました。

3 第二議題の貿易・投資・開発については,河野大臣から,日本企業の進出を促すためには,中央アジア各国が安定的かつ予見可能なビジネス環境を整備することが重要である旨述べ,その関連でタジキスタン,キルギス,トルクメニスタンとの投資協定の交渉を加速すべく各国の協力を求めました。また,河野大臣から,インフラの開発が,開放性,透明性,経済性及び対象国の財政健全性といった国際スタンダードに合致したものであることの重要性を強調するとともに,日本として,人材育成等も通じ,日本らしいやり方で地域の連結性とインフラの強靱性が高まるよう協力していく旨述べました。
 各国参加者からは,それぞれの国で進められている経済改革の取組等について説明があるとともに,日本からの投資や日本との貿易の拡大に向けた期待が示され,これまで「中央アジア+日本」対話の枠組で行われたビジネス対話などの活動に歓迎の意が示されました。また,国際スタンダードに則った質の高いインフラづくりに向けた協力の重要性と日本の貢献に対する評価が示されました。

4 第三議題の地域安全保障・地域協力については,河野大臣から,グローバルな課題であるテロとの闘いや麻薬対策の観点から,中央アジアとアフガニスタンの安定は国際社会全体の安全に密接に関連しており,こうした課題への対処には,地域協力が不可欠である旨指摘するとともに,この認識の下,日本政府は,中央アジア諸国及びアフガニスタンに対する国境管理強化等の支援を引き続き実施していく旨述べました。これに対し,各国参加者からは,地域協力がアフガニスタンのみならず地域の発展に重要であることが強調され,テロに加え,経済復興のための協力を進めることへのコミットメントが表明されました。
 ゲスト参加したラバニ・アフガニスタン外務大臣からは,日本のアフガニスタンの平和と復興に向けた長年の支援への深い感謝の念が示されました。また,和平プロセスの進展に向けた決意が表明されるとともに,テロや麻薬の脅威に対し,地域が協力して取り組む必要性が強調されました。
 また,そのほかの国際社会の課題についても有意義な議論を行い,緊密に連携していくことで一致しました。河野大臣からは拉致問題を含む北朝鮮の問題について取り上げ,各国の理解と協力を求めました。

5 閉会セッションでは,議長のムフリッディン・タジキスタン外務大臣からの総括発言に続き,河野大臣から,2015年10月の安倍総理の中央アジア歴訪からの約3年半の間に日本との間で中央アジアの間で実施または計画されている民間プロジェクト等の事業総額が計約2.8兆円に上ること,日本の8つの大学・研究機関と中央アジアの16の大学・研究機関との間の交流が深まっていること,東京オリンピック・パラリンピックに向け12の自治体が中央アジア各国選手の受け入れ準備を進めていることを紹介しました。また,中央アジア各国の独立以来1万人以上が日本で研修を行い,3,400人以上の日本の専門家が各国に派遣された点も紹介しました。その上で,今次会合で署名された共同声明(PDF)別ウィンドウで開く及び行動計画(PDF)別ウィンドウで開くに基づき,今後とも着実な協力を進めていきたい旨述べました。
 日本が「中央アジア+日本」対話の次期議長国となることで一致し,河野大臣から,地域協力の一層の促進に貢献すべく,議長国として尽力していくとの決意を表明しました。

  • (写真4)共同声明署名式1
    共同声明署名式
  • (写真5)共同声明署名式2
    共同声明署名式
  • (写真6)共同記者発表1
    共同記者発表
  • (写真7)共同記者発表2
    共同記者発表
  • (写真8)共同記者発表3
    共同記者発表

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