アジア欧州会合(ASEM)

平成27年11月9日

11月5日~6日,ルクセンブルクにて,アジア欧州会合(ASEM)第12回外相会合(FMM12)が開催され,我が国より岸田外務大臣が参加した。51か国・2機関の外相等が一堂に会し,「持続可能で安全な未来のための協働」のテーマの下,「気候変動,持続可能な開発のための2030アジェンダ,防災/災害リスク管理」(全体会合第1セッション),「連結性及びASEMの将来」(全体会合第2セッション)及び「国際・地域情勢」(リトリート)に関して議論が行われたところ,概要以下のとおり。また,この機会に,日EU外相会談,日パキスタン外相会談,日ルクセンブルク外相会談,日独外相会談及び「V4(ハンガリー,ポーランド,チェコ,スロバキア)+日本」外相会談が行われた。

1 気候変動,持続可能な開発のための2030アジェンダ,防災/災害リスク管理(全体会合第1セッション)

(1)冒頭,議長であるモゲリーニEU外務・安全保障政策上級代表より導入の発言があった後,全体会合第1セッションの一番目のリードスピーカーとして,岸田大臣より,気候変動への対応に関し,COP21での新たな国際枠組みに長期目標や排出削減目標の定期的見直し等を含むこと及び途上国支援の重要性を指摘。また,持続可能な開発のための2030アジェンダの着実な実施のための国際社会の協力の必要性及びASEMにおける防災分野での知見の共有等の協力につき発言。

(2)その他,上記を含め,計27か国・2機関から発言があり,多くの国からCOP21の成功に向け,野心的かつ法的拘束力のある合意に向けての更なる努力の必要性が指摘され,特に途上国からは合意を実施する上での資金提供や技術支援の重要性に言及があった。また,多くの国から,気候変動,2030開発アジェンダ及び防災の関連性につき指摘があり,自然災害が頻発するアジア諸国からは災害に対する強靱性を持つための能力強化,「仙台防災協力イニシアティブの実施」の必要性を述べた。

2 連結性及びASEMの将来(全体会合第2セッション)

(1)冒頭,議長より導入の発言があった後,計30か国・1機関から発言。多くの国から,連結性はASEMの協力を体現するものである,インフラや運輸のみならず,貿易・投資,デジタル面,人的交流,教育及び文化等幅広い概念を含むものであって,明年のASEM創設20周年に向け協力を具体化していくべき等の発言があった。また,法の支配も連結性との観点から重要として,紛争の対話による解決,南シナ海の現状への懸念が複数国から示された。

(2)我が国からは,ASEMが創設20周年を迎えることを踏まえ,ASEMの活動を賞賛するとともに,緩やかな対話と協力の枠組みというASEMの特徴を重視する旨発言。また,連結性の重要性を指摘の上,特に連結性の一分野である観光分野における協力推進を奨励,法の支配も重要な観点であるとのコメントをした。

3 国際・地域情勢(リトリート)

(1)中東・北アフリカ情勢,テロ及び過激主義への対応,移民・難民,欧州・アジアにおける地域安全保障の状況につき議論が行われた。

(2)岸田大臣からは,シリア情勢の安定化を含む中東の平和と安定のための取組み,ISILを始めとするテロと暴力的過激主義への対応としての我が国の人道支援及び人・国づくり支援,難民・移民問題への協力,ウクライナ情勢に係る我が国の立場及び支援,南シナ海及び東シナ海情勢,北朝鮮の拉致問題に関する我が国の懸念並びに法の支配に基づき国際社会が一致団結して対応する必要性につき発言した。

(3)南シナ海については,多くの国より,大規模な埋立てを含む現状への懸念が示され,航行の自由,国際法に基づく紛争の解決の重要性等につき発言があった。また,北朝鮮の核開発問題,人権状況の改善についても複数の国から発言があった。

(4)中東情勢,難民問題についても多くの国が発言をした。特に,中東情勢の安定化のための努力の継続,難民をめぐる人道的状況への対処の緊要性,過激主義に対応するための対話の必要性などにつき指摘がなされた。

アジア欧州会合第12回外相会合(ASEM FMM12)議長声明(骨子(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英語 (PDF)Open a New Window


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