欧州連合(EU)
日EU外相会談


11月4日20時25分から22時05分(現地時間)まで、約1時間40分、ASEM外相会合に参加するためルクセンブルクを訪問中の岸田文雄外務大臣は、フェデリカ・モゲリーニEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長との間で夕食を交えつつ、日EU外相会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 ASEM
岸田大臣とモゲリーニ上級代表(ASEM第12回外相会合議長)は、ASEM外相会合の成功に向けて協力していくことで一致し、今次外相会合で期待する成果について意見交換を行いました。
2 地域情勢
(1)東アジア
岸田大臣とモゲリーニ上級代表は、東アジア情勢についても意見交換を行いました。岸田大臣から、日中韓サミットに関し説明する中で日中韓3か国は、地域の平和と繁栄、国際社会の安定に、大きな責任を有する、今次サミットを通じ、日中韓の協力プロセスを正常化させることができたことは、大変大きな成果であり、今回の前向きな議論を、次回議長国として、明年の日本でのサミットにつなげていきたい等述べました。モゲリーニ上級代表は、日中韓首脳会談が行われたことを歓迎し、同プロセスが継続することを支持する旨述べました。また、岸田大臣から,南シナ海、北朝鮮を含む最近の東アジア情勢について我が国の基本的立場を説明し、国際法に基づく問題解決の重要性を含め、モゲリーニ上級代表との間で認識が一致しました。
(2)シリア
モゲリーニ上級代表より、シリア情勢はテロや難民等の問題にもつながる欧州にとって最重要課題であるとして、最近のウィーンにおける会合について説明がありました。これに対し、岸田大臣より、ウィーンにおける一連の会合を注視している。日本としても人道支援と政治対話に貢献していきたい旨述べ、双方で情報交換を高め一層連携していくことで一致しました。
(3)イラン
岸田大臣から、イランとの交渉に関するモゲリーニ上級代表の努力に敬意を表し、先日の自らのイラン訪問について説明しました。また、核問題に関する最終合意が「採択の日」を迎えたことを歓迎しており、日本としても最終合意の枠組みで貢献し、EUとも連携していきたい旨述べました。
(4)ウクライナ
モゲリーニ上級代表より、最近のキエフ訪問について説明があり、岸田大臣より、引き続きウクライナ情勢を注視していること、また、日本はG7次期議長国として引き続きG7の連帯を重視し、EUとも協力しつつ、ウクライナ情勢の平和的解決に向けての努力に貢献する考えである旨述べました。
3 日EU関係
(1)岸田大臣とモゲリーニ上級代表は、共通の価値を共有するパートナーとして、安全保障、経済及びグローバル課題につき対話と協力を引き続き進めていくことで一致しました。モゲリーニ上級代表からは、特に来年以降日本は国連安保理非常任理事国を務め、かつ来年はG7議長国でもあり、国際社会の諸問題につき、一層の協力・連携を行っていきたい旨述べました。
(2)岸田大臣は、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の考え方と先般成立した平和安全法制について説明し、モゲリーニ上級代表より、「平和安全法制」の成立に祝意を述べ、国際社会の平和と安全に対する日本の一層の貢献への期待が示されました。
(3)また、双方は、本年の定期首脳協議にて日EU・EPAの本年中の大筋合意及びSPAの早期妥結を目指すこととしたことを踏まえ、スピードと質の両方を重視しつつ、交渉を更に加速していくことで一致しました。
(4)岸田大臣から、EUによる福島県産食品等の輸入規制の見直しについて欧州委員会による改正規則案の早期採決への協力を働きかけ、モゲリーニ上級代表からは、EU側の検討状況につき説明がありました。