世界貿易機関(WTO)
世界貿易機関(WTO)非公式閣僚会合
平成28年6月8日
6月2日,パリにおいてWTO非公式閣僚会合(豪州主催,於:OECD本部内)が開催されたところ,概要以下のとおり。我が国からは高木経済産業副大臣,濵地外務大臣政務官及び佐藤農林水産大臣政務官が出席した。
1 出席者(30か国・地域及びWTO事務局から出席)
ブレンデ・ノルウェー外務大臣(議長),アゼベドWTO事務局長,フロマン米国通商代表,マルムストローム欧州委員他,アルゼンチン,豪州,ベナン、ブラジル,カナダ,チリ,中国,コロンビア,コスタリカ,香港,アイスランド,インド,インドネシア,イスラエル,韓国,リヒテンシュタイン,モーリシャス,メキシコ,モロッコ,NZ,ノルウェー,パキスタン,パナマ,ペルー,スイス,台湾及びトルコから代表が出席。
2 議論の概要
- (1)冒頭,アゼベドWTO事務局長から,第10回WTO閣僚会議は成功であったこと,成果を出し続けることが必要として,「取り進め方」と「中身」双方の具体的詳細が必要と発言。
- (2)今次会合では,第11回WTO閣僚会議とその後に期待される成果とそれを実現するための方法について議論がされた。
- (3)各国からは,まずは「既存の合意の確実な実行」が必要であること、「熟慮から行動」へ移す必要性、「政治の関与を増やす必要性」及びジュネーブでの議論を加速させる必要性等が述べられた。また、一部の国からは開発や農業を含むドーハラウンドの既存の課題の重要性が主張されたが,一方で新たな課題(電子商取引,競争政策,中小企業,投資等)を具体的に取り上げたいとの言及も多くなされた。
- (4)環境物品協定(EGA)交渉や新サービス貿易協定(TiSA)交渉等の複数国間(プルリ)交渉についても,早期に具体的な成果を出せるものとして,その早期妥結の重要性につき言及がなされた。
- (5)我が国からは概要以下のとおり発言した。
- 高木経産副大臣:環境物品交渉をG20杭州サミットまでに妥結する必要あり。7月のG20上海貿易大臣会合を節目に,品目合意に向け最大限努力すべき。環境物品の関税撤廃はWTO加盟メンバー全てに貢献し,環境問題の解決にも資する。交渉未参加メンバーにも参加を呼びかける。また,我が国は,デジタル貿易の議論に貢献すべく,議論の叩き台となる提案を夏までに作成する用意がある。
- 濵地外務大臣政務官:自由貿易への信頼が揺らぐ中,G7伊勢志摩サミットでは保護主義抑止の力強いメッセージを発出。自由貿易は途上国の成長・開発にも貢献する。これまでの古いやり方では対立しか生まなかった。新たな課題にも取組みつつ,柔軟性と具体性をもつ「新しいアプローチ」によりWTOの交渉機能の強化を図るべき。同時に,現在の取組で具体的成果を出すことも必要であり,貿易円滑化協定(TFA)の早期発効とTiSA年内妥結を目指すべき。
- 佐藤農水大臣政務官:農業交渉について,各メンバーが実行可能な、柔軟性のある簡素な規律を目指すべき。