核軍縮・不拡散
第32回アジア輸出管理セミナー
冒頭挨拶を行う中村仁威外務省軍縮不拡散・科学部長
外務省による不拡散の取組について発表を行う古本建彦外務省不拡散・科学原子力課長
2026年2月3日から5日まで、第32回アジア輸出管理セミナーが一般財団法人安全保障貿易情報センターの主催、外務省及び経済産業省の共催により開催され、29の国・地域と5つの国際機関等から約130人が参加しました。
1 背景
アジア各国・地域が経済成長に伴い、生産拠点や中継貿易地として発展を続ける中、大量破壊兵器等に転用可能な物資・技術にかかる懸念国等による違法な調達活動に意図せず関わる危険性が高まっています。特に、昨今のサプライチェーンの複雑化や汎用技術の増大、厳しさを増す地域・国際情勢を背景に、輸出管理を含む不拡散の重要性が増しています。本セミナーはこうした状況を踏まえ、アジア各国・地域の輸出管理担当者の認識向上と能力構築を図り、我が国の安全保障にも直結するアジアの不拡散体制を強化することを目的に平成5年から開催されています。
2 概要
(1)輸出管理制度の最新動向
日本、EU、シンガポール及びフィリピンから、近年の安全保障上の課題を踏まえた各国・地域の取組が紹介されました。具体的には、経済安全保障が輸出管理に与える影響、デュアルユース品目の軍事転用リスクの高まり、先端半導体やAI、量子等の新興技術を巡る適切な輸出管理の在り方、アジア、特にASEAN地域での輸出管理の協力の重要性など、輸出管理を巡る諸課題への各国の取組について意見が交わされました。
(2)アジア各国・地域の輸出管理制度
タイ、バングラデシュ、ラオス、カンボジア、マレーシア及びパキスタンから、各国の最新の輸出管理に係る取組や課題について共有されました。
具体的には、国連安保理決議第1540号等を踏まえた法制度整備や、キャッチオール規制、リスクベース審査の導入、輸出管理内部規程(ICP)の普及などを通じ、輸出管理制度の実効性向上を図っていることが紹介されました。また、産業界・アカデミアへのアウトリーチや人材育成とともに、国内関係機関の人員・執行体制の確保や連携強化の必要性など各国が抱える課題についても言及がありました。
さらに、電子申請などのデジタル化を通じた審査・執行の高度化や、貿易円滑化と安全保障の両立に向けた取組についても意見が交わされました。
(3)AIや経済発展と輸出管理との関わり
2名のシンクタンクの専門家から、ア AI及びその関連技術に関する輸出管理上の課題や、輸出管理手続上の審査及びリスク評価でのAI活用の可能性、イ 輸出管理制度の導入による経済的効果や経済発展に与えるポジティブな影響について、それぞれ講演が行われました。
(4)無形技術移転
オランダ、ノルウェー、韓国、カナダ及び日本から、大学・学術機関へのアウトリーチ強化、クラウドコンピューティングへの対応、政府と産業界の積極的な情報共有の促進など、無形技術移転の適切な管理に関する最新の取組が紹介されました。
(5)輸出審査
英国、ドイツ、ルクセンブルク及びフィリピンから、各国の審査方針及びプロセス、リスク評価の省庁間連携など各国の審査制度の概要や人材育成等の課題について説明がありました。
(6)法執行と遵守
豪州、スイス、インド及び日本から、輸出管理に関連する法制度の執行や遵守に関する取組として、産業界へのアウトリーチ、輸出者コンプライアンスの強化や違反事例などについて説明がありました。
(7)国際機関及び国際輸出管理レジームの発表
日本、国連軍縮部及び学術機関から、大量破壊兵器の拡散防止に向けた、拡散に対する安全保障構想(PSI)や国連安保理決議第1540号に関連した最新の取組、アウトリーチ活動等について説明がありました。また、原子力供給国グループ、オーストラリア・グループ、ミサイル技術管理レジーム、ワッセナー・アレンジメントの各国際輸出管理レジームについて、それぞれの議長や事務局長などから、各レジームの役割や、技術の進展等を踏まえた最新の取組について説明がありました。
参加国・地域・国際機関等
(1)アジア(13か国・地域)
日本、バングラデシュ、カンボジア、インド、ラオス、マレーシア、パキスタン、フィリピン、韓国、シンガポール、台湾、タイ及びベトナム
(2)アジア域外(16か国・地域)
豪州、オーストリア、カナダ、チェコ、エストニア、EU、フィンランド、フランス、ドイツ、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、トルコ、ウクライナ、英国及び米国
(3)国際機関等(5団体)
国連軍縮部、オーストラリア・グループ、原子力供給国グループ、ミサイル技術管理レジーム及びワッセナー・アレンジメント

