核軍縮・不拡散
国際原子力機関(IAEA)第70回総会
9月14日から18日まで、ウィーンにおいて国際原子力機関(IAEA)第70回総会が開催されたところ、概要は以下のとおりです。
1 小野田内閣府特命担当大臣による一般討論演説
2 第70回総会の主要な議題
(1)北朝鮮の核問題
以下を主な内容とする決議が賛成多数で採択されました。
- 北朝鮮に対して、全ての核兵器及び既存の核計画の完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法での廃棄に向けた具体的な措置をとり、全ての関連活動を直ちに停止するよう強く求める。
- 全ての加盟国が、関連する国連安保理決議に従って、自らの義務を完全に履行することの重要性を強調する。
- 北朝鮮に対して、NPTの義務を完全に遵守し、IAEAによる保障措置の実施に対し迅速に協力するよう求める。
同決議の採択に当たり、日米韓3か国は共同ステートメントを実施し、国連安保理決議に沿った朝鮮半島の完全な非核化への確固たるコミットメントにおいて団結している旨表明しました。また、北朝鮮の核・ミサイル活動は、複数の国連安保理決議に違反しており、北朝鮮に対して、全ての核兵器、既存の核及び弾道ミサイル計画を完全に廃棄するための具体的な措置をとるよう強く求めました。また、北朝鮮とロシアの間の軍事協力に深刻な懸念を表明し、全ての加盟国に対し、関連する国連安保理決議の完全で、包括的で、速やかな実施を求めました。さらに、IAEA事務局による検証能力及び態勢強化の継続した取組への感謝及び支持を表明しました。
(2)中東におけるIAEA保障措置の適用
以下を主な内容とする決議が賛成多数で採択されました。
- 全ての中東域内国に対してNPTへの加入及びIAEA保障措置に関連する国際的な義務の遵守を求めるとともに、全ての関係国に対して域内の非核兵器地帯設立に向けた取組を求める。
(3)ウクライナにおける原子力安全、核セキュリティ及び保障措置
以下を主な内容とする決議が賛成多数で採択されました。
- ウクライナの原子力施設に対する、また、これらの施設における全ての行為を直ちに停止するよう求め、ザポリッジャ原発から軍事要員およびその他の人員を撤退させるよう求める過去のIAEA理事会及びIAEA総会決議にロシアが留意していないことに懸念を表明する。
- 特に、公式に認められていない軍事要員等がザポリッジャ原発から即時撤退すること及びウクライナ当局の管理下へ同原発を迅速に戻すことを呼びかける。
- IAEA事務局長による7つの柱及び5つの原則を含むウクライナにおけるIAEAの原子力安全等確保の取組を評価・支持する。
(4)技術協力、原子力安全、核セキュリティ、原子力科学技術・応用及び保障措置に関する決議
技術協力、原子力安全、核セキュリティ、原子力科学技術・応用及び保障措置に関する決議は、そのいずれについても、加盟国間の意見がまとまらなかったため採択には付されず、過去の決議の有効性を確認(ロールオーバー)する形となりました。議長からは、それぞれの決議について、次回の総会でコンセンサスを得るため、検討を早期に開始する旨の声明が発出されました。
3 IAEA及び他国政府代表とのバイ会談
小野田内閣府特命担当大臣は、我が国政府代表として、グロッシーIAEA事務局長、バラバスキ・イーター(ITER)機構長、エティアンブル・フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)長官とそれぞれバイ会談を実施しました。
グロッシー事務局長とは、ALPS処理水の海洋放出におけるIAEAの継続的な関与、北朝鮮やイランの核問題の解決に向けた日本及びIAEAの取組等について意見交換を行いました。
バラバスキ・イーター機構長との会談では、9月12日に行われたイーターの視察について謝意を述べるとともに、今後のイーター計画の取組等について意見交換を実施しました。
エティアンブル・フランスCEA長官との会談では、高速炉開発や核燃料サイクルをはじめとする両国の原子力協力等について、意見交換を実施しました。
4 日本政府主催レセプション
小野田内閣府特命担当大臣は、日本政府主催レセプションを開催しました。レセプションでは、小野田大臣及び海部在ウィーン代表部大使から挨拶を行い、参加した各国代表団や国際機関関係者等に対し、東北・福島の食や観光を含む日本の魅力、ALPS処理水及び除去土壌の安全性、並びに原子力の平和的利用における日本の取組をPRしたほか、福島県産農産品を使った食品や日本酒を紹介しました。
5 サイドイベント
日本政府は、IAEA総会の機会を捉え、サイドイベントを主催しました。
- 原子力の損害に対する補完的補償に関する条約(CSC)—グローバルな賠償制度の構築を目指して—
日本、米国及びカナダの共催で開催し、日本からは上坂充原子力委員会委員長が開会挨拶を行いました。本イベントでは、原子力損害に関する国際的な賠償制度の構築を目指す上でのCSCの重要性について発信するとともに、2026年1月に、事故発生時に一定額を超える損害が発生した場合における締約国からの拠出金の支払い義務に関し、原子炉を保有していない国全てについてこれを撤廃する改正を行ったことを紹介しました。この改正により、原子炉を保有していない国を中心にCSCを締結する国が増加し、国際的な原子力損害賠償制度が一層普遍化することが期待されます。本サイドイベントは、CSC改正の早期発効への機運の醸成及びCSCの締約国数拡大に向け、各国の理解促進に貢献しました。 - 核医学分野における人材育成
本サイドイベントは、ルテニウム177やアクチニウム225などの放射性同位体を用いた核医学治療の普及が見込まれる中、核医学分野の人材不足という課題解決のため、医師や看護師などの医療従事者の若手人材に核医学分野をアピールすることを目的として開催されました。日本からは核医学専門医の認証制度、IAEAからは教育プログラム、ドイツからは核医学専門医、他の医療従事者及び原子力災害医療従事者研修等の取組について紹介した上で、人材育成プログラムの標準化と調和の重要性についてパネル・ディスカッションを行いました。 - 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉と福島の復興
本サイドイベントでは、東日本大震災から15年が経過し、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉及び福島の復興が地域・国際社会の協力の下で着実に進んでいることを発信しました。経済産業省、東京電力、環境省及び原子力規制委員会から、福島復興に関する進捗の概観、東京電力福島第一原子力発電所における廃炉の現状、オフサイトにおける環境再生の取組、事故調査・解析の目的と成果、陸域・海域の放射線状況の従来と今後について説明しました。IAEAからは、ALPS処理水の海洋放出に関連して、「IAEAレビューは独立性・公平性・透明性を備え、科学的かつ国際的な安全基準に照らして行われており、本レビューを通じて放出の安全性が確認されている」との見解が示されるとともに、本年7月に実施されたIAEA及び専門家による現地訪問に関する報告が行われました。 - 日本から米国への高純度低濃縮ウラン(HALEU)移送
本サイドイベントは米国エネルギー省(DOE)及び国家核安全保障局(NNSA)が文部科学省(MEXT)及び日本原子力研究開発機構(JAEA)が米国エネルギー省(DOE)及び国家核安全保障局(NNSA)との共催する形で開催されました。同イベントでは、本年、日本から米国へHALEUが成功裏に移送されたことがハイライトされました。また、長年にわたる日米の核不拡散協力が本取組につながった旨、そしてこの取組が米国の原子力の未来を強化する旨紹介されるとともに、今後実施する予定の近畿大学原子炉UTR-KINKIの核燃料の低濃縮化及び高濃縮ウラン返還などの取組の重要性を紹介しました。 - 日本ブースにおける展示
日本ブースにおいて、日本原子力研究開発機構や日本企業の最新の技術開発の状況等を紹介するとともに、東京電力福島第一原子力発電所における廃炉の進捗を紹介するコンテンツを展示し、世界各国のIAEA総会参加者への積極的な情報提供を行ったほか、福島の復興の現状や観光・食の魅力を伝えるべく、復興庁との協力で福島の産品を使った食品や飲料を紹介し、復興に向かって進む福島をアピールしました。食品紹介では、福島産米を使ったおにぎりを提供し、日本ブースを訪れたグロッシー事務局長を始め、多くの方に御賞味いただき、好評を頂きました。
上記のイベントを主催したほか、IAEA主催の「Rays of Hope」をテーマとした科学フォーラムにおいて、上坂原子力委員会委員長から「Rays of Hope」イニシアティブにおける日本の取組について、財政貢献や国際貢献に関する好事例を紹介しました。また、人的貢献について、我が国として世界各国における持続的な医療体制の構築を目的とした人材育成に協力していることを紹介しました。

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