核軍縮・不拡散
第26回アジア輸出管理セミナー

2月26日から28日まで東京で,第26回アジア輸出管理セミナーが一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)の主催,外務省及び経済産業省の共催により開催され,32か国・地域と国際機関等から約200人が参加しました。
1 背景
アジア各国・地域は経済成長に伴い,大量破壊兵器等に転用可能な物資・技術の生産拠点や中継貿易地として発展を続けており,懸念国等による違法な調達活動に意図せず関わる危険性が高まっています。本セミナーはこうした状況を背景に,アジア各国・地域の輸出管理担当者の認識向上と能力構築を図り,日本の安全保障にも直結するアジアの不拡散体制を強化することを目的に平成5年から開催されています。
2 概要
(1)開会挨拶
冒頭,阿部俊子外務副大臣が挨拶し,不拡散に関する取組は,北朝鮮の問題を含め,関連する安保理決議においても各国の責務として求められており,その柱の一つである輸出管理における国際的な連携のために本セミナーを活用して欲しいと述べました。
(2)アジアの輸出管理強化に向けて
輸出管理の実効性強化をテーマにパネルディスカッションが行われ,日本,米国,インド,フィリピンの代表などがアジアの輸出管理体制の現状や課題について議論しました。また,バングラデシュ,中国,インドネシア,カザフスタン,ラオス,マレーシア,モンゴル,ミャンマー,パキスタン,タイ,ベトナムの代表が,各国の輸出管理制度の最新の動向について報告しました。
(3)近年の動向を踏まえた各国の取組
近年の技術や発展や調達手法の多様化を踏まえ,EU,フランス,ドイツ,日本,韓国,オランダ,ロシア,シンガポール,英国,米国の代表が,キャッチオール規制,無形技術移転対策,関係政府機関の連携強化などについて発表を行いました。また,民間企業における輸出管理体制について報告が行われました。
(4)国際的な枠組みにおける活動
国連安全保障理事会決議第1540号に関する1540委員会専門家グループのメンバーに日本人として初めて就任した田中極子氏が,非国家主体への大量破壊兵器の移転防止を目的とする同決議をめぐる動きについて発表を行いました。また,輸出管理レジーム(オーストラリア・グループ(AG),ミサイル技術管理レジーム(MTCR),原子力供給国グループ(NSG),ワッセナー・アレンジメント(WA)),化学兵器禁止機関(OPCW),拡散に対する安全保障構想(PSI)における活動について報告が行われました。
3 参加国・地域
(1)アジア(19か国・地域)
バングラデシュ,カンボジア,中国,香港,インド,インドネシア,日本,韓国,ラオス,マレーシア,
モンゴル,ミャンマー,パキスタン,フィリピン,シンガポール,スリランカ,台湾,タイ,ベトナム
(2)アジア域外(13か国・地域)
オーストラリア,カナダ,EU,フランス,ドイツ,カザフスタン,メキシコ,オランダ,ロシア,トルコ,
アラブ首長国連邦,英国,米国