核軍縮・不拡散

平成31年2月26日

ご列席の皆様,

 日本国外務省を代表して,皆様に歓迎の意を表するとともに,プレゼンターやモデレーターの皆様のご協力と,主催者であるCISTEC(安全保障貿易情報センター)のご尽力に感謝申し上げます。本セミナーは四半世紀を超える歴史を持ち,世界の輸出管理当局者や専門家が一堂に会する貴重な機会となっています。

 大量破壊兵器やミサイルなどの拡散は国際社会が一致して取り組むべき課題です。折しも明日から第2回米朝首脳会談が開催されます。昨年6月の米朝首脳会談で,トランプ大統領と金正恩委員長が朝鮮半島の非核化に合意し,共同声明に署名した意義は大きいです。第2回米朝首脳会談が,拉致,核・ミサイル問題の解決につながっていくことを強く期待します。

 これまで日本は,拡散防止のためのグローバルな枠組みの強化・普遍化と,アジアにおける地域的取組の促進に尽力してきました。本セミナーも,不拡散分野における地域的取組として,日本が最も力を入れている会合の一つです。

 不拡散に関する取組は,北朝鮮の問題を含め,関連する安保理決議においても各国の責務として求められています。その柱の一つが,輸出管理です。効果的な輸出管理を行うためには,次の3つが重要です。

 1つ目は輸出管理の履行の重要性です。拡散活動に立ち向かうためには,制度を作って終わりではありません。日本は,テロリストなどへの拡散防止に関する安保理決議第1540号の履行を支援するため,一昨年,国連に約100万ドルを拠出しました。アジアでの能力構築などにも活用できますので,関心をお持ちの国は是非1540委員会に相談していただきたいと思います。

 2つ目は国際的な連携の重要性です。輸出管理は個々の国々の取組だけで完結しません。抜け穴を作らないためには国同士の連携が何より大切です。そこで,本セミナーをネットワーク作りやベストプラクティスの共有に活用していただきたいと思います。

 3つ目は輸出管理を補う取組の重要性です。日本が昨年に主催した拡散に対する安全保障構想(PSI)の海上阻止訓練はその1つです。100か国を超える国が参加して,大量破壊兵器関連物資の不法な移転や輸送の阻止に向けて共に取り組んでいます。

 今日から3日間の議論を通じて,不拡散上の課題について参加者の皆様の知見がより一層高まるとともに,具体的な行動につながることを期待しています。新たな四半世紀の幕を切るアジア輸出管理セミナーが,皆様の国や地域の輸出管理にとって新しい一章を切り開くきっかけになれば嬉しく思います。

 ご静聴ありがとうございました。


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