核軍縮・不拡散
IAEA「天野之弥研究棟」開所式典
令和2年6月11日
6月5日,IAEAサイバースドルフ原子力応用研究所(オーストリア)において,故・天野之弥IAEA事務局長の業績を称え命名された「天野之弥研究棟」(The Yukiya Amano Laboratories)の開所式典が開催されたところ,概要は以下のとおりです。
- 本開所式典において,グロッシーIAEA事務局長,ホスト国オーストリアからシャレンベルク欧州・統合・外務大臣が挨拶を行うとともに,故・天野事務局長令夫人メッセージが引原毅在ウィーン国際機関日本政府代表部特命全権大使の代読によって紹介された後,記念プレートの序幕が行われました。
- グロッシー事務局長から,故・天野事務局長の下で建設が始まったこの素晴らしい研究棟の開所式典がオーストリア外務大臣の出席を得て開催されたことは有意義であり喜ばしい,IAEAは世界中の人々のニーズに応えるべく,原子力技術を活かした,不拡散とは全く別次元の取組を行っており,新型コロナウイルス感染症対策支援はその好例である,天野事務局長の業績を心にとどめ,彼の始めた事業を将来に受け継いでいきたい旨述べました。
- シャレンベルク外務大臣から,この研究所における取組は故天野事務局長の遺業であるのみならず,多国間主義がいかなる成果をもたらし得るかをよく体現している,120か国に新型コロナウルス感染症対策支援がなされていることは大変印象的な成果である,オーストリア政府は今後ともIAEAの活動を支援していきたい旨述べました。
- 続いて,故・天野事務局長令夫人からのメッセージを代読する形で,引原大使から,「平和と開発のための原子力」をIAEAの新たなモットーとして掲げた天野之弥氏の信念の象徴とも言える本研究所改修事業の進展を,天野氏は何よりも喜んでいると思う,本研究棟の命名について加盟国に感謝するとともに,式典開催に尽力いただいた関係者に感謝したい旨述べるとともに,IAEAサイバースドルフ原子力応用研究所の改修事業(ReNuAL)の推進に向けたグロッシー事務局長,独及び南アの大使(同事業支援グループ共同議長)の尽力に深く感謝する,日本政府は他の加盟国とともに今後もIAEAの任務を力強く支援していく旨述べました。
- 【参考】天野之弥研究棟(The Yukiya Amano Laboratories)
- (1)故・天野IAEA事務局長が開始したIAEAサイバースドルフ原子力応用研究所の改修事業(ReNuAL)を通じて,同研究所に新たに建設された研究棟。食糧・環境保護研究棟(食品の産地証明や農薬の管理技術等を担当),畜産・動物衛生研究棟(感染症検査技術等を担当),土壌・水資源管理・穀物栄養学研究棟(農地の栄養状態や地下水の管理技術を担当)から成る。
- (2)2019年7月の同事務局長の逝去を受け,同年9月のIAEA総会において,同研究棟を「天野之弥研究棟(The Yukiya Amano Laboratories)」と命名する決議が全会一致で採択された。
- (3)同研究棟は2018年11月に建物が完成し,その後旧研究棟からの移転作業が進められていた。今回の開所式典でオペレーションが開始される。
- (4)日本はこれまでReNuALプロジェクトに対して約660万ユーロを拠出している。