核軍縮・不拡散
第8回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合



9月21日,ニューヨークの国連本部において,岸田文雄外務大臣及びジュリー・ビショップ豪州外相の共同議長の下,第8回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合が開催されたところ,概要以下のとおり。
1 概要
(1)共催国であるフレンズ・メンバー国(日本,豪州,オランダ,ドイツ,カナダ,フィンランド)及び発効促進共同調整国であるカザフスタン(注:日本は発効促進共同調整国も兼ねる)を含め,約100か国が参加(このうち約30か国は外相)。
(2)共同議長のビショップ豪州外相の開会挨拶に続いて,潘基文国連事務総長がステートメントを行い,条約の発効に批准が必要となる国(発効要件国)による批准が緊急に求められているとし,同条約の早期発効を実現すべき旨呼びかけた。
その後,フレンズ・メンバー国のシュタンマイヤー独外相,ディオン加外相,クーンデルス蘭外相等に加え,ユン韓国外交部長官,ルトノ・インドネシア外相,ゼルボCTBT機関事務局長らがステートメントを行った。
多くの国がCTBTの早期発効及び検証体制整備の重要性を強調したほか,先日の北朝鮮による核実験を非難し北朝鮮に対して関連する安保理決議等を遵守し更なる核実験を行わないよう強く求める発言も多く見られた。また,ミャンマー及びスワジランドがこの度CTBTを批准する旨表明した(これにより,CTBTの批准国は166となる。)。
(3)最後に,岸田外務大臣が共同議長としてCTBT発効促進に向けた閣僚共同声明(骨子(PDF)/英文(PDF)
)を採択した上で閉会のステートメント(日本語(PDF)
/英語(PDF)
)を行い終了した。
2 岸田大臣によるステートメントのポイント


- 北朝鮮による5回目の核実験を最も強い言葉で非難し,関連安保理決議等を完全かつ速やかに遵守するよう求める。更なる制裁措置を含む新たな安保理決議の採択に向けて,関係国と緊密に連携する。
- 核実験の禁止という国際的な規範を法的義務として確立するにはCTBTの早期発効が不可欠であり,発効要件国の批准向けて更なる努力を行うことを要請。
- 核軍縮のためには核兵器国と非核兵器国とが協力し,現実的・実践的な措置を講じていくことが重要。その議論を深めるために,本年12月に日本は,国連と共に長崎で核軍縮に関する国際会議を開催する。
3 評価
(1)CTBT署名開放20年及び先般の北朝鮮の核実験を受け国際社会の高い関心を集める中で今回の会合は開催された。前回会合を大きく上回約30か国から外相が参加するなどCTBT早期発効に向けた幅広い国からの政治ハイレベルのコミットメントを確認できた。また,この機会に新たに2か国が批准を表明するなどCTBT早期発効の機運を高めることができた。
(2)参加者からは北朝鮮の核実験に対する非難が相次ぎ,国際社会として北朝鮮の核実験を断じて許さないという断固たる意思が改めて確認された。
(3)岸田大臣より,北朝鮮による核実験は断じて許されないという点と,核実験の法的禁止を確立するためにはCTBTの早期発効が必要である旨を訴えるとともに,共同議長として共同閣僚声明を採択することにより,同様の強いメッセージを本件フレンズ会合から発信することができた。
(参考)フレンズ外相会合
ア 本会合はCTBT発効促進会議(2年に1度。外相レベル)が開催されない年に,CTBT発効促進の機運を維持・強化するために開催され,会議の成果として閣僚共同声明を発出してきている。2002年,日豪蘭が共催国となり第1回CTBTフレンズ外相会合を開催。これまでに計7回開催。
イ CTBTフレンズとは,主に包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)の所在するウィーンを中心に,CTBT発効促進活動を調整・推進するため,日豪蘭が結成した国家グループ。現在は右3か国の他,カナダ,フィンランド,ドイツ及び発効促進調整国(第9回発効促進会議の共同議長国)であるカザフスタンの計7か国がメンバーとなっている(現在の発効促進会議の共同議長は日本)。