核軍縮・不拡散

平成29年12月8日
(写真1)出席した賢人会議委員と広島県知事及び広島市長との記念撮影(広島市提供) 出席した賢人会議委員と広島県知事及び広島市長との記念撮影 (広島市提供)
(写真2)賢人会議での議論の様子 賢人会議での議論の様子
(写真3)NGO等との意見交換会 NGO等との意見交換会

 2017年11月27日及び28日,広島市のグランドプリンスホテル広島において,核軍縮の実質的な進展のための賢人会議第1回会合が開催され,白石隆座長(日本貿易振興機構アジア経済研究所長)を始めとする計15名の国内外の有識者が参加しました。今次会合の日程及び議論の概要は下記のとおりです。

1 第1回会合出席者リスト

(1)日本人委員(6名)

  1. 白石隆 日本貿易振興機構アジア経済研究所長(座長)
  2. 青木節子 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
  3. 浅田正彦 京都大学法科大学院教授
  4. 小溝泰義 広島平和文化センター理事長
  5. 朝長万左男 日赤長崎原爆病院名誉院長
  6. 山口昇 国際大学副学長,笹川平和財団参与

(2)外国人委員(9名)

  1. リントン・ブルックス 米国エネルギー省国家核安全保障庁元長官
  2. ジョージ・パーコビッチ カーネギー国際平和財団副会長
  3. アントン・フロプコフ ロシア・エネルギー安全保障研究センター長
  4. ブルーノ・テルトル フランス・戦略研究所副所長
  5. トレバー・フィンドレイ メルボルン大学社会政治学院シニアリサーチフェロー
  6. アンゲラ・ケイン 元国連軍縮担当上級代表
  7. タリク・ラウフ 元国際原子力機関検証安全保障政策課長
  8. マフムード・カーレム 元駐日エジプト大使,元国連軍縮諮問委員会委員
  9. ティム・コーリー UNIDIRシニアフェロー

2 第1回会合の日程概要

(1)歓迎夕食会(26日夜)

 26日夜,岡本三成大臣政務官主催の賢人会議歓迎夕食会が行われました。夕食会冒頭,岡本政務官は,河野太郎外務大臣の挨拶を代読し,核兵器禁止条約や核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のノーベル平和賞受賞に触れつつ,核軍縮の進め方には様々なアプローチがあるが,我が国としては,安全保障の観点も踏まえつつ,核廃絶に向けた歩みを着実に進めていくことが核兵器のない世界に向けた近道であると考えており,国際社会の協力と信頼関係の再構築に資する提言が得られることを強く期待している旨述べました。

(2)被爆の実相プログラム(27日午前)

 27日午前,会議に先立ち,被爆の実相プログラムが実施されました。賢人会議委員によって広島平和記念公園慰霊碑の参拝や献花が行われたほか,被爆者による被爆体験講話の聴講,広島平和記念資料館の視察が行われました。

(3)核軍縮の実質的な進展のための賢人会議第1回会合(27日及び28日)

 27日から28日にかけて,核軍縮の実質的な進展のための賢人会議第1回会合が行われました。同会合では,下記の各セッションにおいて,賢人会議の目的である,国際社会の協力と信頼を再構築し,立場の異なる国々が取り組むことのできる「共通の基盤」を模索する観点から様々なテーマについて活発な議論が行われました。また,オープニング・セッションには,岸田文雄自民党政調会長(前外相)が出席し,挨拶を行いました。

3 第1回会合の各セッションにおける議論の概要

(1)オープニング・セッション(27日午前)

 岸田自民党政調会長が挨拶を行い,核軍縮の進め方をめぐる各国の立場の違いや核兵器国を動かさければ現実は一歩も動かないことを痛感し,唯一の戦争被爆国の,また広島出身の外務大臣として状況を打開すべく賢人会議を立ち上げた旨,また,信頼関係の再構築に資する提言を得て「核兵器のない世界」に向けて協力するきっかけを作るために議論の結果に期待している旨述べました。

(2)セッション1:「核軍縮についての現状認識」(27日午後)

 核兵器禁止条約をめぐる状況について,同条約を推進する立場と安全保障を重視する立場の双方の立場から発言があったほか,米露の軍備管理交渉を前進させるための方策やNPT運用検討プロセスの現状,核兵器の役割の問題等に議論が及びました。

(3)セッション2:「核兵器廃絶への道筋と必要な措置」(27日午後)

 セッション1を踏まえ,今後の核廃絶に向けた道筋について議論が行われました。核軍縮の進め方をめぐり立場の異なる国々が歩み寄るため,それぞれの立場がこれまで必ずしも説明できていない論点について議論を進め,折衷点を探ることの必要性が提議されました。また,「最小限ポイント」の具体的内容や核廃絶の過程で必要となる検証措置,核廃絶の後にそれを維持するための執行措置や安全保障のあり方等についても議論がなされました。

(4)NGO等との意見交換会(28日午前)

 2日目の議論に入る前に,地元高校生や被爆者団体,NGO等と賢人会議委員との間で意見交換が行われました。NGO側からは,被爆の実相や核兵器禁止条約の重要性等について率直な意見表明がなされました。また,委員からは,市民社会の活動を高く評価する,核兵器の禁止は現実の安全保障環境を踏まえて考えるべきなど,多様な意見が示されました。

(5)セッション3:「2020年NPT運用検討会議までに取り組むべき短期的措置」(28日午前)

 2018年の2020年NPT運用検討会議第2回準備委員会にインプットする提言について,NPTのレビュー・プロセスの活性化や包括的核実験禁止条約(CTBT),核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT),核の脅威の低減等の具体的な取組について議論が行われました。

(6)セッション4:「核廃絶に向けて取り組むべき中長期的課題」(28日午後)

 中長期的な提言の内容として,「最小限ポイント」の考え方をめぐる問題点や人道や規範の観点を踏まえた核兵器の役割及び抑止の目的等の幅広い論点について議論が行われました。

(7)セッション5:「総括セッション」(28日午後)

 今次会合の総括として,第2回会合に向けた提言の取り纏めの方法等について確認が行われました。提言に含める内容については一定の相場観が得られたことから,第2回会合に向けて更に調整を行うことで合意されました。


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