アジア

令和7年7月31日

 7月21日から28日まで、生稲晃子外務大臣政務官は、ブルネイ・ダルサラーム国、インドネシア共和国、東ティモール民主共和国、及びモルディブ共和国を訪問しました。この訪問の概要は以下のとおりです。

I ブルネイ訪問

1 政府要人との会談

ノールハシマ・ブルネイ外務省次官との会談

写真撮影に応じる生稲外務大臣政務官とノールハシマ・ブルネイ外務省次官

 22日、生稲政務官は、ノールハシマ・ブルネイ外務省次官(政務・国際機関担当)(Pengiran Norhashimah binti Pengiran Mohd Hassan, Permanent Secretary (Politics and International Organisations) at the Ministry of Foreign Affairs of Brunei Darussalam)と会談を行いました。
 冒頭、生稲政務官から、先日のハサナル・ボルキア・ブルネイ・ダルサラーム国国王誕生日について祝意を述べるとともに、昨年の日・ブルネイ外交関係40周年の機会に、両国関係が「戦略的パートナーシップ」に格上げされたことを契機に、益々両国関係が深化されていることは喜ばしい旨述べました。これに対し、ノールハシマ次官から、生稲政務官の訪問を歓迎するとともに、長年にわたる良好な両国関係を今後も一層強化したい旨述べました。
 生稲政務官から、長年にわたるLNGの安定供給に謝意を示すとともに、日系企業がブルネイの経済及び産業の多角化に貢献しており、日本政府としても引き続き協力していきたい旨述べました。これに対し、ノールハシマ次官から、これまでの日本の貢献に対する謝意が示すとともに、今後も日系企業の活動を支援していきたい旨述べました。双方は日・ブルネイ間の経済関係を一層強化していくことで一致しました。
 また、生稲政務官から、一般旅券所持者に対する査証免除での滞在期間の延長措置が、昨年12月より開始されたことを歓迎するとともに、大阪・関西万博等の機会を通じて両国の人的・文化的交流が発展することを期待する旨述べました。
 ノールハシマ次官から、経済、気候変動、人的交流等各分野における二国間協力を強化したい旨、またASEANを通じた協力強化について言及がありました。
 双方は、先般のASEAN関連外相会合や、南シナ海や中東情勢等を含む昨今の地域・国際情勢についても幅広く意見交換を行い、こうした課題について、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。

2 視察等

(1)日本語教育現場視察

スルタン・ムハマド・ジャマルル・アラム中等教育学校で学生たちから説明を受ける生稲政務官

 22日、生稲政務官は、スルタン・ムハマド・ジャマルル・アラム中等教育学校 を訪れ、同校関係者から、同校の特徴等につき説明を受けました。さらに生稲政務官は、同校の授業を見学するとともに、同校の生徒との対話を行いました。

(2)日系企業関係者との意見交換

ブルネイ日系企業関係者とともに写真撮影に応じる生稲政務官

 22日、生稲政務官は、ブルネイでのビジネスの現状や現在直面している課題等について、最前線で活動する日系企業関係者と意見交換を行いました。

(3)ブルネイ・メタノール・カンパニー(BMC)視察

ブルネイ・メタノール・カンパニー関係者とともに写真撮影に応じる生稲政務官

 22日、生稲政務官は、2006年設立以来、メタノール事業を通じてブルネイにおける経済多角化に貢献してきたブルネイ・メタノール・カンパニー(BMC)を視察し、同社関係者から事業説明を受け、意見交換を行いました。

II インドネシア(デンパサール)訪問

1  ワヤン・コスター・バリ州知事との会談

ワヤン・コスター・バリ州知事とともに壇上に座り挨拶を行う生稲政務官

 23日、生稲政務官は、ワヤン・コスター・バリ州知事 (Dr. Ir. Wayan Koster, M.M., Governor of Bali) と会談を行いました。
 生稲政務官から、バリ島沖のフェリー沈没事故へのお見舞いを述べるとともに、両国が長年にわたり友好関係を築き、基本的な価値や原則を共有する「包括的・戦略的パートナー」である旨述べました。
 また、バリにおいて多くの日本企業が活動しており、年間約18万人の邦人観光客も訪問していることに触れつつ、在留邦人・観光客の安全確保への配慮に対する謝意を述べました。さらに、海岸保全・マングローブ保全をはじめとする環境分野における協力等を紹介し、今後も協力を推進していく考えを示しました。
 コスター州知事から、日本とバリ州間では経済、人的交流等の関係が活発であり、農業、環境といった分野で日本との協力を強化していきたい旨述べました。
 最後に、生稲政務官からは、現在開催中の大阪・関西万博におけるインドネシアパビリオンの盛況ぶりについて言及し、ナショナルデーには、プラティクノ人材育成・文化担当調整大臣及びセルフィ副大統領夫人に訪日いただき、式典を成功裡に開催できた旨述べました。

III 東ティモール訪問

1  政府要人との会談等

(1)グスマン首相への表敬

グスマン首相と会談する生稲政務官

 24日、生稲政務官はグスマン首相(H.E. Mr. Kay Rala Xanana Gusmão, Prime Minister of the Democratic Republic of Timor-Leste)を表敬訪問しました。
 冒頭、生稲政務官から、東ティモールが本年10月にASEANへの正式加盟を予定していることについて祝意を示し、正式加盟後の取組も含めて引き続き後押ししていきたい旨を述べました。また、今回の訪問を契機として、両国間の「包括的パートナーシップ」を一層深化させたい旨述べました。
 生稲政務官から、国際社会が複合的な危機に直面する中、東ティモールは、天然資源を有し、重要なシーレーンにあることから、地政学的に重要である旨述べました。また、生稲政務官から、行政機関への能力強化支援、国際空港等を始めとするインフラ整備、産業多様化、保健・医療、農業等の分野で協力を継続していきたい旨述べました。
 さらに、我が国企業による東ティモールでの取り組みについて、造船所建設や、太陽光発電事業への支援に謝意を表明し、これらの事業の円滑かつ迅速な実施に向けた東ティモール側の協力を期待する旨述べました。
 これに対し、グスマン首相から、東ティモールは、包括的パートナーであり、民主主義、人権、法の支配といった共通の価値を共有する日本との間で協力を一層深化させることが、地域の平和と安定につながると考えている旨述べました。
また、グスマン首相は、独立以来、日本が東ティモールにおける平和構築の歩みや、経済の発展・多角化に貢献してきたことに謝意を示すとともに、今後一層日本企業の投資を呼び込んでいきたい旨述べました。
 その他、両者は、安全保障、経済、人的交流といった幅広い分野において協力を深化させるとともに、地域・国際情勢についても連携していくことを確認しました。

(2)ジョゼ・ラモス=ホルタ大統領への表敬

ジョゼ・ラモス=ホルタ大統領とともに写真撮影に応じる生稲政務官

 24日、生稲政務官は、ジョゼ・ラモス=ホルタ大統領(H.E. Dr. Jose RAMOS-HORTA, President of the Democratic Republic of Timor-Leste)を表敬訪問しました。
 冒頭、生稲政務官から、東ティモールが本年10月にASEANへの正式加盟を予定していることについて祝意を示し、正式加盟後の取組も含めて引き続き後押ししていきたい旨を述べました。また、今回の訪問を契機として、両国間の「包括的パートナーシップ」を一層深化させたい旨述べました。
 両者は、安全保障を含む幅広い分野において協力を深化させるとともに、地域・国際情勢における諸課題についても意見交換を行い、連携していくことを確認しました。

(3)フレイタス外務・協力大臣への表敬

ベンディト・ドス・サントス・フレイタス外務・協力大臣はじめ外務省関係者らと写真撮影に応じる生稲政務官

 24日、生稲政務官は、ベンディト・ドス・サントス・フレイタス外務・協力大臣(H.E. Mr. Bendito dos Santos Freitas minister of Foreign Affairs and cooperation, Democratic Republic of Timor-Leste)と会談し、日・東ティモール間での協力案件の進展や、今後の二国間関係の強化に向けた施策について意見交換を行ったほか、地域・国際社会の諸課題に対する対応について意見交換を行い、安全保障や経済、人材育成といった分野において、二国間関係の強化に向けて連携していくことで一致しました。

(4)人材育成計画交換公文署名式

人材育成計画交換公文署名式での生稲政務官

 東ティモールに対する無償資金協力「人材育成奨学計画」(若手行政官を対象とした日本への留学支援)に関する書簡の署名・交換を行いました。

 東ティモール民主共和国に対する無償資金協力「人材育成奨学計画」(若手行政官を対象とした日本への留学支援)に関する書簡の署名・交換

(5)在留邦人との意見交換

 24日、生稲政務官は、国際機関・NGO関係者や日本企業関係者と懇談し、東ティモールが現在直面している課題やビジネスの現状、今後の協力可能性について、意見交換を行いました。

(6) ランジェル外務・協力副大臣主催の夕食会

ランジェル外務・協力副大臣主催夕食会の様子

 24日、生稲政務官は、ミレナ・マリア・ダ・コスタ・ランジェル外務・協力省ASEAN関係副大臣(H.E. Mrs. Milena Maria da Costa Rangel Vice Minister for ASEAN Affairs, Democratic Republic of Timor-Leste)主催の夕食会に出席し、二国間関係の強化や地域・国際情勢に関する意見交換を行いつつ、心のこもったおもてなしに対して謝意を表明しました。
 生稲政務官から、東ティモールは日本と基本的な価値や原則を共有する重要な「包括的パートナー」であり、これまでの平和構築支援や経済協力、人材育成などを通じた日本の貢献に言及しつつ、同国の平和的な発展と繁栄に対する敬意を述べました。さらに、今後も両国関係の一層の発展に向け、あらゆるレベルでの協力を強化していく旨述べました。
 加えて、東ティモールのASEAN正式加盟決定に対する祝意を改めて伝えるとともに、今後同国が地域においてより一層重要な役割を果たすことへの期待を表明しました。

IV モルディブ共和国訪問

1 モルディブ政府要人等との意見交換

(1) ムイズ大統領への表敬

モハメド・ムイズ大統領と握手する生稲政務官
モハメド・ムイズ大統領と会談する生稲政務官

 26日、生稲政務官は、モハメド・ムイズ大統領(H. E. Dr. Mohamed Muizzu, President of the Republic of Maldives)を表敬し、石破総理大臣の親書をムイズ大統領へ手交するとともに、モルディブの独立60周年に対する祝意を述べました。ムイズ大統領からは、今般の生稲政務官の総理特使としての訪問を歓迎する旨述べるとともに、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」へのモルディブの変わらぬコミットメントが示されました。
 ムイズ大統領から、これまでの日本による支援に対する謝意が表明されるとともに、様々な分野で協力を強化していきたい旨述べました。これに対し、生稲政務官から、日本はモルディブ独立直後からモルディブ国民に寄り添った協力を行ってきており、今後もモルディブの持続可能な発展に向けた支援を継続していきたい旨述べました。
 両者は、2027年の日・モルディブ外交関係樹立60周年に向け、二国間関係を一層発展させていくことで一致しました。

 生稲外務大臣政務官(総理特使)によるモハメド・ムイズ・モルディブ大統領への表敬

(2) カリール外務大臣への表敬

アブドゥッラ・カリール外務大臣と写真撮影に応じる生稲政務官

 26日、生稲政務官は、アブドゥッラ・カリール外務大臣(H.E. Dr. Abdulla Khaleel, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Maldives) を表敬し、モルディブの独立60周年に対する祝意を述べるとともに、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた重要なパートナーであるモルディブと様々な分野で今後も協力を深めていきたい旨述べました。
 カリール外相から、これまでの日本の支援に謝意が述べられるとともに、防災や安全保障分野などで引き続き緊密に連携していきたい旨述べました。これに対し、生稲政務官から、今後も両国間の協力を通じてモルディブが直面する課題の解決に貢献していきたい旨述べました。
 両者は、地域情勢についても意見交換するとともに、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」に基づき、南アジア地域全体の包括的な安定と繁栄の実現に向けて両国で引き続き連携していくことで一致しました。

 生稲外務大臣政務官(総理特使)によるアブドゥッラ・カリール・モルディブ外務大臣への表敬

2 モルディブ独立60周年記念行事への出席

独立60周年記念国旗掲揚式に他の参加者とともに出席する生稲政務官

 現地時間7月26日、モルディブ・マレを訪問中の生稲政務官は、独立60周年記念国旗掲揚式及びパレードに総理特使として出席しました。

3 カリール外相主催昼食会への出席

 26日、生稲政務官はアブドゥッラ・カリール外務大臣(H.E. Dr. Abdulla Khaleel, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Maldives) 主催の昼食会に出席し、日モルディブ間の人的交流等について懇談しました。

4 署名式、視察等

(1) 無償資金協力案件署名式

アブドゥッラ・カリール外務大臣他関係者とともに写真撮影に応じる生稲政務官
アブドゥッラ・カリール外務大臣とともに署名を行う生稲政務官

 26日、生稲政務官と、アブドゥッラ・カリール外務大臣(H.E. Dr. Abdulla Khaleel, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Maldives) との間で、15億5,500万円を供与限度額とする無償資金協力「マレ島における災害に対する強靱性向上計画」(護岸整備等)に関する書簡の署名・交換が行われました。

 モルディブ共和国に対する無償資金協力「マレ島における災害に対する強靱性向上計画」(護岸整備等)に関する書簡の署名・交換

(2) 護岸壁視察

護岸工事記念碑を視察する生稲政務官

 26日、生稲政務官はムッタリブ建設・住宅・インフラ大臣(Dr. Abdulla Muththalib, Minister of Construction, Housing and Infrastructure)の案内により、マレ島護岸及びマレ島護岸工事記念碑の視察を行いました。マレ島の護岸は、自然災害による被害からマレを守るために日本の無償資金協力によって整備されたもので、2004年のインド洋大津波に際しマレ島を深刻な被害から守りました。
 同日署名された無償資金協力は護岸の嵩上げ及び雨水排水能力向上に係る機材整備等を行うもので、マレ島の水災害への脆弱性の克服及び生活・経済社会基盤の安定に寄与することが期待されます。

(3) 魚市場視察

マレ島魚市場を視察する生稲政務官
他の参加者とともに魚市場を視察する生稲政務官

 27日、生稲政務官はマレ島魚市場を視察しました。日本が漁業分野において実施してきた、技術協力プロジェクトや研修員の受入れを通じた協力について関係者から説明を受け、今後における更なる協力の可能性について意見交換を行いました。

(4) インディラ・ガンディー記念病院(IGMH)及びダルマバンサ病院視察

病院を視察する生稲政務官
病院関係者から説明を受ける生稲政務官

 27日、生稲政務官はインディラ・ガンディー記念病院(IGMH)及びダルマバンサ病院を視察しました。病院の関係者から、日本が供与した機材がマレにおける医療サービスの高度化に寄与している旨の説明がありました。

(5)在留邦人との意見交換 

 26日、生稲政務官は、モルディブ在住の邦人と懇談し、モルディブで現在直面している課題やビジネスの現状、今後の協力の可能性等について、意見交換を行いました。


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