安倍総理大臣
日・マレーシア首脳会談(概要)



本21日,19時05分頃から約35分間,安倍晋三内閣総理大臣は,訪日中のナジブ・ラザク・マレーシア首相(Dato' Sri Haji Mohd Najib bin Tun Haji Abdul Razak, Prime Minister and Minister of Finance, Malaysia)との間で会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。
1 冒頭
安倍総理から,冒頭,本日未明のマレーシア国王弟君の逝去にお悔やみを述べました。そして,ナジブ首相の訪日を歓迎するとともに,マレーシア航空機の消息不明事案に改めてお見舞いを述べ,今後とも支援の用意があることを伝えました。また,来年のASEAN議長国であるマレーシアと,地域の課題も含めて広範な協力関係を一層深めたい旨述べました。ナジブ首相からは,マレーシア航空機の捜索をめぐる日本の支援に深甚なる謝意が示されるとともに,東方政策2.0(注1)に関する協力などを通じ,日本との協力関係を一層深めたい旨述べました。
(注1)マレーシアは,2012年に東方政策(日本等に学ぶことで自国の社会経済の発展を目指すべく,留学生や研修生を派遣する政策)が30周年を迎えたことを機に,「東方政策2.0」と称して,留学分野の拡大等,東方政策の質の転換を図っていくこととしている。
2 二国間関係
(1)安倍総理から,現在,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の取組として,防衛装備移転三原則を策定し,集団的自衛権等と憲法との関係につき検討を進めていることを説明しました。
(2)また,安倍総理から,マレーシアとも安全保障協力を更に強化していきたいとして,特に,海上保安分野に関し,人材,装備等の協力を今後も進めたい旨を述べました。そして,両首脳は,海上の安全に関し,これまでの両国海上保安機関間の緊密な協力関係(注2)の上に立って,日・マレーシア両国がASEANの海上保安分野の人材育成のために協力する可能性を含め,協力を深めていくことで一致しました。また両首脳は,防衛当局間の交流促進等防衛分野での協力を強化するとともに,安全保障分野での新たな対話の枠組みの可能性を含め,安全保障分野での協力強化の方途を検討していくことで一致しました。
(注2)日本は,2005年に設立されたマレーシア海上法令執行庁(MMEA)に対し,機材整備支援のほか,海上保安庁からの専門家派遣を通じた人材育成支援等を通じて協力。
(3)経済分野では,安倍総理から,ナジブ首相が掲げる2020年までに先進国入りするとの目標について今後も協力していく旨を述べ,ナジブ首相からはエネルギー関連プロジェクト等への日本企業の一層の参画についての期待が示されました。また,安倍総理から,マレーシア・シンガポール間の高速鉄道事業については,高い安全性を誇る日本の新幹線の導入を期待する旨改めて述べ,ナジブ首相からは入札への日本企業の参加を歓迎する旨が述べられました。
(4)東方政策2.0については,安倍総理から,昨年12月に合意した協議枠組みの立ち上げに向けた議論が進展していることを歓迎するとともに,東方政策2.0を新時代に即した両国関係の基盤としたい旨述べ,具体化に向けて引き続き協力していくことで一致しました。
3 地域・国際情勢
(1)安倍総理から,ASEAN共同体が構築される2015年の議長国であるマレーシアとの連携を重視している旨述べ,両首脳は,同年までのASEAN共同体構築に向け今後も連携していくことで一致しました。
(2)両首脳は,南シナ海情勢を含む現下の地域情勢についても意見交換を行いました。この中で,安倍総理からは,「法の支配」に基づく地域の安定の確保の重要性について述べるとともに,ASEANの一体となった対応を評価する等,日本の基本的考えを述べ,両首脳は,ASEANの一体性や国際法に則った対応の重要性について一致しました。
(3)TPPについては,早期妥結の重要性につき,両首脳間で一致しました。