ラオス人民民主共和国
日・ラオス外相会談


5月4日(水曜日),ラオス訪問中の岸田文雄外務大臣は,現地時間午後3時から約1時間15分,サルムサイ・コンマシット(H.E.Mr. Saleumxay Kommasith)ラオス外務大臣との間で外相会談を行ったところ,概要は以下の通りです。
- 日・ラオス外相会談
- 日・ラオス外相会談
- 日・ラオス外相共同記者発表
1 二国間関係
(1)冒頭
サルムサイ大臣は,先般の熊本地震への被害に対しお見舞いの言葉を述べるとともに,岸田大臣のラオス訪問を歓迎する,両国の「戦略的パートナーシップ」の関係を一層強化していきたい旨述べました。
これに対し,岸田大臣から,熊本地震に対するお見舞いに謝意を述べるとともに,ASEAN議長国としてラオスが地震の被害に対する外相声明を発出したことへの謝意を伝えました。また,サルムサイ外務大臣の就任に祝意を述べるとともに,ASEAN関連外相会議の議長を務めるサルムサイ外務大臣を全力で支えていく旨を伝えました。さらに,岸田大臣からは,日本とラオスの「戦略的パートナー」の関係強化に向け,サルムサイ大臣と共に協力していきたい旨述べました。
(2)要人往来
サルムサイ大臣から,日ラオス関係は,2015年に外交関係樹立60周年を迎え「戦略的パートナーシップ」へと格上げされた,本年も5月のG7伊勢志摩サミットアウトリーチ会合にトンルン首相が出席予定であり,首脳レベルでも要人往来が実現してきており,様々なレベルで二国間の交流が強化されている,日本とラオスの間で直行便が就航すれば二国間の更なる文化交流や経済発展につながるとの発言がありました。
岸田大臣から,両国の間には様々な協力が存在しており,頻繁な要人往来が実現していることを嬉しく思う旨述べつつ,今月末のG7伊勢志摩サミットアウトリーチ会合へのトンルン首相の出席に謝意を表し,ASEAN議長国として積極的に議論に貢献いただきたい旨述べました。これに対し,先方から賛意が得られました。
(3)経済・経済協力
岸田大臣から,日本は,ラオスの第8次経済社会開発5カ年計画を踏まえつつ,LDC(後発開発国)脱却に向けたラオスの努力を引き続き支援していく,また,「質の高いインフラ・パートナーシップ」及び「産業人材育成協力イニシアティブ」をラオスにおいても実現させていきたい旨述べました。また,岸田大臣から,本年はASEAN共同体発足元年であり,自分(大臣)は,更なる地域統合促進のため連結性強化により一層取り組むべく,5月2日のバンコクでのASEANスピーチで「日・メコン連結性イニシアティブ」の立ち上げを発表したと説明した上で,メコン諸国と緊密に連携し,質の高いインフラ整備を行い,制度改善,人材育成等のソフト面での支援をきめ細かく実施していきたいと述べました。
さらに,岸田大臣から,ラオスとの協力を一層推進する観点から両国の中長期的な開発協力の方向性を示す「開発協力共同計画」の策定を提案し,具体的な内容は今後ラオスと調整していきたいと述べました。
これに対し,サルムサイ大臣からは,岸田大臣から詳細に説明いただいた日本の支援は今後のラオスの社会経済発展につながるものである,ラオス政府及び国民を代表してこれまでの日本の支援に感謝している旨の発言がありました。日本側が提案した「開発協力共同計画」についても今回の5か年計画に資するものであり,サルムサイ大臣から謝意とともに賛同の意が伝えられ,「日メコン連結性イニシアティブ」についても,内陸国としてのラオスの立場に理解いただいたものであり,ラオスの連結性強化に資するものであるとして,賛同の意が表明されました。
2 地域・国際場裡における協力
(1)ASEAN
岸田大臣から,日本は,ラオスの議長国の下でのASEANの更なる統合,格差是正に向けた優先8分野をはじめとする取組を全面的に支援していく,日本は,本年の関連会議に向け,(1)ASEAN共同体強化,(2)EAS強化策の着実な実施等,地域の喫緊の課題を特に重視していることを伝えました。
(2)EAS強化
岸田大臣から,ジャカルタにおけるEAS大使級会合立ち上げを歓迎,EASのフォローアップや準備のメカニズムとして強化していくことが重要であると説明しました。
これに対し,サルムサイ大臣からは,地域の信頼醸成のフォーラムとして,ラオスもEASを重視しているとの発言がありました。
(3)海洋安全保障
岸田大臣から,南シナ海は地域の平和と繁栄に直結し,我が国を含む国際社会共通の懸念であり,海における「法の支配」三原則が重要であることを説明しました。また,こうした問題について,ASEANが一体となって力強いメッセージを発出することが重要であることを強調しました。サルムサイ大臣との間では,国際法に基づく紛争の平和的解決及びASEANの中心性・一体性の重要性につき一致しました。
(4)北朝鮮
岸田大臣から,北朝鮮が,弾道ミサイル発射を含め,核・ミサイル開発を継続していることは容認できない,安保理決議を厳格に履行すること等により,北朝鮮に対する圧力を強化していくことが重要である旨述べるとともに,拉致問題をはじめとする北朝鮮の人権侵害について,ASEANと協力していきたい旨述べました。
これに対し,サルムサイ大臣から,北朝鮮につき懸念を共有する,ラオスは拉致に反対してきた,拉致被害者に対するお見舞いを申し上げる旨の発言がありました。