報道発表

ハイチの農業インフラ整備のための支援
(無償資金協力「経済社会開発計画」)

平成30年10月24日

1 本24日(現地時間23日),ハイチ共和国の首都ポルトープランス市において,我が方八田善明在ハイチ大使と,先方ボシット・エドモン外務・宗務大臣(H. E. Mr. Bocchit EDMOND, Minister of Foreign Affairs and Worship)との間で,5億円を供与額とするハイチの農業インフラ整備のための無償資金協力(経済社会開発計画)に関する書簡の交換が行われました。

2 西半球の最貧国であるハイチは長引く政情不安に加え,脆弱なインフラ整備状況から相次ぐ自然災害によって毎年のように人的・物的な被害を受けています。2016年10月には,10年に一度の水準と言われる大型のハリケーン「マシュー」がハイチ南西部に上陸,GDPの5分の1に相当する約20億ドルの損失と,農業インフラを含む関連産業では5億8,000万ドルの被害,農作物に至っては90%に損害が生じました。地方部では道路未舗装の箇所も多く,同ハリケーン上陸の際には多くの集落が孤立し,被災者に1週間以上も飲料水を含む支援物資が全く届かない状況が生じるなど,被害の拡大に繋がりました。

3 今回の協力は,我が国で製造された道路等建設機材(ダンプトラック,エクスカベーター等)を供与することにより,農業インフラ整備や道路状況の改善による農業生産の向上・食糧自給率の改善と,国内全域の良好なアクセス確保による経済活性化及び貧困の削減を図り,もって同国の経済社会開発に寄与するものです。

4 2017年2月に就任したモイーズ大統領は,災害に強靱な国造りと,農業の近代化による食糧自給率の向上,人・モノの移動を活発にし,経済活動を活性化させることを目的に,電気,道路,港湾,水・衛生,教育といった優先7分野における大規模なインフラ整備事業を打ち出し,自ら指揮を執って事業の実施を推進しています。ハイチ政府は,道路分野においては,国内全10県において各400Km,計4,000Kmの舗装道路の整備,農業分野においては,12万ヘクタールの土地を耕作可能にし,300Kmの河川の浚渫や農道の整備を行うといった具体的な方針を掲げており,供与された機材が活用されます。

5 また,我が国は,2014年に安倍晋三内閣総理大臣が日・カリコム首脳会合で表明した「日本の対カリコム政策(PDF)別ウィンドウで開く」の第一の柱として「小島嶼国特有の脆弱性克服を含む持続的な発展に向けた協力」を着実に実施しています。その一環であるこの協力により,経済社会開発を支援することのみならず,それらの機材・製品等に対する認知度の向上を図り,継続的な需要を創出し,日本企業の海外展開に貢献することも期待されます。

[参考]ハイチ共和国基礎データ
   ハイチ共和国は,面積約2.77万平方キロメートル(北海道の約1/3)。人口約1,084.7万人(2016年,世界銀行)。1人当たりの国民総所得(GNI)は780米ドル(2016年,世界銀行)。


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