報道発表

包括的核実験禁止条約の発効促進に関する地域会合の開催(結果)

平成29年7月27日
包括的核実験禁止条約の発効促進に関する地域会合の開催1
包括的核実験禁止条約の発効促進に関する地域会合の開催2

1 本27日,包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効促進に関する地域会合が外務省において開催されました。

2 この会議には,アジア・太平洋地域を中心に,中国,韓国,ミャンマー,オーストラリア,タイ,島嶼国の国々,パキスタン等のCTBTの批准国,署名国及び未署名国の政府関係者・専門家並びに国内の関係者が約50名が出席しました。

3 冒頭,小田原潔外務大臣政務官が,岸田文雄外務大臣の開会挨拶(PDF)別ウィンドウで開くを代読しました。引き続き,ラッシーナ・ゼルボ包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)準備委員会暫定技術事務局長(Dr. Lassina Zerbo, Executive Secretary, Provisional Technical Secretary, Preparatory Commission for the Comprehensive Nuclear-Test-ban Treaty Organization)によるメッセージが代読されました。

4 会合においては,CTBTの早期発効が重要であるとの認識の下,CTBTの締結に向けた努力の紹介や,発効促進のための各国の貢献について紹介があり,双方向の質疑を含め,CTBTの普遍化を促進するための方策を模索するための議論が行われました。また,CTBTを支える検証技術の重要性についても議論が行われ,参加した国からは,北朝鮮による核実験の検知の経験,自国の国際監視施設の認証に向けた努力,CTBTの国内実施のための能力開発,CTBT検証技術の民生利用等についての紹介がありました。

5 CTBT未締結の発効要件国からは中国とパキスタンが出席し,中国からは国内の監視観測所の整備を含むCTBTの国際監視制度に関する取組が紹介され,パキスタンからは,CTBTが1996年に採択された際に同国は賛成し,その後核実験のモラトリアムを表明している旨の発言がありました。また,自由討論の際には,未署名・未締結の国々からも締結に向けた課題等に関し,積極的に発言がありました。

6 この会合の成果は,9月にニューヨークで開催される第10回CTBT発効促進会議において言及されます。

(参考1)包括的核実験禁止条約(CTBT)
 宇宙空間,大気圏内,水中,地下を含むあらゆる場所における核兵器の実験的爆発及び他の核爆発を禁止。国際監視制度,協議及び説明,現地査察,信頼醸成措置からなる検証制度を条約発効時までに設けることとなっている。条約発効には,日本を含む発効要件国44か国すべての批准が必要(うち,米国,中国,イスラエル,イラン,エジプトの5か国が署名済み・未締結。北朝鮮,インド,パキスタンが未署名・未締結。)。日本は1997年に批准。

(参考2)CTBT地域会合
 アジア・太平洋地域におけるCTBTの理解促進を通じたCTBTの早期発効と普遍化の促進を目的とする会議。CTBT第14条に基づく発効促進共同調整国を地域の国が務める場合,同調整国が地域の国を招いて開催する。前回は2014年にインドネシアが開催している。

(参考3)CTBTの検証制度
 CTBTは,条約の遵守について検証するため,(1)国際監視制度(IMS),(2)協議と説明,(3)現地査察,(4)信頼の醸成についての措置からなる検証制度を条約発効時までに設けると規定している。このうちIMSは,地震学的監視施設,放射性核種監視施設(公認された実験施設を含む。),水中音波監視施設及び微気圧振動監視施設並びにその各通信手段からなる。各種IMS監視施設及び実験施設は,世界89か国で計337か所設置される。現在,全体の9割強が完成している。


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