報道発表

ボスニア・ヘルツェゴビナにおける草の根文化無償資金協力
「スポーツ活動を通じた地域融和のためのモスタル市スポーツセンター改修計画」に関する贈与契約の署名

平成27年1月14日

1 1月21日,ボスニア・ヘルツェゴビナの紛争激戦地であったモスタルにおいて,我が方山崎日出男駐ボスニア・ヘルツェゴビナ大使とリューボ・ベシュリッチ・モスタル市長(Mr. Ljubo Bešlić,Mayor of the City of Mostar)との間で,約22万6,500ユーロ(約2,900万円)を限度とする草の根文化無償資金協力「スポーツ活動を通じた地域融和のためのモスタル市スポーツセンター改修計画」に関する贈与契約の署名を行う予定です。

2 本計画は,モスタル市のスポーツセンターのサッカー場及びクラブハウスを改修し,サッカーをはじめとするスポーツを行い得る環境を整え,異なる民族がスポーツを通じて空間や時間を共有し,行動を共にしながら相互に交流できる場を提供するものです。

3 今回の署名式には,国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップ元日本代表主将の宮本恒靖氏も出席する予定です。同氏は,ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるスポーツを通じた民族融和に関する共同研究を行い,モスタルに異なる民族の子どもたちが共にサッカー等を学べるスポーツ・アカデミー「マリ・モスト」(注)の開設を進めており,この計画で整備されるサッカー施設は同アカデミーの活動場所となる予定です。

4 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け,日本政府は開発途上国を始めとする100か国・1,000万人以上を対象にスポーツの価値とオリンピックムーブメントを広げる「Sport for Tomorrow」プログラムを民間とも連携し進めています。また,昨年,岸田文雄外務大臣の下に設置された「スポーツ外交強化に関する有識者懇談会」の中間とりまとめ報告では「スポーツが持つ力を平和構築につなげるために日本として貢献していくことが望ましい」旨の提言がなされました。本計画の実施はこのような取組の具体例となるもので,国内外の様々な関係者と協力しつつ,スポーツを通じた平和定着に向けて取り組んでいく予定です。

(注)「マリ・モスト」:現地語で小さい橋を意味する。

(参考)
 ボスニア・ヘルツェゴビナは面積約5.1万平方キロメートル(中国・四国地方とほぼ同じ),人口約388万人(2013年国際通貨基金(IMF)推計,ボシュニャク(ムスリム)系,セルビア系,クロアチア系が主要3民族),1人当たりの国民総所得(GNI)4,740米ドル(2013年世界銀行)。紛争終結20年を迎える現在でも,モスタルではクロアチア系とボシュニャク(ムスリム)系民族の住む地域が分断され,学校の授業は民族別に行われ,民族の異なる生徒同士が机を並べることはない状況。


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