報道発表
第69回国連総会本会議における北朝鮮人権状況決議の採択
1 本19日(現地時間18日),ニューヨークで開催中の国連総会本会議において,我が国及びEUが共同提出した北朝鮮人権状況決議が,賛成116票で採択されました(反対20票,棄権53票,採択は10年連続10回目)。
2 本年の決議は,国連人権理事会で設置された「北朝鮮における人権に関する調査委員会(COI)」が本年2月に発表した報告書及び,本年3月に同理事会にて賛成多数で採択された北朝鮮人権状況決議の内容を踏まえた,これまで国連総会本会議において採択された北朝鮮人権状況決議よりも強い内容となっています。
3 本決議の採択は,拉致問題をはじめとする,北朝鮮の人権侵害についての国際社会の強い懸念の表れです。我が国は,拉致問題の早期解決を含めた北朝鮮の人権状況の改善を強く期待するとともに,国際社会とも協力して,北朝鮮の人権状況の改善に向け引き続き努力していく考えです。
(参考)
1 投票結果(PDF)
賛成116票,反対20票,棄権53票で採択。共同提案国は,第3委採択時から変わらず,我が国,EU諸国,米,加,豪,NZ,韓国,ミクロネシア,トルコなど62カ国。国連総会第3委員会メンバーは国連全加盟国(193か国)。
2 北朝鮮における人権に関する調査委員会(COI)
(1)概要
拉致問題を含む北朝鮮の人権状況全般に係る人権侵害を調査するため,2013年3月の人権理事会における決議で設置が決定。マイケル・カービー氏(委員長,元豪州連邦最高裁判所判事),マルズキ・ダルスマン氏(北朝鮮人権状況特別報告者,元インドネシア検事総長)及びソーニャ・ビセルコ氏(セルビア・ヘルシンキ人権委員会(NGO)代表)の3名で構成。活動期間は1年。報告書を作成し,2014年3月の第25回人権理事会に提出した。
同調査委員会は,2013年8月27日から9月1日まで,調査のため訪日。日本滞在中は,総理及び外務大臣を表敬した他,公聴会による北朝鮮の人権状況についてのヒアリングを実施。また,我が国関係省庁からも,拉致問題を中心として,合同で同委員会に説明を行った。
(2)最終報告書
本年2月17日公表(3月17日提出)。北朝鮮における深刻な人権侵害を,拉致問題を含む複数の分野に亘り,包括的に詳述。人権侵害を,「人道に対する罪」に該当すると断定し,北朝鮮に具体的な取組を勧告するとともに,国際社会や国連にもさらなる行動を求めている。拉致問題についても,その事実を記載するとともに,拉致及び拉致被害者の置かれた状況は,現在も進行している人道に対する罪と断定し,北朝鮮に対し,拉致被害者に関する情報提供と被害者本人及びその子を帰国させるよう勧告。
3 国連人権理事会で採択された北朝鮮人権状況決議(Resolution on the situation of human rights in the DPRK)
我が国とEUは,毎年3月の国連人権理事会に北朝鮮人権状況特別報告者のマンデートを延長する決議を共同で提出してきた。しかし,度重なる国際社会の懸念表明にもかかわらず,北朝鮮の人権状況に改善が見られないことを踏まえ,昨年2013年3月の第22回人権理事会においては,新たに調査委員会を設置する文言を含む決議を提出し,コンセンサス採択された(ただし,ベネズエラは,事後にコンセンサスから離脱)。
本年は,COIが人権理事会に提出した報告書の内容を踏まえ,安保理における対応の慫慂や現地ベースのフォローアップ拠点設置等を含む決議を提出し,これが,賛成票30票,反対票6票(キューバ,ベネズエラ,ロシア,中国,パキスタン,ベトナム),棄権11票の賛成多数で採択された。同決議の採択自体は,7年連続7回目。人権理事会理事国(47か国)のみ投票。
4 国連総会第3委員会での採択
11月19日(現地時間18日),本決議は国連総会第3委員会で採択された。今次国連総会本会議での採択は,同第3委員会において採択された決議と同様の内容のものを改めて,本会議で採択するもの。