報道発表

日・ジャマイカ租税条約の署名

令和元年12月12日
(写真1)署名式に立ち会う両首脳(写真提供:内閣広報室) 署名式に立ち会う両首脳
(写真提供:内閣広報室)
(写真2)署名式に立ち会う両首脳(写真提供:内閣広報室) 署名式に立ち会う両首脳
(写真提供:内閣広報室)

 1 本12日,東京において,山﨑啓正駐ジャマイカ日本国特命全権大使とクレメント・フィリップ・リカルド・アリコック駐日ジャマイカ特命全権大使(H.E. Mr. Clement Philip Ricardo Allicock, Ambassador Extraordinary and Plenipoteniary of Jamaica to Japan)との間で「所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とジャマイカとの間の条約」(日・ジャマイカ租税条約)(和文(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)Open a New Window)の署名が行われました。

 2 この条約は,両国間で生ずる二重課税を除去するため,両国において課税することができる所得の範囲を定める規定等を設けています。また,この条約の締結によって,両国の税務当局間において,この条約の規定に従っていない課税についての協議,租税に関する情報交換及び租税債権の徴収共助の実施が可能となります。これらにより,二重課税を除去し,国際的な脱税及び租税回避行為を防止しつつ,両国間の投資・経済交流を一層促進することが期待されます。

 3 条約の主な内容は以下のとおりです。
 (1)事業利得に対する課税
   事業利得については,企業が進出先国に支店等の恒久的施設(注)を設けて事業活動を行っている場合に,その恒久的施設に帰属する利得に対してのみ,進出先国において課税することができます。
   (注)企業が使用人等を通じて一定期間を超えて行う役務の提供(いわゆるサービスPE)等を含みます。
 (2)投資所得に対する課税
   投資所得(配当,利子及び使用料)については,以下のとおり,源泉地国(所得が生ずる国)における課税の上限(限度税率)が設けられ,又は課税が免除されます。

  • 配当   5%(持分(注)保有割合20%以上・保有期間365日以上)
  •       10%(その他)
  • 利子 免税(政府受取等)
  •       10%(その他)
  • 使用料 2%(設備)
  •       10%(その他)
   (注)日本法人支払の場合は議決権,ジャマイカ法人支払の場合は資本又は議決権を指す。
 (3)条約の特典の濫用防止
   条約の特典の濫用を防止するため,条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合及び第三国に存在する恒久的施設に帰属する一定の所得については,条約の特典は認められません。
 (4)相互協議手続及び仲裁制度
   条約の規定に従っていない課税は,両国の税務当局間の協議による合意に基づき解決されます。また,両国の税務当局間の協議により2年以内に事案が解決されない場合には,第三者から構成される仲裁委員会の決定に従って解決されます。
 (5)情報交換及び徴収共助
   国際的な脱税及び租税回避に効果的に対処するため,両国間における租税に関する情報交換及び租税債権の徴収に関する相互支援が導入されます。

 4 この条約は,両国においてそれぞれの国内手続(我が国においては国会の承認を得ることが必要)を経た後,外交上の経路を通じて,その国内手続の完了を確認する通告を相互に行い,遅い方の通告が受領された日の後30日目の日に効力を生じ,次のものについて適用されることとなります。
  (1)我が国においては,
  ア 課税年度に基づいて課される租税に関しては,本条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度の租税
  イ 課税年度に基づかないで課される租税に関しては,本条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に課される租税
  (2)ジャマイカにおいては,
  ア 源泉徴収される租税に関しては,本条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に支払われ,又は貸記される所得
  イ その他の租税に関しては,本条約が効力を生ずる年の翌年の1月1日以後に開始する各課税年度
  (3) 情報交換及び徴収共助に関する規定は,対象となる租税が課される日又はその課税年度にかかわらず,本条約が効力を生ずる日から適用されます。


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