報道発表
第4回海洋法に関する国際シンポジウムの開催
平成29年12月14日
- 本14日,外務省は国際連合大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)及び内閣府総合海洋政策推進事務局と共に,東京の国連大学において,第4回海洋法に関する国際シンポジウム「大陸棚限界委員会(CLCS)設立20周年:成果と課題」を開催しました。
- このシンポジウムには,国外及び国内の海洋法の権威ある研究者及び実務家がパネリストとして出席しました。また,在京外交団,政府関係者,研究者,学生ら約110人が出席し,パネリストとの間で活発な質疑応答が行われました。なお,同シンポジウムの終了後には,堀井学外務大臣政務官主催のレセプションが開催されました。
- (1)オープニング・セッションでは,中根一幸外務副大臣が開会の辞を述べ,その中で,法とルールが支配する海洋秩序に支えられた「開かれ安定した海洋」の維持・発展の重要性から,我が国は,国連海洋法条約(UNCLOS)を含む海洋法を遵守するのみならず,CLCSを含む同条約に基づいて設立された機関に対する人的な貢献や,今回のシンポジウムのような海洋法に関する理解促進にも取り組んでいる旨述べました。その上で,本年設立20周年を迎えたCLCSによるこれまでの延長大陸棚の確定への寄与,海底の平和的利用と「法の支配」への貢献を高く評価する旨述べ,今回のシンポジウムが,CLCSの今後の有益な活動,ひいては海洋法秩序の更なる発展の一助となることを期待する旨述べました。
(2)続いて,竹本和彦UNU-IAS所長が海洋の平和及び海洋資源の持続可能な管理へのCLCSの貢献並びにCLCSが持続可能な開発目標(SDGs)の達成に果たす役割について述べました。
(3)続いて,ローレンス・アウォシカCLCS委員(前議長)が,設立20周年を迎えたこれまでのCLCSの活動を包括的に紹介する内容の基調講演を行いました。 - パネルディスカッションでは,次の2つのテーマの下で各パネリストが報告し,その後,質疑応答が行われました。
(1)第I部「成果」
マーティン・ハイネセンCLCS委員,ローレンス・マーティンフォーレ-・フォーグワシントンD.C.法律事務所パートナー,マズラン・マドンCLCS委員がパネリストとして,各々延長大陸棚の根拠となっているUNCLOS第76条の実施,延長大陸棚の境界画定における成果,及び延長大陸棚における天然資源の探査・開発の現状について報告を行いました。パネリストの報告を受け,柳井俊二国際海洋法裁判所(ITLOS)判事,アレックス・アウデ・エルフェリンク ユトレヒト大学法学部教授,西本健太郎東北大学大学院法学研究科准教授がコメントを行いました。
(2)第II部「課題」
デーヴィット・モッシャーCLCS委員,アドナン・アルアズリCLCS委員,兼原敦子上智大学法学部教授がパネリストとして,各々沿岸国のCLCSへの申請に関する課題,申請のロジスティクス及び技術的観点からの課題,及び延伸大陸棚に対する権原に照らしたCLCSの機能について報告を行いました。パネリストの報告を受け,山崎俊嗣CLCS委員,浦辺徹郎東京大学名誉教授(前CLCS委員),イヴォーン・ユーUNU-IAS研究員がコメントを行いました。 - 外務省としては,今回のシンポジウムの経験を踏まえ,「海における法の支配」の貫徹に向け,海洋法に関する議論の場を作っていく考えです。