外務報道官談話
化学兵器禁止機関(OPCW)によるシリアにおける化学兵器使用者の調査・特定チーム(IIT)報告書の発表について
(外務報道官談話)
令和2年4月14日
1 4月8日(現地時間同日),シリアでの化学兵器使用事案について,その使用者を調査していた化学兵器禁止機関(OPCW)の使用者調査・特定チーム(IIT)が第一回報告書を発表したことを歓迎します。
2 我が国は,化学兵器の使用はいかなる状況でも許されず,使用者は特定され,処罰されるべきとの観点から,IITを含むOPCWの活動を支持しています。
3 我が国は,シリアを始めとする各国における化学兵器使用の再発防止のため,引き続き,OPCWの取組を全面的に支援していくとともに,シリア危機の解決に向けて国際社会と連携していきます。
[参考1]化学兵器禁止機関(OPCW)
1997年4月に発効した化学兵器禁止条約に基づき設立された国際機関であり,本部はオランダのハーグ市。世界的な化学兵器の全面禁止及び不拡散のため,現存する化学兵器及びその生産施設の廃棄の進捗について査察等を通じてモニターしているほか,民生用化学物質の化学兵器への転用を防ぐための産業査察等を実施。2013年12月,OPCWは世界の化学兵器の廃絶に向けた功績が評価され,ノーベル平和賞を受賞した。
[参考2]IITの報告書の概要
2017年3月24日及び30日にシリアのラタミナで発生した化学兵器使用事案に関し,シリア空軍が,ラタミナ南部でサリンを充填した爆弾を投下し,その結果,それぞれの事案において,少なくとも16名及び60名に及ぶ被害者が発生した旨結論づけた。また,同年3月25日にシリアのラタミナで発生した化学兵器使用事案に関し,シリア空軍がラタミナ市内の病院にシリンダーを投下し,漏洩した塩素により,少なくとも30名の被害者が生じた旨結論づけた。