外務大臣談話
ベネズエラ・ボリバル共和国情勢について
(外務大臣談話)
1 我が国は,これまで累次にわたり,ベネズエラにおける経済・社会情勢の悪化及び人道上の危機に対する懸念を表明してきました。また,2018年5月に実施された大統領選挙に関しては,その正統性に対する国際社会の疑念に対してベネズエラ政府として説明責任を果たすよう繰り返し求めてきました。それにもかかわらず,ベネズエラ政府がこれら要請に応えることなく,同国の政治・経済・社会情勢が悪化していることについて,我が国は非難します。
2 グアイド・ベネズエラ国会議長は,大統領選挙を行うための暫定大統領として宣誓を行いました。我が国は,憲法秩序に基づき民主主義の回復を希求するベネズエラ国民の意思を支持しており,これが尊重されることを改めて求めます。国際社会と共に,自由で公正な大統領選挙の早期実施を求めます。
3 ベネズエラの経済・社会情勢の悪化により,特に脆弱な状況にあるベネズエラ国民に深刻な影響が及んでいること,及び,避難民の流出により,周辺国を含め地域規模で影響が及んでいることについて,改めて懸念を表明します。我が国は,避難民を含むベネズエラ国民への民生支援を継続するとともに,影響を受けている周辺国に対しても支援を継続していきます。
[参考]
(1)2019年1月10日,マドゥーロ大統領(二期目)の就任式が実施された。
(2)1月23日,グアイド国会議長は,首都カラカスで行われた反政府集会において,ベネズエラ憲法に基づき,暫定大統領に就任した旨宣言し,大統領選挙の早期実施に向けた動きが活発化。また,報道によれば,市民側に複数の死者を含む死傷者が出ている模様。
(3)上記宣言を受け,米国並びにペルー,コロンビア等から成るリマ・グループ関係国はグアイド国会議長を暫定大統領として承認,支持し大統領選挙の速やかな実施を呼びかけている。2月4日,欧州諸国(英国,フランス,ドイツ,スペイン等)は,グアイド国会議長を選挙開催のための暫定大統領として承認する旨発表。
(4)1月30日及び2月2日,グアイド国会議長の呼びかけにより反政府デモが実施された。なお,同2日には,与党側のデモも実施された。
(5)我が国はベネズエラ国民が直接裨益する民生支援を継続して実施しており,平成29年度及び30年度については,総額約180万ドルの支援を決定済み。