談話

平成26年6月12日

1 6月12日(現地時間11日),ニューヨークにて開催されている国連海洋法条約締約国会議において国際海洋法裁判所(ITLOS)裁判官選挙が行われ,我が国が候補として指名した柳井俊二裁判官(現ITLOS所長)がアジア太平洋グループの候補者の中で最多の得票で再選されたことは,大変喜ばしいことです。

2 海洋に関する紛争の平和的解決と,海における「法の支配」の強化のためにITLOSが果たしている役割が益々増大している中で,我が国出身の柳井裁判官は,2005年の当選以降,ITLOSに重要な貢献を行ってきました。とりわけ,2011年からは,ITLOS所長として,指導的な役割を果たしてきました。今般,柳井裁判官が再選を果たしたことは,国際社会からの同裁判官への高い評価を示すものであります。

3 我が国としては,柳井裁判官の更なる活躍を期待するとともに,海における「法の支配」の推進に積極的に貢献するため,ITLOSの一層の発展に引き続き協力していく考えです。

(参考)

1 国際海洋法裁判所(ITLOS)

(1)国連海洋法条約(UNCLOS)に基づき,UNCLOSの解釈・適用に関する紛争の司法的解決を任務として,1996年,ドイツ・ハンブルクに設置された。海洋法の分野において有能の名のある者のうちから,UNCLOS締約国によって選挙される全21名の独立の裁判官の一団で構成される。

(2)UNCLOSは1994年に発効し,現在の締約主体数は165か国及び1地域(EU)。我が国はUNCLOSを1996年に批准した。

(3)これまでに22の事案が付託され,12の判決と6つの暫定措置命令,1件の勧告的意見が下されている。

(4)我が国は,これまで,山本草二裁判官(任期:1996年10月1日~2005年9月30日),柳井俊二裁判官(任期:2005年10月1日より9年間)の2名をITLOS裁判官として輩出してきている。

2 ITLOS裁判官選挙

(1)裁判官は, UNCLOS締約国会議で3年ごとに実施される選挙で,7名ずつ改選される(再選可)。

(2)今回の選挙は,6月9日~13日の日程でニューヨークで開催されているUNCLOS締約国会議において現地時間6月11日に行われた。当選には有効投票総数の3分の2を獲得する必要がある。

(3)柳井裁判官は,我が国のほか,ブルガリア,パラオ,パラグアイ,サモア,セネガル及びトンガから候補として指名され,アジア太平洋グループ(出席し投票した国の数157)において最多の142票を獲得し,再選を果たした(新たな任期は,2014年10月1日より9年間)。

(4)今回の選挙で改選の対象となった7席(アジア太平洋2,アフリカ2,ラ米・カリブ1,東欧1,西欧その他1)に対し,10名の候補が指名された。我が国が属するアジア太平洋グループにおいては,柳井裁判官のほか,同じく現職のペク裁判官(韓国)が選出された。

3 柳井俊二 ITLOS裁判官略歴
 1937年生まれ。東京大学法学部卒。1961年に外務省に入省し,条約局長,総合外交政策局長,外務審議官,外務事務次官,駐米大使等を歴任し,2002年に退官。2005年6月に行われたITLOS裁判官選挙において選出され,同年10月より現職(今回の再選により,任期は2023年9月までの9年間)。


談話へ戻る