外務大臣談話

平成27年1月15日

1 本15日(現地時間同日),世界貿易機関(WTO)紛争解決手続に基づいて,日本,米国及びEUがアルゼンチンに対して申立てを行っていた紛争案件「アルゼンチン-輸入制限措置」に関し,WTO上級委員会報告書が発出され,アルゼンチンの措置はWTO協定に非整合的であるとして是正を求めたパネル報告書の結論が支持されました。

2 日本は,上級委員会が日本の主張を全面的に認める報告書を発出したことを高く評価します。保護主義的措置の拡散傾向が懸念される中で,このような保護主義的な貿易制限措置がWTO協定上認められないことを,上級委員会が確認したことは意義深いと考えます。

3 今回の報告書を受け,アルゼンチンが,WTO協定に整合しないと認定された措置を誠実かつ速やかに是正することを求めます。

(参考)本件の経緯と概要

(1)2008年以降,アルゼンチン政府は輸出入均衡要求や事前輸入宣誓供述制度(注:事前輸入許可制度)など,一連の輸入制限措置を順次導入。日本政府は,アルゼンチン政府に対し累次にわたり懸念を表明してきたが,これまでアルゼンチン側から何ら改善の道筋が見られなかった。

(2)2012年8月,日本は米国,EU等と共に,アルゼンチンに対してWTO協定に基づく協議を要請。また,2012年12月,米国,EUと共に,WTOにパネル設置要請を行い,その後2013年1月にパネルが設置され,2014年8月,日本等の主張を概ね認める報告書が採択された。これを受け,2014年9月にアルゼンチンが上級委員会に上訴を行った。

(3)WTO紛争解決制度は二審制であり,上級委員会は最終審となる。上級委員会報告書はWTO紛争解決了解の規定により,加盟国への送付の後30日以内に開催されるWTO紛争解決機関(DSB)において採択され,DSBの勧告となる。


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