核軍縮・不拡散

令和2年2月17日
第27回アジア輸出管理セミナー1
2月12日から13日まで東京で,第27回アジア輸出管理セミナーが一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)の主催,外務省及び経済産業省の共催により開催され,33か国・地域と国際機関等から約230人が参加しました。

1 背景

アジア各国・地域は経済成長に伴い,大量破壊兵器等に転用可能な物資・技術の生産拠点や中継貿易地として発展を続けており,懸念国等による違法な調達活動に意図せず関わる危険性が高まっています。本セミナーはこうした状況を背景に,アジア各国・地域の輸出管理担当者の認識向上と能力構築を図り,日本の安全保障にも直結するアジアの不拡散体制を強化することを目的に平成5年から開催されています。

2 概要

(1)開会挨拶

第27回アジア輸出管理セミナー2
第27回アジア輸出管理セミナー3
冒頭,尾身朝子外務大臣政務官が挨拶し(英文(PDF)),輸出管理に関する措置を含め,北朝鮮関連の国連安保理決議の完全な履行を呼びかけるとともに,テロリストを含む非国家主体への拡散防止のための国連安保理決議第1540号の重要性を強調しました。また,AIや3Dプリンティングといった新興技術は軍事転用されれば脅威となり得る点にも言及し,抜け穴を作らない輸出管理の履行強化に向けて本セミナーを活用して欲しいと述べました。

(2)アジアの輸出管理強化

「グローバルサプライチェーンと輸出管理」をテーマにパネルディスカッションが行われ,日本,米国,ドイツ,カナダ,シンガポールの政府関係者が,国際的な供給網においてますます大きな役割を担うようになっているアジア地域において輸出管理を強化することの重要性などについて議論しました。また,バングラデシュ,フィリピン,インドネシア,カンボジア,ラオス,マレーシア,ミャンマー,パキスタン,タイ,ベトナムの政府関係者が,各国の輸出管理制度の最新の状況について報告しました。

(3)近年の動向を踏まえた各国の取組

新興技術などをめぐる近年の動向を念頭に,ドイツ,ロシア,日本,韓国,アラブ首長国連邦,米国,英国,フランスの政府関係者が,無形技術移転対策,キャッチオール規制,産業界や学術界へのアウトリーチなどの取組について発表を行いました。また,民間企業における輸出管理体制について報告が行われました。

(4)国際的な枠組みにおける活動

国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネルの竹内舞子氏や1540委員会専門家グループの田中極子氏が関連安保理決議をめぐる動きについて発表し,各国に履行を呼びかけました。また,国際輸出管理レジーム(オーストラリア・グループ(AG),ミサイル技術管理レジーム(MTCR),原子力供給国グループ(NSG),ワッセナー・アレンジメント(WA)),化学兵器禁止機関(OPCW),弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範(HCOC)における活動について報告が行われました。

3 参加国・地域

(1)アジア(17か国・地域)
バングラデシュ,カンボジア,香港,インド,インドネシア,日本,韓国,ラオス,マレーシア,モンゴル,ミャンマー,パキスタン,フィリピン,シンガポール,台湾,タイ,ベトナム

(2)アジア域外(16か国・地域)
カナダ,EU,フランス,ドイツ,イタリア,カザフスタン,オランダ,ニュージーランド,ノルウェー,ロシア,スイス,トルコ,ウクライナ,アラブ首長国連邦,英国,米国

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