岸田外務大臣
日米外相会談(概要)

8月9日12時45分頃から約50分間,ASEAN関連外相会議出席のためミャンマーを訪問中の岸田外務大臣は,ケリー米国務長官との間で昼食を交えつつ日米外相会談を行ったところ,概要以下のとおり。ウクライナ情勢,北朝鮮,イラク情勢等,喫緊の国際情勢について戦略的な協議を行い,これらの諸課題に対する日米の連携を強化していくことを確認した。
1 冒頭発言
冒頭,岸田大臣より,大臣の誕生日(7月29日)にケリー長官から電話をもらったことに謝意を示した。両者は,世界各地で日米両国が連携して対応すべき案件が山積する中,今回のように日米両外相が直接会談して議論を行うことは有意義であるとの点で一致した。
2 ウクライナ情勢
岸田大臣より,7月にウクライナを訪問したことを紹介し,ウクライナに対して政治経済改革と対話を促し,最大15億ドルの経済支援の着実な実施を含む具体的支援策を打ち出した旨説明した。また,岸田大臣より,ウクライナ東部情勢に憂慮を示すとともに,両者は,日米で連携し,またG7で結束して対応していくことを確認した。
3 北朝鮮
北朝鮮については,岸田大臣から,同日後刻に日米韓外相会合で詳しく議論することになっているが,我が国は拉致・核・ミサイルといった諸懸案の包括的解決を目指すとの方針で一貫しているという基本的立場を説明し,米側の理解を得た。両者は,引き続き日米で緊密に連携していくことを確認した。
4 イラク情勢
ケリー長官より,イラクにおける今般の米国による限定空爆に関して説明があった。これに対し岸田大臣より,我が国は従来からイラク政府や米国によるテロとの闘いを支持してきている,今回の米国による限定空爆は,このような闘いの一環として,米国人員を保護するため,また,厳しい状況に置かれた市民を保護する部隊を支援するために,イラク政府の同意を前提に行われた措置であると理解している旨述べた。また,岸田大臣より,イラクの安定回復のため,引き続き米国を始め関係国と協力していく用意があり,緊密に意思疎通を図っていきたい旨述べた。
5 ガザ情勢
岸田大臣より,ガザ情勢の悪化を深く憂慮している,現地への訪問を含めケリー長官の努力に敬意を表する旨述べた。また,岸田大臣より,日本は7月に550万ドルの緊急支援の他,岸外務副大臣を派遣し,両当事者を含む関係国に停戦の早期実現を働きかけたところである旨説明した。両者は,ガザの復興を含め,今後とも連携して対応していくことを確認した。
6 気候変動
ケリー長官より,気候変動に関して問題提起があり,両者は来年パリで行われるCOP21に向け,日米でよく連携していくことで一致した。