岸田外務大臣
岸田大臣とライス国家安全保障担当大統領補佐官との会談(概要)
2月7日16:00から1時間弱,米国訪問中の岸田外務大臣はライス国家安全保障担当大統領補佐官と会談を行ったところ,概要以下のとおり(先方:メデイロスNSCアジア上級部長,グリーンNSC日本部長,当方:佐々江駐米大使,冨田北米局長他同席)。
1 総論
冒頭,岸田大臣から,安倍政権は安全保障分野において,普天間移設,昨年の「2+2」の開催等,様々な進展を達成してきたことを指摘するとともに,安倍総理は,積極的平和主義に基づく外交を推進しており,これは地域や国際社会の平和と安定に積極的に取り組む姿勢を示したものであり,米側と緊密に連携していきたい旨述べた。
ライス補佐官からは,安倍政権は安全保障分野で積極的姿勢を評価する旨表明があった。東南アジアをはじめとした開発分野での協力等に関する日米協力についても確認された。
また,岸田大臣から,日米同盟関係を強化する観点からも,オバマ大統領を是非国賓としてお迎えしたい旨述べた。
2 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉
ライス補佐官から,TPPの早期妥結,高いレベルの協定の締結を実現したい旨の発言があった。
これに対して岸田大臣から,TPPについては日米同盟にとっても地域全体の戦略的視点からも重要と考えており,ケリー国務長官との会談でも早期妥結に向け努力することで一致した,そのためにも双方が柔軟性を示しつつ努力することが重要である旨述べた。
3 安全保障
(1)日米安全保障
岸田大臣から,本年はガイドラインの見直しという歴史的機会があり,日米同盟の強固さを内外に示していきたいと述べた。また,米軍再編について,仲井眞知事による埋め立て承認等及び米国における国防授権法の成立を歓迎しており,普天間移設については米国の協力を得つつ確実に進めたい旨述べた。
これに対してライス補佐官から,普天間移設に向けた進展を高く評価する旨の発言があった。
(2)北朝鮮
ライス補佐官から,北朝鮮に関する日米の緊密なコミュニケーションと協力を評価するとともに,米国としては,拉致問題が日本にとって重要でかつセンシティブな問題であることを理解している旨の発言があった。
これに対して岸田大臣から,北朝鮮問題への対応にあたって中国の関与は引き続き重要であるとともに,日米韓三か国の連携も重要であり,2月末の米韓軍事演習関連を含めて日米で連携していきたい旨述べた。
(3)日韓関係
米国も重視している良好な日韓関係について,岸田大臣から,韓国は大切な隣国であり大局的観点から関係を発展させていきたい,また,政治レベル,特に首脳レベルの対話が重要だと考えており,具体的な協力を積み重ねることによって,関係を改善していきたい旨述べた。
(4)中国
岸田大臣から,日本は戦略的互恵関係の原点に立ち返って日中関係の改善に努めていきたい,他方,中国の力による現状変更の試みに対しては冷静かつ毅然と対応していく,中国による東シナ海での防空識別区(ADIZ)の発表は極めて問題であり,特に民間航空機の安全を脅かす行動は許容できない旨述べた。