中東
鈴木外務副大臣の中東訪問(結果)
12月19日から22日にかけて,鈴木馨祐外務副大臣は,イスラエル,レバノン,パレスチナ,ヨルダンを訪問したところ,同訪問の概要は以下のとおりです。
1 イスラエル(12月19日)
(1)ホトヴェリ外務副大臣との会談

19日,鈴木副大臣は,ツィピ・ホトヴェリ副外相(H.E. Ms. Tzipi Hotovely, Deputy Minister of Foreign Affairs of the State of Israel)と会談を行いました。
鈴木副大臣から,我が国を巡る安全保障環境について説明しつつ,基本的価値を共有するパートナーとしてイスラエルとの二国間関係を強化していきたいと述べるとともに,中東和平に関してイスラエルが建設的な役割を果たすよう働きかけました。
これに対しホトヴェリ副外相からは,イスラエルが困難な時期にある中での訪問に謝意を述べるとともに,イスラエル内政,地域情勢について説明がありました。また,我が国が推進する「平和と繁栄の回廊」構想に対する評価が示されました。
(2)ウジ・ラビ・テルアビブ大学モシェダヤン・センター教授との昼食会
19日,鈴木副大臣は,ウジ・ラビ・テルアビブ大学モシェダヤン・センター教授(Dr.Uzi Rabi, Professor, Director of the Moshe Dayan Center for Middle Eastern and African Studies at Tel Aviv University)との昼食会を行い,イスラエルを含む中東地域に加え,東アジア情勢について意見交換を行いました。
(3)Elegant Monkeys社(デジタルヘルス企業)訪問

2 レバノン(12月20日)
(1)アウン大統領への表敬

20日,鈴木副大臣は,ミシェル・アウン大統領(H.E. Mr.Michel Aoun, President of the Lebanese Republic)を表敬しました。
鈴木副大臣から,現下のレバノン情勢に関して,レバノンの政治指導者が,国民の声を踏まえた対話を推進し,国民の期待と信頼に応える新政権を早期に樹立することを強く期待する旨述べました。また,レバノンが多くの難民を受け入れていることに対し敬意を表した上で,レバノンの安定化に向けたアウン大統領のリーダーシップに期待する旨述べました。
これに対しアウン大統領からは,レバノンが置かれた経済・政治情勢について説明があり,日本との二国間関係を強化していきたい旨述べました。
(2)ナビーフ・ベッリ国会議長への表敬

20日,鈴木副大臣は,ナビーフ・ベッリ国会議長(H.E. Mr. Nabih Mostapha Berry, Speaker of Parliament)を表敬しました。
鈴木副大臣から,これまでの我が国の対レバノン支援について説明するとともに,現下のレバノン情勢に関して,困難な状況を乗り越えるためにレバノン国民が一致団結することを期待する旨述べました。
これに対しベッリ国会議長からは,レバノンが置かれた経済・政治情勢について説明があり,日本との二国間関係を強化していきたい旨述べました。
(3)ジブラーン・バシール暫定外相との会談

20日,鈴木副大臣は,ジブラーン・バシール暫定外相(H.E. Mr.Gebran Bassil, Caretaker Minister of Foreign Affairs and Emigrants)を表敬しました。
鈴木副大臣から,多くの難民を受け入れていることへの敬意を表するとともに,難民受け入れ国を支援することの重要性を強調し,レバノンの経済改革について評価する旨述べました。
これに対しバシール外相からは,レバノンが置かれた経済・政治情勢について説明があり,日本との二国間関係を強化していきたい旨述べました。
(4)ヤシーン・ジャーベル国会外交委員長主催昼食会

20日,鈴木副大臣は,ヤシーン・ジャーベル国会外交委員長(H.E.Mr. Yassine Jaber, Chairman of the Foreign Affairs and Expatriates Committee)主催昼食会に参加しました。
この中で鈴木副大臣は,ジャーベル国会外交委員長をはじめ,レバノン日本友好議員連盟の議員とレバノンを含む中東地域の政治・経済情勢について意見交換を行いました。
(5)サアド・ハリーリ暫定首相への表敬

20日,鈴木副大臣は,サアド・ハリーリ首相(H.E.Mr. Saad Hariri, Caretaker Prime Minister of the Lebanese Republic)を表敬しました。
鈴木副大臣から,現下のレバノン情勢に関して,困難な状況にあるレバノン国民への連帯の意思を表明するとともに,レバノン及び中東の安定化のためにすべての関係者が対話を推進し,一致団結することの重要性を強調しました。また東アジアが抱える安全保障上の懸念について説明するとともに,言論の自由や民主主義といった基本的な価値を共有するレバノンと二国間関係を強化していきたい旨述べました。
これに対しハリーリ首相から,これまでの日本の支援に謝意が示され,レバノンが置かれた経済・政治情勢について説明がありました。
また両者は,今後の改革が国民の理解と安定した政治基盤の上で行われることが重要であることを確認しました。
3 パレスチナ(12月21日)
(1)ジェリコ農産加工団地(JAIP)視察

21日,鈴木副大臣は,我が国が主導する「平和と繁栄の回廊」構想の旗艦事業である「ジェリコ農産加工団地(JAIP)」を訪問し,オサイリー国民経済庁長官(H.E.Mr. Khalid Al=Osaili, Minister of National Economy)をはじめとするパレスチナ側から,現在15社が稼働しているJAIPの現状について説明を受けました。
(2)国連邦人職員との昼食会
21日,鈴木副大臣は,パレスチナで活動する国連関連機関での邦人職員との昼食会を行い,パレスチナ情勢等について意見交換しました。
(3)シュタイエ首相への表敬及びUNRWA署名式への出席
- シュタイエ首相への表敬
21日,鈴木副大臣は,ムハンマド・シュタイエ首相(H.E. Dr. Muhammad Shtayyeh, Prime Minister of Palestine)への表敬を行いました。鈴木副大臣からは,近年,首脳,閣僚レベルの往来が増え,日パレスチナ関係は緊密化していることを賞賛した上で,様々な課題はあるが,日本は「平和と繁栄の回廊」構想と,その旗艦事業である「ジェリコ農産加工団地(JAIP)」を引き続き推進する旨述べました。
これに対しシュタイエ首相からは,日本の多大な支援に改めて感謝する旨述べた上で,協力関係の更なる進展のために協力していきたい旨述べました。また今後の中東和平プロセスにおける日本の役割や現状についての意見交換を行いました。
その後,鈴木副大臣及びシュタイエ首相の立ち会いの下,馬越正之パレスチナ関係担当大使兼パレスチナ暫定自治政府日本国政府代表事務所長とソンダースUNRWA事務局長代行との間で,パレスチナ難民に対するUNRWAを通じた食糧援助(6億円)及び無償資金協力「西岸及びガザ地区パレスチナ難民キャンプにおける学校建設及び下水道網改善計画(UNRWA連携)」(6億1,400万円)の無償資金協力に関する書簡の署名・交換が行われました。
- 無償資金協力に関する書簡の署名・交換式立ち会い
(4)マーリキー外務移民庁長官との会談
21日,鈴木副大臣は,リヤード・マーリキー外務移民庁長官(H.E. Dr. Riad Malki, Minister of Foreign Affairs and Expatriates of Palestine)と会談を行いました。鈴木副大臣からは,中東和平は対話が途絶えたままの厳しい状況にあるが,日本は引き続き「二国家解決」を支持するとともに,日本独自の取組を進め,関係者間の信頼醸成に尽力したい旨述べました。
これに対し,マーリキー外務庁長官から,パレスチナの中東和平の現状や最近の地域情勢について説明がありました。
(5)アッバース大統領への表敬
21日,鈴木副大臣は,マフムード・アッバース大統領(H.E. Dr. Mahmoud Abbas, President of Palestine)を表敬しました。
鈴木副大臣からは,即位の礼への同大統領の出席に改めて感謝を述べた上で,日本は引き続き「二国家解決」を支持し,その姿勢は不変である旨伝達しました。また,アッバース大統領が呼びかけたパレスチナの選挙が適切に行われることへの期待を示しました。
これに対し,アッバース大統領から,日本の変わらぬ支援に感謝する旨述べた上で,中東和平を巡る様々な状況及び今後の見通しについての説明がありました。
4 ヨルダン(12月22日)
(1)ワハダート・キャンプ視察
- ワハダート難民キャンプ視察
22日,鈴木副大臣は,パレスチナ難民を受け入れているワハダート難民キャンプを視察しました。
同キャンプを運営するUNRWA関係者から,5万8千人のパレスチナ難民を受け入れており,深刻な資金不足に直面しつつも,パレスチナ難民に対する基礎的サービスを提供していること等の説明がありました。その後,鈴木副大臣は,UNRWAが運営する学校や診療所を視察しました。
- 学校視察
- 学校視察
(2)サファディ外務大臣との会談
22日,鈴木副大臣は,アイマン・アル・サファディ外務・移民大臣(H.E. Mr. Ayman Al Safadi, Minisiter of Foreign Affairs and Expatriates of the Hashemite Kingdom of Jordan)と会談を行いました。
鈴木副大臣から,多数の難民支援におけるヨルダンの取組を評価し,UNRWAを含む,パレスチナ難民への救済活動は人道的観点及び中東の安定にとって重要である旨述べました。
サファディ外相からはヨルダンが現在抱えている様々な課題についての言及があり,今後の見通しや日本のさらなる中東和平への関与への期待が示されました。両者は中東の平和と安定のために引き続き協力していくことで一致しました。
(3)ラバディ計画・国際協力大臣との会談
22日,鈴木副大臣は,ウィサーム・ラバディ計画・国際協力大臣(H.E. Dr. Wissam Rabadi, Minister of Planning and International Cooperation of the Hashemite Kingdom of Jordan)と会談を行いました。
鈴木副大臣から,ヨルダンは中東安定の要であり,日本として現状を正確に見極めながら,引き続き可能な支援を継続していく旨述べました。
ラバディ計画・国際協力相からは,ヨルダンの経済情勢や経済政策について説明がありました。また,両者はヨルダンにおける改革の重要性,二国間関係および中東和平を含む地域情勢について意見交換を行いました。
(4)国際機関邦人職員との昼食会
21日,鈴木副大臣は,ヨルダンで活動する国際機関の邦人職員との昼食会に参加し,ヨルダン情勢などについて意見交換しました。