主な要人の来日日程

日豪首脳会談の概要

平成17年4月21日

 4月20日、小泉総理は、4月21日の愛・地球博における豪州ナショナル・デイ出席のため博覧会賓客として訪日中のハワード豪首相と、総理官邸で会談(18時5分~18時50分)及び共同記者会見をはさんで夕食会(19時30分~20時40分)を行ったところ、会談及び共同記者会見の概要以下のとおり。なお、夕食会のみ大野防衛庁長官が、また、逢沢副大臣が通して同席した。

(ポイント)

  • 政治安全保障面では日豪関係が、グローバルな戦略的な関係へと発展してきていることを確認。特にイラクにおける豪軍と自衛隊との連携など、様々な面で連携・協力が行われていることを確認。

  • 東アジアサミットへの豪の参加及び東アジア共同体構築のプロセスにおける豪の関与の重要性を確認。

  • これまでの良好な相互補完的な日豪経済関係をより高度な経済連携関係とすべく努めることを確認。そのために様々な方途の研究を行うが、FTAについても農業分野の困難さを認識しつつ、メリット・デメリットを研究することに合意。政府間の研究とし、2年間目途に結論を出すこととなった。

  • 社会保障協定の交渉を6月から開始することに合意。

  • 愛・地球博、2006年の日豪交流年、ビジット・ジャパン・キャンペーンなどを通じて、日豪間の交流のさらなる拡大に努めることを確認。

(会談等の概要)

イラク関係

 総理から、イラクへの豪州軍増派は、日本との関係の重要性を踏まえた困難な決定であり、敬意を表すると述べ、ハワード首相は、豪州の国民の多くは友好国である日本との関係を重視して支持している、自衛隊のイラク派遣は非常に難しい勇敢な決断であり、世界の多くの人からも評価されていると述べた。

二国間関係全般

 総理より、万博への参加を謝し、豪はビジット・ジャパン・キャンペーンの重点国であり、明年の日豪交流年を通じて交流をさらに拡大していきたい、社会保障協定の6月からの交渉の開始に合意し、歓迎すると述べた。ハワード首相から、日豪交流年の成功を望むとしつつ、2006年中の総理訪豪を招請し、また、社会保障協定の交渉開始を歓迎する旨述べた。

安全保障関係

 ハワード首相より、日豪は安全保障面で多くのことを共有し、不拡散の分野でも立場をともにする、日米豪の関係及び安保対話は重要である、北朝鮮が不安定であることを懸念するとともに、核を保有する北朝鮮は大きな脅威であり、すべての国が北朝鮮が6者協議にもどるよう働きかけることが必要であると述べた。
 総理からは、安全保障の面を含めて、米国とともに豪は重要であり、テロ対策や海賊事件のような問題は単独で解決できる問題ではなく、今後とも緊密に協力していきたい、また、津波など世界的な問題についても豪と協力していきたいと述べた。

国連・安全保障理事会改革

 ハワード首相より、安保理常任理事国拡大の場合には日本が入るべきと述べ、総理より、明確な支持を謝し、国連改革につき引き続き十分協議・協力したいと述べた。

経済・貿易関係

 ハワード首相より、長期にわたり安定的な貿易経済関係を維持してきた日豪間の貿易経済枠組みの論理的なステップとして、FTAのフィージビリティ・スタディに合意したいと述べ、総理からは、農業問題は非常に難しいが、日豪の相互補完的な関係をさらに発展させるために何ができるかを議論したいと述べた。これに対し、ハワード首相から、農業が難しいという点は承知しており、FTAの交渉にコミットすることを求めるつもりはなく、農業のような困難な問題についても何ができるかを検討するものとして、FTAのフィージビリティ・スタディを含め二国間の経済連携を強化することとしたい旨述べた。総理からは、右に同意するとともにFTAについてはメリット・デメリットを検討するものと理解する旨重ねて述べた。なお、研究期間は2年間とし、政府間の研究とすることで合意した。

東アジアサミット

 ハワード首相より、東アジアサミットの豪の参加に関して、日本が明示的に支持したことを謝し、総理から、日本は豪の参加を支持しており、緊密に連携していきたいと述べた。

共同記者会見でのハワード首相発言

 最近の日中関係に関連した、過去の問題に対する日本の態度についての質問に対し、ハワード首相は、戦後60年が経過し、特に高齢層にはまだ辛い記憶が残る人もあるが、注目すべきは、今の緊密な日豪関係の基盤となっている通商条約が、1957年に日本と闘いPOWとなった人々によって締結されたことであり、過去を忘れることはないものの、将来を見ていたこれら先人の成果を評価している旨述べた。

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