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平成17年4月20日
日豪経済貿易枠組み(TEF)が発足して以降1年10ヶ月が経過した。この間、TEFの実施状況を検証し、具体的行動を検討する合同協議委員会は1回のテレビ会議を含め計4回の会合を開催した。この委員会において確認した日豪貿易投資の自由化・円滑化に向けた取り組みの主な進展は以下のとおりである。
日豪の政府は、枠組により特定された11分野において、二国間の貿易投資の円滑化のため様々な共同の取り組みを行ってきた。これらの取り組みは、主要な先進的な経済国である両国の緊密な協力関係を示すものであり、両国政府は今後ともこのような協力的関係を発展させていくことが重要であることを確認した。
(1)食品
食品安全に関する検査及び証明書制度について、情報交換の推進や透明性の向上等を目的とした二国間の実務家レベルの技術的な議論等を実施中。
(2)情報通信技術
2003年12月、外務省と豪外貿省の間で、電子証明書の相互承認に係わる法制度理解の促進、電子商取引利用者に対する平等な保護、電子送信のプライバシー情報の保護、電子政府に関する情報交換、情報格差の解消、ブロードバンド・アクセス・サービス等の分野における協力促進を目的に、「情報経済と情報通信技術産業における日豪協力の強化された枠組み」文書に署名。
(3)税関協力
日豪税関当局間の協力枠組みに2003年6月に署名。WCO(World Customs Organization)税関データモデルの連携実施に係る検討作業を2004年11月に実施。
(4)技術士資格の相互承認
2003年10月に協力文書に署名。Mechanical、Chemical、Electricalに関する日本のAPECエンジニアの第2回目の審査・登録を2004年10月に実施し、2005年3月31日現在でMechanical7名、Chemical8名、Electrical13名の技術士がAPECエンジニアに登録されている。
(5)投資促進
2003年10月、ジェトロ、豪州投資促進庁(Invest Australia)、豪州貿易促進庁(Austrade)の間で、双方向の投資促進を目的とする相互協力の増進と対話の強化を図るため了解覚書(MOU)に署名。ジェトロがAustradeとの共催で、対日投資促進セミナーを一昨年11月に豪州5都市で、昨年8月に豪州3都市でそれぞれ開催。 2005年は10、11月に、4、5都市で開催予定。
(6)エネルギー
2003年6月、資源エネルギー庁と豪産業観光資源省の間で、政策対話と協力の拡大・深化、及び日豪エネルギー高級事務レベル協議(HLG)の強化等を目的として枠組み文書に署名。2004年5月第28回HLGでは、従来の石油・天然ガスや石炭といった問題に加え、鉱物、新エネルギー等を議題として取り上げ、エネルギー情勢・政策について包括的に議論。
(7)競争政策
2003年5月、公正取引委員会と豪州競争・消費者委員会は、独占禁止協力協定締結の可能性についての検討開始を発表。協定の形式や対象となるべき協力の分野など協定の骨子案等について、担当者レベルで検討及び情報交換を続けてきている。
(8)証券市場における監督上の協力
2004年9月、金融庁と豪証券投資委員会の間の証券分野の情報交換枠組みを構築。
(9)知的財産権
特許庁とIP AUSTRALIA(豪州の特許主管省庁)は、互いの特許制度の理解のために専門家を交換派遣することを検討中。
(10)政府調達
日豪間で、それぞれの制度に関し情報交換を行ってきている。
(11)建設業許可
建設業許可については、国土交通省と豪建設業許可協議会及び豪産業省との間で専門家会合、情報交換を実施中。
2年間の期限で実施予定であった共同研究(概要(日本語版)・全文(英語版))は、1年10ヶ月で終了。両国政府は、今後さらなる経済関係強化のために可能な方策を探求するにあたり、この研究結果は有益であることを確認した。
合同協議委員会においては、共同研究作業部会に対し共同研究の実施を指示し、また、貿易投資関連の円滑化措置の進展状況のレビューを行ったほか、貿易投資政策に関する様々な課題について率直な意見交換・情報交換を行ってきた。その中には、それぞれの各国とのFTA及びEPAの取り組み及び相手国の関心事項にあたる新たに導入した政府措置を含むものである。
日豪経済貿易枠組みの中で、さまざまな日豪貿易経済強化ための措置を推進してきたが、同枠組みには含まれないが、日豪間のビジネス活動の環境改善に資する措置についても日豪政府間で検討が行われてきている。具体的には、日豪間で社会保障協定の交渉開始に合意したことである。日豪社会保障協定は、日豪両国の年金制度を適切な形で調整し、両国のビジネスマンが相手国において年金制度の相違により発生する不必要な負担を負うことなく経済活動を行える法的な基盤を整備するものである。両国政府は6月にも第1回交渉を開始する予定である。