安倍総理大臣
日米首脳会談(概要)
平成25年9月5日



5日、G20サミットのためサンクトペテルブルクを訪問中の安倍総理は、午後3時15分頃(現地時間)より約1時間、オバマ米大統領と首脳会談を行ったところ、概要以下のとおり。
- 冒頭
- 冒頭、安倍総理より、G20サミットの機会にオバマ大統領とお会いでき嬉しい、一昨日大統領とシリア情勢を中心に電話会談を行えたことは非常に有意義であった、本件については引き続き大統領と緊密に連携し、事態を改善していきたい旨述べた。また、2月の日米首脳会談以来、自分はTPP交渉への参加等の重要課題について決断をしてきた、その後、先般の参院選で国民の信任を得たことを踏まえ、今後は安定的な勢力の下で、経済や安全保障上の課題に腰を据えて取り組みたい、本日はこうした課題に関する中長期的な日米協力の方向性についても話し合いたい旨述べた。
- これに対しオバマ大統領より、自分も安倍総理に会えて嬉しい、以前にも述べたとおり、日米同盟は日米両国の安全の礎であるのみならず、世界の多くの国にとって安全の礎である旨述べた。また、オバマ大統領より、G20サミットは経済を議論する場であるので、成長や雇用の問題が話し合われることになるが、安倍総理は成長戦略に取り組んでおられると承知している、我々はTPP交渉を年内に終えることにコミットしており、世界で最も活力のある地域を開かれたものにするという意味でもTPPは重要である旨述べた。さらにオバマ大統領より、一連の安全保障の問題についても議論したい、朝鮮半島の核化の懸念や、北朝鮮が国際法に違反している問題もある、シリア情勢についても掘り下げた議論を行いたい、シリアにおける化学兵器使用の問題に対する懸念を日米両国は共有している旨述べた。
- シリア情勢
- 安倍総理より、シリアにおいて化学兵器が使用された可能性が極めて高いことを強く懸念する、化学兵器の使用はいかなる場合も断じて許されない、この問題はシリアにとどまらず北朝鮮等の大量破壊兵器を保有する国との関係にも波及する、シリア情勢の悪化の責任は、人道状況の悪化を顧みないアサド政権にあるのは明らかである旨述べた。また、安倍総理より、一昨日の電話会談で伺った大統領のお考えは十分理解しており、重い決意だと受け止めている、米国こそ非人道的行為を食い止める責任を果たしており、心から敬意を表する、国際社会が一致しているということについての明確なメッセージを発することが重要である、国際社会の幅広いコンセンサスを得ようとする大統領の努力を評価する旨述べた。さらに安倍総理より、日本としても、米国をはじめとする国際社会と緊密に連携し、シリア情勢の改善・正常化のため、ジュネーブ2会議を始めとするプロセスに積極的に参加していきたい、難民支援や周辺国支援にも一層積極的に取り組み、役割を果たしていきたい、今回のG20サミットで可能な限り国際社会が一致結束していることを示すべきであり、オバマ大統領と協力していきたい旨述べた。
- これに対しオバマ大統領より、シリアの問題に関する米国の考え方について改めて説明した上で、この問題に対する国際社会の連携が重要であるとの安倍総理の発言に賛意が示された。
- 両首脳は、今回のG20サミットで各国のリーダーが揃うという環境の中で、シリアの問題に関して様々な議論が行われることについて、日米両国がしっかりと連携していくことを確認した。
- 日米関係
- 経済
- 安倍総理より、政権の最優先課題は経済の再生であり、雇用・医療・農業分野の制度・規制改革、特区での規制改革を通じた対内直接投資の拡大等、成長戦略の諸施策を着実に実施していく決意である、力強い日本経済の成長は力強い日米同盟につながるものと確信している旨述べた。
- 安倍総理より、TPPは戦略的観点からも重要である旨述べ、両首脳は、交渉の年内妥結に向けて緊密に協力していくことを確認した。
- 安倍総理より、先般の米国から日本へのLNG輸出が承認されたことを歓迎する、日本企業が関与する他の2件の事業の早期承認についても大統領の配慮を得たいと述べた。
- 安全保障
- 安倍総理より、地域・国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に取り組む決意を述べ、今後、NSCの設置、防衛大綱の見直し、情報の保全、集団的自衛権の行使に関する検討に取り組むことを説明した。また、安倍総理より、日米同盟の抑止力を高めるため、在日米軍再編を着実に推進していく必要があり、普天間問題をめぐる難局も打開する決意である旨述べるとともに、「2+2」開催を実現し、安保・防衛協力の具体化につなげ、力強い日米同盟の方向性を内外に示したいと述べた。さらに安倍総理より、戦後日本はアジアの平和と安定に貢献してきた、こうした日本の取組は平和主義が前提であり、近隣諸国にも丁寧に説明していく考えであることを説明した。
- これに対しオバマ大統領より、日米同盟の強化は最優先課題であり、協力して懸案を解決し、未来志向の同盟にしていきたい旨述べた。また、オバマ大統領より、「2+2」を開催して防衛に関するビジョンを打ち出すことに賛成である旨述べた。
- オバマ大統領の訪日招請
安倍総理より、改めてオバマ大統領の訪日を招請し、都合の良い時期をお知らせ頂きたい旨述べた。これに対しオバマ大統領より、日本は何度か訪問したがその度に楽しい時間を過ごした、是非調整したい旨述べた。
- 経済
- アジア太平洋地域情勢
- 北朝鮮
安倍総理より、北朝鮮が非核化に向けた行動をとるよう圧力を継続すべきである旨述べ、日本は米国と緊密に連携し、8月30日に北朝鮮に対する追加金融制裁措置を発表したことを説明した。両首脳は、引き続き日米、日米韓で連携していくことを確認した。 - 中国
両首脳は、中国に対して日米両国が協力していくことが非常に重要であるということを確認した。安倍総理より、日中関係は最も重要な二国間関係の一つであり、大局的な見地に立って戦略的互恵関係の原点に戻る必要がある、対話のドアは常にオープンである旨述べ、オバマ大統領もこれに賛意を示した。
- 北朝鮮
- 結語
- 両首脳は、今回の首脳会談が非常に有意義な会談であったことを確認し、可能であればAPEC首脳会議の際に改めて会談することで一致した。
- 最後にオバマ大統領より、2020年のオリンピック・パラリンピック開催地に東京が立候補していることについて、グッドラックと述べた。