岸田外務大臣

平成25年7月25日
ペレス・イスラエル大統領表敬
ネタニヤフ・イスラエル首相兼外相との会談
アッバース・パレスチナ大統領表敬
中東訪問中の岸田外務大臣は,7月24日(水曜日),イスラエル,パレスチナにおいて各要人との会談等を行ったところ,概要は以下のとおり。

1.主な行事等
(イスラエル)ペレス大統領表敬,リヴニ司法相(対パレスチナ交渉担当)との会談,シャローム地域協力相との会談,ヤド・ヴァシェム(ホロコースト記念館)訪問,ネタニヤフ首相兼外相との会談(24日午前~午後,以上すべて,於:エルサレム)

(パレスチナ)マーリキー外務庁長官との会談,アッバース大統領表敬,ノン・プロジェクト無償資金協力E/N署名式,アッバース大統領とのイフタール(断食明けの夕食会)(24日夕,以上すべて,於:ラマッラ)

2.概要
(1)イスラエル
ア 二国間関係
●二国間関係を更に強化していくことで一致。特に,広報文化,安全保障,国際法の他,宇宙分野における専門家同士の対話を含めた二国間の対話の枠組みの強化,共に先進国である科学技術における協力の推進などで一致。

●岸田大臣からネタニヤフ首相に対し訪日を招請。これに対し,ネタニヤフ首相から訪日について強い意欲が示されると共に,安倍総理にもイスラエルを訪問して頂きたい旨発言。

イ 中東和平
●岸田大臣から,ケリー国務長官を始めとする米国の尽力により,先週来,前向きな動きが見られる中で,和平実現は地域安定化の核となるとの認識の下,真摯な対話及び交渉を行うよう働きかけ。また,交渉再開はあくまでもスタート地点であり,日本としても,「平和と繁栄の回廊」構想や「パレスチナ開発のため東アジア協力促進会合(CEAPAD)」といった日本独自の取組の推進や,イスラエル・パレスチナ合同青年招へいの枠の倍増など,交渉が奏功するよう政治・経済両面から後押ししていく考えを伝達。更に,以上のメッセージは,パレスチナ側にも直接伝えると述べた上で,イスラエル側には特に入植地の建設停止を含めて,雰囲気を壊さないようにしてもらいたい旨言及。

●これに対して,ネタニヤフ首相を含む各要人から,「平和と繁栄の回廊」構想を含め,これまでの日本の中東和平への貢献に対して高く評価する旨表明。また,ケリー国務長官の努力によって和平交渉が再開されつつある現状について,この機会を逃すべきではなく,和平実現に向け真剣に交渉に臨みたいとの前向きな発言がなされた。特に,ネタニヤフ首相から,途中で枠組みが壊れないように取組を継続して続けていくことが重要であり,色々と課題はあるが,それらは交渉の中で解決していきたい旨指摘。
(この他,イランの核問題等についても意見交換をし,こうした地域の課題についても対話を深めていくことで一致。)

(2)パレスチナ
ア 中東和平
●アッバース大統領から,和平交渉が再開されればそれに真剣に取り組んでいく,また,その見通しについては前向きに考えている旨述べるとともに,昨年秋のパレスチナに「国家」としての国連オブザーバーの地位を与える国連総会決議に対する日本の支持について改めて深い感謝の意が表明された。

●これに対して岸田大臣から,交渉再開のきざしが見えていることを大いに歓迎し,真摯な対話,交渉が進んでいくことを期待する,ただし,交渉再開はあくまでもスタート地点であり,実際に成功するには当事者が努力をする必要がある,日本としても政治面・経済面でサポートしていく用意がある旨発言。経済面では,明日ジェリコで四者協議閣僚級会合が開催されるが,農産加工団地は将来の二国家解決の環境作りにも資する旨発言。その上で,パレスチナには,国際機関への加盟を進めることで和平交渉の機運,環境を良くない形にすることは控えてほしい旨言及。

イ 対パレスチナ支援
●岸田大臣から,イスラエル・パレスチナ合同青年招へいの枠を倍増させたことに加え,就任して以来,今回署名した8億円のノン・プロジェクト無償を含めて41億円の対パレスチナ支援を行っているが,他の分野でも更に支援をしていく用意がある旨述べ,また,CEAPADの今後のスケジュールを含め考え方を説明。

●アッバース大統領からは,「平和と繁栄の回廊」構想やCEAPADを含め,日本の対パレスチナ支援について繰り返し感謝の意が述べられるとともに,UNRWAを通じた,シリアで困難な状況に陥っているパレスチナの難民に対する日本の支援についても非常にタイミングの良いものであり高く評価している旨言及。


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