平成20年2月11日
2月9日(土曜日)から10日(日曜日)まで、高村外務大臣は、ドイツ・ミュンヘンで開催された第44回ミュンヘン安全保障会議に出席し、演説を行った。また、この機会を利用して各国要人と会談を行ったところ、日程及び会談等の概要は以下のとおり。
日付 | 内容 |
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2月9日 | シュタインマイヤー独副首相兼外務大臣との会談 イワノフ・ロシア第1副首相との会談 バイエルン州首相主催夕食会参加 |
2月10日 | ナラヤナン・インド国家安全保障顧問との会談 第44回ミュンヘン安全保障会議参加、演説 ソラナEUソラナEU共通外交安全保障政策上級代表 |
欧米における安全保障会議に関する最も権威のある国際会議の一つ。1962年に発足して以来、例年2月に開催されている。
開催国である独をはじめ、米、英、仏等のNATO諸国の閣僚、国会議員、高級軍人、また、ワルシャワ条約機構解体後はロシア、中・東欧諸国の関係閣僚等、総勢200~300名を越す各国要人が出席。
現主催者は、テルチック独ヘルベルト=クウォント財団理事長。
今回の会議は、「混乱する世界 - 権力の推移、戦略の欠如?」を全体テーマとして掲げ、2日間で合計7つのセッションにゲイツ米国防長官、シュタインマイヤー独副首相兼外務大臣、イワノフ露第一副首相等ハイレベルの閣僚の参加を得て、国際社会の安全保障環境が変化する中で各国、地域及び世界が直面する課題や今後の協力のあり方を中心に議論が行われた。
また、アジアに焦点を当てたセッション「アジア:国際的安定の構築」が設けられ、高村外務大臣が、ナラヤナン・インド国家安全保障顧問及びテオ・シンガポール国防大臣と共に、アジアの現状及び展望、地域及び国際社会の安定と繁栄のために日本の果たすべき役割等について基調演説を行った。
高村大臣は、滞在中、シュタインマイヤー独副首相兼外務大臣、イワノフ・ロシア第1副首相、ナラヤナン・インド国家安全保障顧問、ソラナEU共通外交安全保障政策代表と会談を行った。各会談の概要は以下のとおり。
2月9日(土曜日)17時25分から約40分間、高村大臣はシュタインマイヤー独副首相兼外相と会談した。本会談は昨年9月のNYでの会談に続いて2回目。同会談で、高村大臣はG8議長国として前議長国からの引き継ぎを確認し、不拡散問題、アフガニスタン、北朝鮮等の国際情勢について有意義な意見交換を行った。
2月9日(土曜日)18時半から約40分間、高村大臣はイワノフ露第一副首相と会談した。同会談で、高村大臣は、日露関係を高い次元に引き上げるとの両首脳の認識の一致がある中で、平和条約締結交渉のみが遅れることのないようこれを進展させる必要性を訴えた。イワノフ第一副首相は、日本の技術や極東における協力に関心があるとして、大統領選挙後の訪日招請を受け入れた。また、双方は、アジア太平洋地域を含む安全保障問題について対話を深めていくことで一致した。
(3)ナラヤナン・インド国家安全保障顧問との会談
2月10日(日曜日)8時半から約30分間、高村大臣はナラヤナン・インド国家安全保障顧問と会談した。同会談で、大臣及びナラヤナン顧問は、基本的価値と戦略的利益を共有する両国の関係強化はアジアの安定と繁栄のために重要であり、今後とも政治、経済、文化、及び気候変動問題等幅広い分野での協力を強化することで一致した。また、南アジア情勢について意見交換が行われた。
2月10日(日曜日)13時25分から約35分間、高村大臣はソラナEU共通外交安全保障政策上級代表と会談した。大臣から、我が国で本年5月にTICAD IV、6月にG8外相会合、7月に北海道洞爺湖サミットが開催することに言及し、その成功に向け、環境・気候変動問題、開発・アフリカ、不拡散等の問題が重要であり、EUとの協力を一層深めていきたい旨発言し、EUのソラナCFSP上級代表から支持を得た。その他、関連する国際情勢について協議した。
(5)その他
上記のほか、2月9日(土曜日)に開催されたベックシュタイン・バイエルン州首相主催の夕食会等の場でゲイツ米国防大臣、シコルスキ・ポーランド外相及びルーペル・スロベニア外相等と二国間関係及び国際情勢について短時間会談をし、二国間関係及び国際情勢について意見交換をした。
欧米を中心とした世界の主要な安全保障関係者が集う場で、アジア情勢についての日本の見方を直接説明し、アジアの安定のためにともに貢献して欲しいとのメッセージを発出することができたことは有意義であった。