高村外務大臣

高村外務大臣とイワノフ露第一副首相との会談(結果概要)

平成20年2月10日

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 2月9日18時30分(現地時間)より約40分間、第44回ミュンヘン安全保障会議に出席するためドイツ・ミュンヘンを訪問中の高村外務大臣は、セルゲイ・イワノフ・ロシア第一副首相と会談したところ、概要以下のとおり。

1. 日露関係全般

(1)高村大臣より、日露関係は良い方向に発展しており、両首脳は、日露関係をすべての分野において高い次元に引き上げるとの方針で一致している、本年は日露間の政治対話を一層活発化させていきたい、貴第一副首相にも日露協力に一層関与願いたく、貴第一副首相を日本に招待したい旨述べた。

(2)これに対しイワノフ第一副首相より、日露関係は順調に発展している、自分は昨年末のサンクトペテルブルクにおけるトヨタ工場のラインオフ式の際に森元総理とお会いした、ロシアはハイテク分野を中心に日本との技術面での協力に関心がある、その他交通インフラ等でも協力してきたい旨述べた。

(3)また、イワノフ第一副首相より、ロシア指導部は極東の開発に大きな関心を示しており、エネルギー・インフラ、幹線道路の敷設、原子力分野等において日本との協力の可能性がある旨言及した上で、自分に対する訪日招待を喜んで受け入れる、3月2日に行われる大統領選挙の結果次第であり、次期首相(注:イワノフ第一副首相はプーチン大統領のことを述べていた。)が決めることであるが、自分は政府の役職に留まる可能性が大きいと述べて、大統領選挙後の訪日を受け入れるという考え方を示した。

2. 北方領土問題

(1)高村大臣より、平和条約のみが停滞することのないよう進展させたい旨述べたのに対し、イワノフ第一副首相より、この問題は外務省の所掌であるが、ラヴロフ外務大臣と高村大臣がこの問題を含めてコンタクトを取っていること、また、プーチン大統領と歴代の総理とのやり取りについては承知している、ロシアはこの問題について話し合うことを拒否することなく、議論にオープンであり、この問題が両国関係の発展を妨げていることもよく理解している、これまでいろいろな試みがなされたが、1956年が解決に最も近づいた地点であった、この問題にのみとらわれることなく、日露を取り巻く現実の状況も考慮すべきである旨述べた。

(2)これに対し高村大臣より、1956年の文書が平和条約ではなく共同宣言という形式となった意味をよく理解する必要がある、貴第一副首相が述べられたことをすべて理解した上で、現状において日露関係の中で平和条約問題のみが遅れていることを理解してもらう必要がある旨述べたところ、イワノフ第一副首相は、その点については御指摘のとおりである旨述べた。

3. 安全保障問題

(1)イワノフ第一副首相より、ミュンヘン安全保障会議における議論のベクトルがアジアに向いていると指摘した上で、ロシアは欧州の国であるが国土の3分の2はアジアにあり、安全保障の問題について日本との間で活発に議論することを期待する旨述べた。これに対し高村大臣より、昨年10月、自分はラヴロフ外務大臣と会談したが、日露は安全保障の分野でも議論すべき事項があると感じた、また、極東・東シベリアはロシアによって重要な安全保障の問題と理解しており、日本側が提案した「極東・東シベリア・イニシアティブ」には安全保障分野での協力も含まれている旨述べ、アジア太平洋地域における安全保障分野での日露間の対話を深めていくことで一致した。

(2)9日早朝に発生したロシア機による領空侵犯事案について、イワノフ第一副首相から、ロシア側において調査した結果、領空侵犯の事実はなかった旨述べるとともに、日露間では共同演習、防衛交流を続けるべきであり、それにより信頼が生まれ、疑念はなくなっていくと述べた。これに対して高村大臣より、領空侵犯については我が方の自衛隊機が目視で確認している、事務方で既に抗議するとともに事実関係の調査を申し入れているが、もう一度しっかりと調べてほしいと述べたところ、イワノフ第一副首相は、技術面を含めもう一度詳細に調べてみようと述べた。

4. 日露経済関係

(1)日露間の経済関係を一層発展させるため、「イニシアティブ」を着実に実施するとともに、民間同士の協力を両国政府が可能な限りサポートすることで一致した。

(2)高村大臣より、気候変動や生態系保全の分野でも日露間で協力を進めていくことの重要性を指摘した。(なお、これに関連して、気候変動に関する日露協議が2月27日に東京で開催されることが既に日露間で合意されている。)

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