国際社会における法の支配

アジアの海における法の支配 平和と安定への航海図

平成27年3月31日
海洋法に関する国際シンポジウムの様子
開会の辞を述べる岸田文雄外務大臣

1.概要

基調講演を行う柳井俊二国際海洋法裁判所裁判官
レセプションを主催する城内実外務副大臣
  • (1)平成27年2月12日及び13日,外務省は,東京(三田共用会議所講堂)において,海洋法に関する国際シンポジウム「アジアの海における法の支配 平和と安定への航海図」を開催しました。
  • (2)近年,アジアの海において国家間で摩擦や緊張が高まる事例が増え,国際社会も重大な関心をもって注視していることを受け,安倍総理は,昨年5月の第13回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)において,「海における法の支配」三原則を提唱し,(ア)国家は法に基づいて主張をなすべきこと,(イ)主張を通すために,力や,威圧を用いないこと,及び(ウ)紛争解決には,平和的収拾を徹底すべきことを呼びかけました。本シンポジウムは,上記三原則を踏まえ,アジアにおいて国連海洋法条約(UNCLOS)を中心とする「海における法の支配」につき共通の理解を醸成することを目指し,国際的・学術的な議論の場を提供しようとするものです。
  • (3)本シンポジウムでは,オープニング・セッションにおいて,岸田文雄外務大臣が開会の辞を述べ,アジアの海の平和と安定のために,UNCLOSを中心とする海洋法に基づく「法の支配」を,諸国間の共通の航海図とすることが必要であると強調しました。また,柳井俊二国際海洋法裁判所裁判官(前同裁判所所長)が基調講演を行い,UNCLOSが「海における法の支配」の確立において果たしてきた役割と,同条約の今後の発展のために国家に求められること,また,アジアの国々の紛争の平和的解決への関わり方について論じました。
パネルディスカッションの様子
会場の様子
  • (4)その後,1日半に分けてパネルディスカッションが行われ,国外(英,仏,伊,中国及びベトナム)及び国内から,権威ある海洋法研究者及び実務家がパネリストとして出席しました。また,在京外交団,政府関係者,研究者,学生ら延べ290人余が参加し,パネリストとの間で活発な質疑応答が行われました。
  • (5)また,2月12日夕には,三田共用会議所レセプションホールにおいて,本シンポジウム出席者を招待し,城内実外務副大臣主催レセプションが行われました。同レセプションでは,多くの出席を得て,和やかな雰囲気の中,意見交換が行われました。

2.シンポジウム資料

【基調講演・パネルディスカッション】

第一部 国連海洋法条約に基づく海域における沿岸国の権利と権原

 コーディネーター:河野 真理子 早稲田大学法学学術院教授

トゥーリオ・トレヴェス ミラノ大学法学部教授,元国際海洋法裁判所裁判官
「国連海洋法条約に基づく海域における沿岸国の権利の法的性質」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
坂元 茂樹 同志社大学法学部教授
「歴史的水域及び権利の再検討:国連海洋法条約との適合性」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
西本 健太郎 東北大学大学院法学研究科准教授
「400海里未満の海域における延長大陸棚の主張から生じる問題」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く

第二部 境界未画定海域の法レジーム

 コーディネーター:坂元 茂樹 同志社大学法学部教授

奥脇 直也 明治大学法科大学院教授
「境界未画定海域における自制と協力の義務」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
ロバート・G・ヴォルテッラ ロンドン大学ユニバーシティカレッジ法学部客員教授 ヴォルテッラ・フィエッタ弁護士事務所
「国連海洋法条約第74条3及び第83条3の下での自制義務及び協力義務の違反と,かかる違反への可能な対応(紛争の裁判所への付託を含む。)」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
グエン・ティー・ラン=アイン ヴェトナム外交学院南シナ海研究所 副所長
「最終的な海洋境界画定に達するまでの間の暫定取極:成功事例の検討」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く

第三部 国連海洋法条約と海洋紛争の平和的解決

 コーディネーター:奥脇 直也 明治大学法科大学院教授

河野 真理子 早稲田大学法学学術院教授
「国連海洋法条約に基づく強制的紛争解決制度の意義と課題」(報告資料(PDF)別ウィンドウで開く
張 新軍 清華大学法学院准教授
「雌鶏,卵,ひよこ: 混合紛争の管轄権に関するジレンマとフィリピン対中国仲裁事件」
マチアス・フォルトー パリ西大学教授(国際法),国連国際法委員会委員
「仲裁手続への第三国参加:国連海洋法条約附属書VIIに基づく仲裁の二極的性格と同条約の多極的性格の間のギャップを埋める可能な手段として」


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