国際保健
「外交」Vol.83(令和6年1月発行)への赤堀地球規模課題審議官、江副国際保健戦略官寄稿
「新型コロナ外交と『コロナ後』の国際保健外交戦略」
令和6年1月31日
- 外交専門誌「外交」Vol.83(令和6年1月発行)に、「新型コロナ外交と『コロナ後』の国際保健外交戦略」について赤堀地球規模課題審議官と江副国際保健戦略官が執筆した記事が掲載されました。
- 寄稿の要旨は以下のとおりです。
- (1)国際保健外交の主要課題は、ア 新型コロナの教訓に学び、将来のパンデミックを世界全体でより良く防ぎ、備え、対応できるようにすること、イ 新型コロナで後退した保健課題の立て直しを含め、全ての人に負担可能な費用で良質な医療を提供するユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成することである。
- (2)新型コロナウイルス感染症に対し、日本政府は国内における各種施策のみならず、二国間、多国間双方のアプローチで特に医療体制が脆弱な開発途上国を支援し、国際社会の連帯を呼びかけた。
- (3)ワクチン協力においては、COVAXや「ラスト・ワン・マイル支援」を通じて外交面で積極的なリーダーシップを取り、高く評価された。
- (4)ポスト・コロナに向けた取組として、いわゆる「パンデミック条約」の作成に向けた政府間交渉会議が開始された他、国内では日本政府の「グローバルヘルス戦略」の策定や関係省庁での体制増強が図られた。
- (5)転換点としてのG7広島サミットでは、アジェンダとしてア 公衆衛生危機対応のためのグローバルヘルス・アーキテクチャーの構築・強化、イ より強靱、より公平、より持続可能なUHC達成への貢献、ウ さまざまな健康課題に対応するためのヘルス・イノベーション促進の3つを策定。日本政府として「パニック」と「忘却」の連鎖を断ち切り、新型コロナの教訓を踏まえ、新たな健康危機に向けたグローバルな体制を構築し、UHCの実現に向けて世界の構造変化を導いていくことを意識した。
- (6)残された課題として、パンデミックに関するルールの改善、持続可能な資金の確保、国際保健ガバナンスの強化などが挙げられ、PPR強化やUHC達成に向けた課題の多くは継続的な取組が求められる。日本がその取組を主導することが期待される。