国際保健

令和5年6月28日

2023年G7における保健分野の議論概要

 日本はG7議長国として、2023年5月13日から14日にかけて、G7長崎保健大臣会合、また5月19日から21日にかけて、G7広島サミットを主催しました。広島サミットでは、20日に行われたセッション6「複合的危機への連携した対応」において、G7メンバーに加えて2023年のG20議長国であるインドを含む8か国の招待国とWHOや世界銀行を含む7つの招待機関(注1)を交え、1. 公衆衛生危機対応のためのグローバルヘルス・アーキテクチャー(GHA)(注2)の構築・強化、2. より強靱、より公平、より持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(注3)達成への貢献、3. 様々な健康課題に対応するためのヘルス・イノベーションの促進の3つの柱を軸にして、保健分野に関する議論が行われました。

(注1)

  • 8か国の招待国:豪州、ブラジル、コモロ(アフリカ連合(AU)議長国)、クック諸島(太平洋諸島フォーラム(PIF)議長国)、インド(G20議長国)、インドネシア(ASEAN議長国)、韓国、ベトナム。
  • 7つの招待機関:国連、国際エネルギー機関(IEA)、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)、世界銀行、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)。

(注2)

  • グローバルヘルス・アーキテクチャー(GHA)とは、国際保健協力の枠組みのこと。

(注3)

  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは、全ての人が、効果的で良質な保健医療サービスを負担可能な費用で受けられること。

G7広島サミットにおける保健分野の結果概要

 セッション6「複合的危機への連携した対応」で、岸田総理大臣は、グローバルヘルス・アーキテクチャー(GHA)の構築・強化に関して、首脳級ガバナンスや国際規範設定の重要性や、既存の機関等による緩やかな連携としての「ソフト・ガバナンス」の視点を指摘しました。次に、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成への貢献に関しては、G7として、官民合わせて480億米ドル以上の資金貢献を表明するとともに、インパクト投資や「G7 UHCグローバル・プラン」を含め、UHC達成に向けた取組を後押しする旨述べました。さらに、パンデミックや薬剤耐性(AMR)への対応を含むヘルス・イノベーションの促進に関しては、今般G7が発出した「感染症危機対応医薬品等(MCM)への公平なアクセスのためのG7広島ビジョン」で示した原則に基づき、感染症危機対応医薬品等(MCM)に関するデリバリー・パートナーシップを立ち上げることを紹介し、連携を呼びかけました。
 サミット最終日の議長国記者会見で、岸田総理大臣は、新型コロナが収束する中、「次なる危機」に備えるための国際保健について議論を深め、参加国・機関との連帯を確認できたと述べました。なお、国際保健について、G7全体として資金貢献を行っていく中で、日本は、グローバルヘルス技術振興基金への2億ドルのプレッジを含め、2022年から2025年までに官民合わせて75億ドル規模の貢献を行う考えです。


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