気候変動

気候変動と太平洋

令和2年3月10日

 外務省は,2019年11月にインターネット上において,アジア・大洋州における気候変動と脆弱性に関する国際会議2019を開催しました。当該会議は当初,2019年10月12日に横浜市のパシフィコ横浜において開催する予定でしたが,令和元年台風第19号のため,形式と日程を変更して開催することにしました。
 今年のテーマは海洋で,会議では,様々なバックグラウンドの参加者より,最新の科学的知見や気候変動に係る取組みの紹介が行われました。

1 開催の背景

 気候変動は,地球規模の安全保障及び経済の繁栄に脅威をもたらすものとして,最も深刻な課題の一つと捉えられています。このことを踏まえ,外務省は,2017年1月の「気候変動と脆弱性の国際安全保障への影響」に関する円卓セミナー及びそのフォローアップの検討会を開催し,我が国はアジア・大洋州に焦点を絞って気候変動と脆弱性について調査・議論していく等の示唆を得ました。これを受けて,2018年7月には,アジア・大洋州における気候変動と脆弱性に関する国際会議: 長期リスクの科学・地域情勢・ビジネスの連関を開催しています。
 気候変動問題を考えるにあたり海洋が重要な役割を持っていること,また気候変動に関する政府間パネル(IPCC)より海洋と雪氷圏に関する特別報告書(SROCC)が9月末に公表されたこと等を考慮し,2019年は海洋をテーマに,この会議を開催することにしました。

2 会議の概要

日時:
2019年11月(詳細下記)
場所:
インターネット上で開催
出席者:
事前登録者は,国内外の政府・地方自治体関係者,国際機関職員,気候変動や海洋に関する研究者,企業,NGOなど約130名
言語:
英語(通訳なし)
備考:
令和元年台風第19号の接近に伴い,10月10日,当該会議の横浜開催を中止しました。
登壇者の協力を受け,講演を動画の形で他の登壇者及び予め参加登録のあった約130名に一定期間提供するとともに,パネルディスカッションをインターネット上で3回に分けて開催しました。登壇者及びパネルディスカッションの開催日時は次のとおりです。
セッション1:太平洋における気候変動の影響(パネルディスカッション11月13日11時00分~12時00分(日本時間))
  • 基調講演
    • タスマニア大学海洋・南極研究所 海洋・雪氷圏プログラム 海洋物理学教授 Prof. Nathan BINDOFF
  • その他の登壇者
    • フィリピン大気地球物理天文庁次長(運用・サービス担当) Dr. Landrico U. DALIDA, Jr.(注1)
    • 東京大学大気海洋研究所教授 伊藤 進一 氏
    • 京都大学防災研究所教授 森 信人 氏
    • 海洋研究開発機構地球環境部門地球表層システム研究センター長 原田 尚美 氏
セッション2:海洋における気候変動対策(パネルディスカッション11月15日14時00分~15時00分(日本時間))
  • 登壇者
    • インドネシア海洋水産研究・人材開発庁海洋研究所 緩和・適応・環境保護研究課長 Mr. Triyono(注1)
    • 有限会社 OceanPixel Dr. Michael L.S. ABUNDO
    • 国際環境保護団体 Rare Ms. Alexandra GAMBOA
    • 国土交通省海事局 海洋・環境政策課 環境渉外室長 今井 新 氏(注2)
    • 五島市役所 地域振興部再生可能エネルギー推進室長 北川 数幸 氏
    •   同   総務企画部政策企画課まちづくり推進班 多田 珠里氏
    • 国際協力機構(JICA)気候変動に対する強靭性向上のための大洋州人材能力向上プロジェクト専門家(チーフアドバイザー) 小川 眞佐子 氏
セッション3:海洋における気候変動対策を支援する国際協力(パネルディスカッション11月21日19時30分~20時30分(日本時間))
  • 登壇者
    • 緑の気候基金(GCF)緩和・適応部副部長(適応担当) Dr. Ania GROBICKI(注1)
    • 気候技術センター・ネットワーク(CTCN)次長 待場 智雄 氏
    • 米財団 the Ocean Foundation ディレクター Mr. Russell F. SMITH III
    • 国際協力機構(JICA)地球環境部 審議役兼次長兼森林・自然環境グループ長 森田 隆博 氏
    • 地球環境戦略研究機関(IGES) 統括研究ディレクター・プリンシパルフェロー 水野 理 氏(注1)
(注1)パネルディスカッションは欠席(講演の提供のみ)
(注2)パネルディスカッションには代理人が出席

3 会議報告書

 講演及びパネルディスカッションを通じ,海洋における気候変動の影響に関する最新の科学的知見,再生可能エネルギーに関する取組み,海運分野における温室効果ガス排出削減の取組みなどを共有するとともに,国際協力のあり方などについて議論が行われました。パネルディスカッションでは,1人1人が行動することの重要性,関連するセクターや隣接地域で連携して取り組むと効率的・効果的であることなどについて発言がありました。



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