フィリピン共和国

平成31年2月10日
道路網を整備するための有償資金協力に関する交換公文に署名する、河野外務大臣とロクシン・フィリピン共和国外務大臣の様子
交換公文を交換する、河野外務大臣とロクシン・フィリピン共和国外務大臣の様子
正面を向き、握手を交わす、河野外務大臣とロクシン・フィリピン共和国外務大臣の様子
  1. 本10日(現地時間同日),フィリピン共和国ミンダナオ島ダバオ市において,我が方河野太郎外務大臣と先方テオドロ・L・ロクシン・フィリピン共和国外務大臣(H.E. Mr. Teodoro L. Locsin, Jr., Secretary of Foreign Affairs of the Republic of the Philippines)との間で,長年,紛争の影響を受けてきたミンダナオ島西部において,フィリピン政府が,人々の生活の基盤となる道路網を整備するための,総額20,204万ドルを限度とする有償資金協力1件に関する交換公文の署名が行われました。
  2. 対象案件の概要(ミンダナオ紛争影響地域道路ネットワーク整備計画案件位置図(PDF))別ウィンドウで開く
     (有償資金協力「ミンダナオ紛争影響地域道路ネットワーク整備計画」,供与限度額20,204万ドル)

     フィリピンのミンダナオ島紛争影響地域では,インフラ投資の不足等が影響し,貧困率がフィリピン国内で最も高く,特に道路網の整備等が遅れています。
     一方,同地域では,新たな自治政府(バンサモロ)の創設に向けた動きが本格化し,1月には我が国住民投票監視団(団長:鈴木憲和外務大臣政務官)をはじめとする国際社会も監視する中で住民投票が行われるなど,和平プロセスが重要な局面を迎えています。
     本計画では,ミンダナオ和平の進展に合わせ,人々の生活の基盤を支える道路網を整備することにより,地域経済活動の活性化,周辺住民の社会サービス(病院等)へのアクセス改善等を図るなど,2022年に予定されている新自治政府発足に向けて,平和の配当の実現,平和の定着を支援します。
     2026年(事業完成2年後)には,新設された道路において以下の利用が見込まれます。
    (ア) 年平均日交通量(台/日) 約9,000台/日
    (イ) 旅客数(人/年) 約20,000,000人/年
    (ウ) 貨物量(トン/年) 約1,550,000トン/年
    (注)各サブプロジェクトの合計値
  3. 供与条件
    (ア) 金利 : 米ドル6か月LIBOR+105bp
          (注)下限金利は0.1%とする。
    (イ) 償還期間 : 25年(7年の据置期間を含む。)
    (ウ) 調達条件 : アンタイド
    (注)本件借款はドル建てで供与されます。ドル建て借款は平成27年11月の「質の高いインフラパートナーシップ」において実施する旨発表され,平成28年4月に創設されたものです。
[参考]フィリピン共和国基礎データ

 フィリピン共和国は,面積約30万平方キロメートル(日本の約8割),人口約1億98万人(2015年,フィリピン国勢調査),人口一人当たりの国民総所得(GNI)は3,660米ドル(2017年,世界銀行)。

[参考]ミンダナオ和平について
  • (1)フィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平交渉により, 2012年10月に「枠組み合意(Framework Agreement)」が,2014年3月に最終的な「包括和平合意(Comprehensive Agreement)」が署名された。
  • (2)最終和平合意に基づき,移行プロセスとして,(ア)バンサモロ基本法の制定,(イ)住民投票の実施,(ウ)暫定移行政府の設置,(エ)バンサモロ議会選挙を経て,新たな自治政府(バンサモロ)が創設される。
  • (3)我が国は,(ア)国際監視団(International Monitoring Team)の社会経済開発部門への開発専門家派遣,(イ)紛争影響地域に対する人間の安全保障・草の根無償資金協力など経済協力プロジェクトの集中的実施(J-BIRD: Japan-Bangsamoro Initiatives for Reconstruction and Development),(ウ)和平プロセスのオブザーバーとして助言を行う国際コンタクト・グループ(International Contact Group)への参加等を通じ,和平プロセスの進展及びミンダナオ地域の復興・開発を積極的に支援してきている。
  • (4)また,2017年10月のドゥテルテ大統領訪日時に発表した「今後5年間の二国間協力に関する日フィリピン共同声明(PDF)別ウィンドウで開く」において,我が国は,中長期的な視点から,J-BIRDの下でこれまで行ってきた幅広い分野におけるミンダナオ開発支援(PDF)別ウィンドウで開くを強化していくことにより,日本の支援を,バンサモロにおける新たな自治政府の設立に向けたプロセスの進展に呼応させることを表明した。

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