日本の安全保障と国際社会の平和と安定

平成25年10月18日

10月14日から10月18日まで、ローマ(イタリア)にて開催されたミサイル技術管理レジーム(MTCR)総会後に発表されたプレスリリースの概要は以下のとおりです。

  1. 過去25年にわたり、MTCRは大量破壊兵器運搬手段の拡散を防止する唯一の手段としての機能を果たし、国際の平和と安全の強化に貢献している。すなわち、いくつかの国は、ミサイル計画を中止し、弾道ミサイルの廃棄も行った。MTCR参加国は、輸出管理を強化し、ミサイルの世界的な拡散を防止してきた。1987年のMTCRの設立は、大量破壊兵器とその運搬手段との関連性を早い時期から多国間で認識したことを示すものであり、四半世紀の間にMTCRによって得られた功績と経験は、世界レベルでの不拡散に向けた取組のための貴重な指標を提供している。
  2. MTCR参加国は、大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散は、国連安保理決議第1540号において認識されているとおり、国際の平和と安全に対する脅威を成すとの考えを改めて表明した。MTCR参加国は、前回ベルリン総会以降に生じたミサイル拡散に関する動向及び今後のあり得べき動向に関し、詳細な情報交換を行った。
  3. MTCRの権限の範囲内で、参加国は、北朝鮮やイランを含む様々な問題に関して幅広い議論を行い、特に、他の地域におけるミサイル拡散活動を支援し得る、中東、北東アジア及び南アジアにおける現行のミサイル計画について、世界的なミサイルの拡散活動に関する懸念を表明した。MTCR参加国は、国連安保理決議第1695号、第1718号、第1874号、第2087号、第2094号及び第1737号、第1747号、第1803号、第1835号、第1929号を含む、不拡散関連の国連安保理決議の履行に係るコミットメントを確認した。大量破壊兵器の運搬手段及びこれらの使用に関するその他の重要な状況についても考察が行われた。MTCR参加国は、ミサイル計画の進展に関する意見交換を継続することに合意した。
  4. ガイドライン及び政策的な事項に関して、MTCR参加国は、MTCRガイドラインと規制品目リスト(MTCR附属書)が輸出管理の国際基準となっており、MTCR非参加国の中にもこれらを遵守する国が増大していること、また、国連の文書にも盛り込まれていることを歓迎した。また、MTCR参加国は、ミサイルの不拡散とMTCRの目的を支持する関心国への情報提供と支援について、一層努力することに合意した。そして、MTCR参加国は、全ての国に対し、国内法及び国際法に従って、大量破壊兵器の運搬手段となる拡散が懸念されるミサイル計画に資するあらゆる品目、資材、物品及び技術の移転を防止するため最大限の警戒を呼びかけた。
  5. MTCR参加国は、MTCRの現行の技術的な作業が極めて重要であることを改めて確認し、関連技術の急速な進展とこれに対処するため前向きな措置をとる必要性を指摘した。MTCR参加国は、設備、ソフトウェア及び技術に関する附属書がミサイル技術の不法移転を防止するためのMTCRの取組にとって不可欠なものであることを認識し、技術専門家会合(TEM)の業績に対して深い謝意を表明した。併せて、MTCR参加国は、法執行専門家会合(LEEM)及び情報交換会合(IEM)の取組について深い謝意を表明した。
  6. MTCR参加国は、大量破壊兵器の運搬手段に資する調達活動及び戦略、すなわち、無形技術の移転リスク及びそれに伴う課題、ミサイル計画の主要な傾向、規制品目リスト以外の品目に対するキャッチ・オール規制について議論した。これらの議論は、MTCR参加国による輸出管理の継続的な情報更新がより一層大きな効果を持ち得ることを示した。MTCR参加国は、仲介、通過及び積替に関する問題、並びに、輸出管理を回避するためにこれらを悪用するための取組について着目することの重要性を強調した。
  7. MTCR参加国は、前議長によるアウトリーチ活動に謝意を表明した。新議長は、MTCRの透明性を高め、かつ、その目的を促進するために、更なるアウトリーチ活動と交流を実施するよう促された。MTCR参加国は、国連安保理決議第1540号の下で求められているミサイル関連の輸出管理の履行において、MTCR非参加国や関心国を支援し、これらの活動について議長に連絡するための個別、集団及び地域的な努力の継続を奨励する。
     この点に関し、MTCR参加国は、ミサイル関連品目の最適な輸出管理の国際指標を提供するMTCRガイドライン及び附属書の有用性に言及した。MTCRガイドラインは、技術面での進歩、発展及び宇宙計画が大量破壊兵器の運搬システムに資するものでない限り、これらの計画に対する障害であってはならない。MTCRガイドラインを既に履行しているMTCR参加希望国その他のMTCR非参加国によるMTCRの目的を支持する活動を歓迎する。
  8. MTCR参加国は、MTCR議長国の連続性と有効性に関する問題を含め、いくつかのMTCRの内部機能の重要な側面について見直しを行った。MTCR参加国は、ウクライナからの2015年から2016年における議長国就任の申し出を歓迎し、承認した。
  9. MTCR参加国は、新規希望参加国の評価に対する全般的な取組を含め、将来の新規参加国に関する問題について意見交換を行った。個別の新規参加申請についても十分に議論された。新規参加国に関する問題は引き続き議題されることとなる。

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