核軍縮・不拡散

ミサイル技術管理レジーム

(MTCR:Missile Technology Control Regime,大量破壊兵器の運搬手段であるミサイル及び関連汎用品・技術の輸出管理体制)

平成29年11月1日

I 目的・経緯

 核兵器等の大量破壊兵器不拡散の観点から,大量破壊兵器の運搬手段となるミサイル及びその開発に寄与しうる関連汎用品・技術の輸出を規制することを目的とする。核兵器の運搬手段となるミサイル及び関連汎用品・技術を対象に1987年4月に発足し,その後1992年7月に核兵器のみならず,生物・化学兵器を含む大量破壊兵器を運搬可能なミサイル及び関連汎用品・技術も対象となった。2017年4月に創設30周年を迎えた。

II 参加国

 35か国(アルゼンチン,オーストラリア,オーストリア,ベルギー,ブラジル,ブルガリア,カナダ,チェコ,デンマーク,フィンランド,フランス,ドイツ,ギリシャ,ハンガリー,アイスランド,インド,アイルランド,イタリア,日本,韓国,ルクセンブルグ,オランダ,ニュージーランド,ノルウェー,ポーランド,ポルトガル,ロシア,南アフリカ,スペイン,スウェーデン,スイス,トルコ,ウクライナ,英国,米国)

III 概要

1 MTCR概要

 MTCRは,大量破壊兵器運搬能力を有するミサイルの拡散を防止するとの目的を共有する諸国が,各国間で輸出管理の取組を調整するための非公式・自発的な集まりである。MTCRの下で参加国は,ミサイル及び関連汎用品・技術に関して合意されたリストの品目について,全地域を対象として,国内法令(我が国においては,外国為替及び外国貿易法,輸出貿易管理令,外国為替令等)に基づき輸出管理を実施している。なお,MTCRは国際約束に基づく枠組みではない。

2 規制指針概要

 MTCR参加国は,MTCRガイドライン及び附属書に従って各国が制定した国内法令により規制を行う。MTCRガイドラインは,MTCRの目的を示し,MTCR参加国及びガイドライン遵守国に対して規制の指針を与えている。附属書は,ミサイルの開発及び生産等に関連する軍用品及び汎用品を含む資機材・技術を広範囲に掲載し,各品目の機微度に応じてカテゴリー Iとカテゴリー IIに区分している。

(1)カテゴリーI

(ア)品目

 搭載能力500キログラム以上かつ射程300キロメートル以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システム及びロケットの各段,再突入機,ロケット推進装置,誘導装置等のサブシステム。

(イ)規制態様
 最大限の慎重さが求められるため,下記のカテゴリーII品目と同じ規制に加え,以下の規制の指針を示している。
(i)輸出の目的にかかわらず,特段の慎重な考慮が行われ,かかる輸出は不許可となる可能性が極めて大きい。
(ii)カテゴリー I品目の生産設備の輸出は許可されない。
(iii)その他のカテゴリーI品目の輸出は,輸出国政府が,1)輸入国政府による保証(注1)を盛り込んだ拘束力のある政府間約束を取り交わし,かつ,2)その品目が申請された最終用途にのみ使用されることを確保するために必要な全ての手段を尽くすことに対する責任を負う場合にのみ,例外的に許可される。

(2)カテゴリーII

(ア)品目
 射程300キロメートル以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システム及びそのようなシステムの開発に使用されうる資機材・技術が対象となる。ミサイル用途以外に使用され得る汎用品も多い。主な品目は以下のとおり。
(i)推進薬,構造材料,ジェットエンジン,加速度計,ジャイロスコープ,発射支援装置,誘導関連機器等。
(ii)搭載能力500キログラム未満であり,射程が300キロメートル以上の完成したロケット・システムや完成した無人航空機システム及びそのシステムを構成するロケットの各段,ロケット推進装置。
(iii)飛行距離にかかわらず,一定量の噴霧器を搭載可能な無人航空機(自動制御や目視外コントロールが可能なもの)。
(イ)規制態様

 カテゴリーII品目については,(注2)の要素に照らして評価された,全ての利用可能で説得力のある情報に基づき,大量破壊兵器の運搬に使用する意図があると輸出国政府が判断する場合には,特段の慎重な考慮が行われ,かかる輸出は不許可となる可能性が極めて大きい。

(3)附属書記載以外のミサイル

 附属書のカテゴリー I及び IIに含まれていないミサイルであっても,(注2)の要素に照らして評価された,全ての利用可能で説得力のある情報に基づき,大量破壊兵器の運搬に使用する意図があると輸出国政府が判断する場合には,特段の慎重な考慮が行われ,かかる輸出は不許可となる可能性が極めて大きい。

(4)附属書記載以外のその他品目

 附属書に記載されていないその他の品目についても,大量破壊兵器の運搬システム(有人航空機を除く。)に関連して使用が意図されている可能性がある場合には,輸出国政府による輸出許可の対象となる。

(注1)輸入国政府による保証

輸出が大量破壊兵器の運搬システムに寄与し得る場合,輸出国政府は輸入国政府から次の事項についての適切な保証を得た場合にのみ附属書中の品目の輸出を承認する。

  1. 当該品目は申請された目的のためにのみ利用され,また輸出国政府の事前の同意なしに,かかる利用が変更されたり,あるいは当該品目が改造又は模造されたりしないこと。
  2. 当該品目,その模造物及び派生物は,輸出国政府の同意なしに再輸出されないこと。

(注2)附属書に記載された品目の輸出許可申請の審査にあたって考慮すべき要素

  1. 大量破壊兵器拡散の懸念
  2. 輸入国のミサイル計画,宇宙計画の能力及び目的
  3. 大量破壊兵器運搬システム(有人航空機を除く)の開発可能性からみた当該輸出案件の重要性
  4. 輸出品目の最終用途についての評価(上記注1の輸入国の関連する保証についての評価を含む)
  5. 関連する多数国間合意の適用可能性
  6. 規制品目がテロリスト(グループないし個人)の手に渡る危険

IV 組織

 議長国は1年ごとに交代し,年1回の総会(議長国において開催)に加え,MTCRガイドライン附属書品目の改定を議論する技術専門家会合(年2回程度)等が開催される。日本は,1991年前半及び1997年11月から1998年10月までの2回,議長国を務めた。また,仏がPOC(Point of Contact)と呼ばれる事務局機能を務めており,仏が議長を務めるPOC会合が必要に応じ年に数回パリで開催される。

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