(1) 1965年英国より独立し、68年に共和制に移行したモルディヴは、78年に就任したガユーム大統領が98年の大統領選挙で五選を果たし、この間社会経済開発を積極的に推進し、政権の安定を確保している。
(2) 外交面では、非同盟中立路線を基本としつつ、南アジア近隣諸国との関係強化に努める一方、イスラム諸国との緊密な関係を保っている。島嶼国であるモルディヴにとって地球温暖化による海面上昇の問題は水没の危機に瀕する死活問題であり、近年同国はその回避のための国際協力を目指し、国連等国際場裡において積極的に国際世論の喚起に努めている。
(3) 経済面では、土壤が農業に不向きであり、天然資源にも乏しいため、主要産業は観光と漁業である。観光業の発展を背景として順調な経済成長率を維持しており、80年代には実質GDP成長率年平均9%を達成し、98年も6.8%を記録した。国全体の均衡のとれた経済・社会開発の推進に努めるとともに、第4次国家開発計画(94~96年)においては、
1)経済運営及び開発(財政赤字の削減、インフレの抑制、輸出促進、民間活力の活用)、
2)社会開発(人口抑制、経済生産性の向上等)、
3)組織的開発(公共部門の生産性向上)、
4)環境
を重点分野として、積極的な経済政策運営を行ってきた。
(4) 我が国とは友好関係にあり、93年11月のガユーム大統領の四期目の大統領就任式には、小渕恵三日本・モルディヴ友好議員連盟会長が特派大使としてモルディヴを訪問した。モルディヴからは、ハミード国民議会議長(95年)、ザキ観光相(95年、96年、97年)、ジャミール外相(98年、非公式)が訪日している。
(参考1) 主要経済指標等
- | 90年 | 95年 | 96年 | 97年 | |
人口(千人) | 218 | 253 | 256 | 256 | |
名目GNP | 総額(百万ドル) | 96 | 251 | 277 | 301 |
一人当たり(ドル) | 440 | 990 | 1,080 | 1,180 | |
経常収支(百万ドル) | 8.6 | -16.5 | 9.2 | - | |
財政収支(百万ルフィア) | -170.8 | -300.1 | -133.8 | -198.1 | |
消費者物価指数 | 100.0 | 165.0 | - | - | |
DSR(%) | 4.8 | 3.4 | 3.0 | 6.7 | |
対外債務残高(百万ドル) | 78.0 | 154.9 | 167.7 | 160.3 | |
為替レート(年平均、1米ドル=ルフィア) | 9.552 | 11.770 | 11.770 | 11.770 | |
分類(DAC/国連) | 後発開発途上国/LDC | ||||
面積(千平方キロメートル) | 0.3 |
(参考2)主要社会開発指標
- | 90年 | 最新年 | - | 90年 | 最新年 | |
出生時の平均余命(年) | - | 64(97年) | 乳児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
所得が1ドル/日以下の人口割合(%) | - | - | 5歳未満児死亡率 (1000人当たり人数) |
- | - | |
下位20%の所得又は消費割合(%) | - | - | 妊産婦死亡率 (10万人当たり人数) |
- | - | |
成人非識字率(%) | - | 7(95年) | 避妊法普及率 (15-49歳女性/%) |
- | - | |
初等教育純就学率(%) | - | - | 安全な水を享受しうる人口割合(%) | - | - | |
女子生徒比率(%) | 初等教育 | - | - | 森林面積 (1000平方キロメートル) |
- | - |
中等教育 | - | - |
(1) 我が国は、モルディヴとの伝統的友好関係、同国がLLDCである上に小規模島嶼国であることから生ずる開発ニーズが大きいこと等を考慮し、同国の経済社会開発及び民生の安定・向上に寄与する分野に対する無償資金協力及び技術協力を実施している。
(2) 無償資金協力については、食糧援助、学校建設等の教育分野や基礎生活分野に重点を置いた協力を行っているほか、防災等の環境分野、水産分野、更にLLDCであること等に考慮して基礎インフラ分野等に対する協力を実施している。また、文化無償資金も供与している。
技術協力に関しては、行政、通信・放送、人的資源等の分野での研修員受入れ及び青年海外協力隊派遣を中心に実施している。
(1) 我が国のODA実績
年 | 贈与 | 政府貸付 | 合計 | |||
無償資金協力 | 技術協力 | 計 | 支出総額 | 支出純額 | ||
94 95 96 97 98 |
10.30(80) 15.18(82) 7.26(72) 9.92(84) 10.06(76) |
2.56(20) 3.41(18) 2.87(28) 1.94(16) 3.14(24) |
12.86(100) 18.59(100) 10.12(100) 11.86(100) 13.20(100) |
- - - - - |
-(-) -(-) -(-) -(-) -(-) |
12.86(100) 18.59(100) 10.12(100) 11.86(100) 13.20(100) |
累計 | 127.22(-) | 29.12(-) | 156.29(-) | 2.77 | -0.27(-) | 156.02(100) |
(注)( )内は、ODA合計に占める各形態の割合(%)。
(2) DAC諸国・国際機関のODA実績(97年支出純額、単位:百万ドル)
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | うち日本 | 合計 |
95 96 97 |
日本 18.6 日本 10.1 日本 11.9 |
デンマーク 4.5 デンマーク 2.7 豪州 2.3 |
豪州 2.2 豪州 2.2 ノールウェー 1.6 |
ドイツ 2.0 英国 0.7 英国 0.4 |
ノールウェー 1.7 ニュージーランド 0.3 ニュージーランド 0.4 |
18.6 10.1 11.9 |
30.4 16.5 16.9 |
暦年 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | その他 | 合計 |
95 96 97 |
ADB 5.6 ADB 6.0 IDA 3.7 |
IDA 3.8 IDA 2.4 ADB 2.8 |
UNTA 1.8 UNICEF 0.7 UNDP 2.1 |
CEC 1.4 IFAD 0.7 UNTA 1.3 |
IFAD 0.9 UNDP 0.6 UNFPA 0.8 |
1.8 1.7 0.9 |
15.3 12.1 11.5 |
(3) 年度別・形態別実績
年度 | 有償資金協力 | 無償資金協力 | 技術協力 | ||
90年度までの累計 | なし |
90.47億円
(内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照) |
12.08億円
|
||
91 | なし |
10.84億円
社会教育基幹施設設立計画(2/2期) (4.07) |
2.79億円
|
||
92 | なし |
9.37億円
南部沿岸漁業振興計画(2/3期) (8.37) |
2.47億円
|
||
93 | なし |
10.78億円
地方環礁島電化計画 (5.88) |
2.32億円
|
||
94 | なし |
10.03億円
マレ島護岸建設計画(国債1/2) (8.56) |
2.13億円
|
||
95 | なし |
11.18億円
マレ島護岸建設計画(国債2/2) (4.80) |
3.15億円
|
||
96 | なし |
8.98億円
第2次マレ島護岸建設計画(国債1/2期) (4.00) |
2.51億円
|
||
97 | なし |
16.78億円
第二次マレ島護岸建設計画(国債2/2期) (7.48) |
2.68億円
|
||
98 |
なし |
13.15億円
食糧援助 (1.20) |
4.42億円
|
||
98年度までの累計 | なし | 181.06億円 |
34.53億円
|
(注)1. 「年度」の区分は、有償資金協力は交換公文締結日、無償資金協力及び技術協力は予算年度による。(ただし、96年度以降の実績については、当年度に閣議決定を行い、翌年5月末日までにE/N署名を行ったもの。)
2. 「金額」は、有償資金協力及び無償資金協力は交換公文ベース、技術協力はJICA経費実績ベースによる。
3. 73年度から90年度までの無償資金協力実績の内訳は、1997年版のODA白書参照、もしくはホームページ参照
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/jisseki/kuni/j_90sbefore/902-07.htm)
(参考1)98年度実施開発調査案件
案件名 |
マレ市廃棄物処理計画調査(第1年次) |
(参考2)98年度実施草の根無償資金協力案件
案件名 |
地方島小学校改善計画 |