2025年版開発協力白書 日本の国際協力

(3)日本のNGOとの連携

日本のNGOは、開発途上国・地域において、長期にわたる現地での活動経験を踏まえた地元関係者との良好な関係をベースに、各団体の専門性をいかしつつ、住民のニーズに寄り添ったきめ細かい支援を実施しています。また、NGOは自然災害などの有事に際して機動的に活動を展開する迅速性を有しています。

日本政府は、こうした「顔の見える協力」を行う日本のNGOを開発協力の戦略的パートナーと位置付け、NGOが行う開発協力事業に対する資金協力、NGOの能力向上に資する支援、NGOとの対話の3点を柱に連携を進めています(外務省ホームページの国際協力とNGO注6を参照)。

■NGOが行う事業に対する資金協力

日本のNGOが開発途上国・地域において、開発協力事業および緊急人道支援事業を円滑かつ効果的に実施できるように、日本政府は様々な協力を行っています。

(日本NGO連携無償資金協力)

日本から寄贈された中古の移動図書館車と南アフリカの子どもたち(日本NGO連携無償資金協力)(写真:特定非営利活動法人サペーシ・ジャパン)

日本から寄贈された中古の移動図書館車と南アフリカの子どもたち(日本NGO連携無償資金協力)(写真:特定非営利活動法人サペーシ・ジャパン)

日本政府は、日本NGO連携無償資金協力として、日本のNGOが開発途上国で実施する経済社会開発事業に対して資金を提供しています。事業は、保健・医療・衛生、農村開発、障害者支援、教育、防災、地雷・不発弾処理など、幅広い分野を対象にしています。この枠組みを通じて、2024年度は日本の53のNGOが、36か国・1地域において、102件、総額約67億円の事業を実施しました(イラクにおける取組については「案件紹介」を、ウガンダにおける取組については「案件紹介」を参照)。

(ジャパン・プラットフォーム(JPF))

ガザ地区の避難所で、配付された食料を受け取る親子(ジャパン・プラットフォーム(JPF))

ガザ地区の避難所で、配付された食料を受け取る親子(ジャパン・プラットフォーム(JPF))

モザンビークでサイクロンにより被災した保健施設の修繕が完了し、最終検査を行うピースウィンズ・ジャパンのスタッフ、州保健局職員および建設会社(JPFを通じた日本の緊急人道支援)(写真:ピースウィンズ・ジャパン)

モザンビークでサイクロンにより被災した保健施設の修繕が完了し、最終検査を行うピースウィンズ・ジャパンのスタッフ、州保健局職員および建設会社(JPFを通じた日本の緊急人道支援)(写真:ピースウィンズ・ジャパン)

ジャパン・プラットフォーム(JPF)用語解説は、日本のNGO、経済界および政府が協力し、NGOの緊急人道支援活動を支援・調整する連携の枠組みです。2025年12月時点で47のNGOが加盟しています。2024年度には、イラク、シリア、トルコ、レバノン、南スーダン、バングラデシュ、アフガニスタン、イエメン、ミャンマー、タイ、エチオピア、ウクライナ、エチオピア、ガザ地区、スーダン、モザンビークなどにおいて、16の災害や紛争被害に対する緊急人道支援のプログラムで106件の事業を実施しました。

(NGO事業補助金)

日本政府は、日本のNGOへの補助金交付事業を実施しています。対象となる事業は、開発協力事業の案件発掘・形成および事業実施後の評価を実施する「プロジェクト調査事業」、国内外において国際協力活動の拡大や深化に資する研修会や講習会などを実施する「国内における国際協力関連事業」および「海外における国際協力関連事業」の三つです。2024年度には、6団体の日本のNGOに対して、NGO事業補助金を交付し、プロジェクト形成調査、オンラインを含む国内外でのセミナーやワークショップなどの事業を実施しました。

(JICA・草の根技術協力事業)

コスタリカのポアス火山で、災害リスク管理や地域住民参加型の火山防災活動などを説明する日本人専門家

コスタリカのポアス火山で、災害リスク管理や地域住民参加型の火山防災活動などを説明する日本人専門家

モンゴルでの玉ねぎの品種改良による新ブランドの確立とフードバリューチェーンの構築(JICA・草の根技術協力事業)(写真:JICA)

モンゴルでの玉ねぎの品種改良による新ブランドの確立とフードバリューチェーンの構築(JICA・草の根技術協力事業)(写真:JICA)

草の根技術協力事業は、国際協力の意思のある日本のNGO/市民社会組織(CSO)、その他民間団体、地方公共団体、独立行政法人または学校が、開発途上国の住民を対象として、その地域の経済および社会の開発または復興に協力することを目的として行う国際協力活動です。団体が有する技術、知見、経験をいかして提案する活動を、JICAが提案団体に業務委託してJICAと団体の協力関係の下に実施する共同事業です(制度の詳細や応募の手続などは、JICAホームページ注7を参照)。草の根技術協力事業は約80か国を対象に、毎年180件程度を実施しています。

■NGOに対する活動環境整備支援

国際協力において、日本のNGOの組織体制や事業実施能力をさらに強化し、人材育成を図ることを目的として、外務省は以下の取組を行っています。

(NGO相談員制度)

外務省の委嘱を受けた全国各地の経験豊富なNGO団体が「NGO相談員」となり、市民やNGO関係者から寄せられるNGOの国際協力活動、NGOの設立、組織の管理・運営、開発教育の進め方などに関する質問や相談に答える事業です。2024年度は外務省の委嘱を受けた10団体が、5,500件以上の質問・相談に応対し、69件の出張サービス注8を行いました。

案件紹介14

ウガンダ一般公募

SDGs16 SDGs5

人道と開発をつなぎ、こどもを暴力から守る持続的な仕組み作り
日本NGO連携無償資金協力(2023年3月〜2026年6月)
アルア県における子どもの保護強化支援事業

ウガンダ北西部は1986年から20年以上続いた国内紛争などの影響により、基礎インフラや行政サービスが十分に機能していません。さらに、こどもに対する虐待やネグレクト注1、搾取、暴力などのリスクが高いものの、これらのリスクからこどもを守る仕組みが整っていません。

このような課題を受け、セーブ・ザ・チルドレンは、同地域で緊急人道支援を実施してきた経験をいかし、人道と開発をつなぐ取組として「子どもの保護」の仕組み強化に取り組んでいます。「子どもの保護」とは、こどもが虐待やネグレクト、搾取、暴力などの被害にあわないよう予防し、また被害にあった場合でも安心して支援を受けられるようにする活動です。本事業では、地域住民や行政と連携した持続的な仕組み作りを大切にしており、例えば、地域の社会福祉オフィサー13人およびパラ・ソーシャルワーカー注2726人に対して、こどもへの暴力を防ぎ、対応する力を高めるための研修や技術指導を行っています。また、アルア市警察内に設置した一時保護所では、1年間で98人のこどもを保護し、859件の相談を受け付け、被害を受けたこどもや家庭への支援を行いました。地域では延べ1万600人以上の住民に対し、暴力の予防やジェンダー平等に関する啓発活動を行いました。さらに、こどもグループを立ち上げ、こどもたちの声を政策に反映させる活動も推進しています。

グループに参加しているこどもは「以前は自分が大人に意見を言えるとは思っていませんでしたが、自分にも声を上げる権利があると学び、今は助けが必要なときに誰に伝えればよいか分かります」と話してくれました。日本は、引き続き人道支援の実績や知見を有するNGOと協力しながら、行政と地域が協働し、こどもが安心して成長できる仕組み作りに貢献していきます。

セーブ・ザ・チルドレンの日本人職員と一時保護所を運営するアルア市警察こども家庭保護課のスタッフ(写真:セーブ・ザ・チルドレン)

セーブ・ザ・チルドレンの日本人職員と一時保護所を運営するアルア市警察こども家庭保護課のスタッフ(写真:セーブ・ザ・チルドレン)

こどもを取り巻く環境について議論するアルア県こどもグループ(写真:セーブ・ザ・チルドレン)

こどもを取り巻く環境について議論するアルア県こどもグループ(写真:セーブ・ザ・チルドレン)

注1 こどもの心身の正常な発達に必要なケアを与えないこと。

注2 社会福祉制度が未発達または極めて逼迫している状況において、こどもや家庭を含む脆弱な立場にある人々のニーズに対応する準専門職スタッフまたはボランティア(多くは地域に根ざして活動する)人材。「Guidelines to strengthen the social service workforce for child protection」 9ページ https://www.unicef.org/media/53851/file/Guidelines%20to%20strengthen%20social%20service%20for%20child%20protection%202019.pdf

(NGOインターン・プログラム/NGOスタディ・プログラム)

外務省は、人材育成を通じた組織強化を目的として、NGOインターン・プログラムおよびNGOスタディ・プログラムを実施しています。NGOインターン・プログラムは、将来的に日本の国際協力NGOで活躍しうる若手人材の育成を目的としており、2024年度は、計7人がインターンとしてNGOに受け入れられました。

NGOスタディ・プログラムは、日本の国際協力NGOに所属する中堅職員が国内外で研修を受け、研修成果を所属団体や他のNGOに広く共有し、日本のNGO全体の能力強化に貢献することを目的としており、2024年度は11人が研修を受けました。

(NGO研究会)

NGOが自らの事業実施能力や専門性の向上を図るために行う研究活動を外務省が支援しています。各研究会では、NGOが直面する共通の課題をテーマとして、調査・研究、セミナー、ワークショップ、シンポジウムなどを行い、具体的な改善策を報告・提言することによって、組織や能力の強化を図ります。2024年度は、「NGOと企業のパートナーシップ 成立ちと現在から新しい開発協力大綱も踏まえた今後の在り方を考える」と「新しい開発協力大綱を踏まえた国際協力NGOのファンドレイジング力の強化と、国際協力NGOを取り巻くエコシステムの拡大戦略」の二つのテーマに関する研究会を実施しました。この活動の報告書や成果物は外務省のホームページ注9に掲載されています。

■NGOとの対話(NGO・外務省定期協議会およびNGO-JICA協議会)

NGO・外務省定期協議会用語解説は、2024年度は「全体会議」が6月に、各委員会の「連携推進委員会」が7月、12月および2025年3月に、「ODA政策協議会」が2024年7月、12月および2025年3月に開催され、活発な意見交換が行われました(NGO・外務省定期協議会の詳細および議事録などについては外務省ホームページ注10を参照)。

また、JICAは、NGOとJICAの対話と連携を目的とするNGO-JICA協議会を実施しています。2024年度は2回実施され、1回目は80名、2回目は75名が参加しました(NGO-JICA協議会の詳細および議事録などについてはJICAホームページ注11を参照)。

用語解説

ジャパン・プラットフォーム(JPF)
大規模災害時や紛争により大量の難民・避難民などが発生したときなどに日本のNGOによる迅速で効果的な緊急人道支援活動を支援・調整することを目的として、2000年にNGO、経済界、政府の連携によって設立された緊急人道支援組織。JPFは、日本政府から供与されたODA資金や企業・市民からの寄付金を活用して、大規模な災害が起きたときや、紛争により大量の難民・避難民等が発生したときなどに、生活物資の配布や生活再建などの緊急人道支援を実施する。
NGO・外務省定期協議会
NGOと外務省との連携強化や対話の促進を目的とし、ODAに関する情報共有やNGOとの連携の改善策などに関して定期的に意見交換する場として1996年に発足。全体会議、ODA政策協議会と連携推進委員会の二つの各委員会で構成。

  1. 注6 : 国際協力とNGO https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo.html
  2. 注7 : 草の根技術協力事業 https://www.jica.go.jp/partner/kusanone/index.html
  3. 注8 : 地方自治体や協力機関と協力し、国際協力関係のイベントなどにおいて相談業務や講演を行うサービス。
  4. 注9 : NGO研究会報告書 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/houkokusho/kenkyukai.html
  5. 注10 : NGO・外務省定期協議会 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/taiwa/kyougikai.html
  6. 注11 : NGOとの定期会合 https://www.jica.go.jp/partner/ngo_meeting/index.html
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