(4)地方自治体との連携
日本の地方自治体には、これまで地域住民向けの公共サービスを提供してきた経験から、上下水道、廃棄物処理、保健衛生・母子保健、社会福祉、農業普及、初等・中等教育、職業訓練、環境保全、公共交通といった公共サービス分野で、豊富なノウハウと人材が蓄積されています。日本政府は、同様の開発課題を抱える開発途上国のために、日本の地方自治体職員を専門家として派遣したり、無償資金協力案件の実施に地方自治体職員の関与を得るなど、地方自治体が有する技術・ノウハウを課題解決に役立てられるような開発協力に取り組んでいます。一例として、カンボジア・プノンペンでは、内戦の影響で壊滅的な状況にあった上水道施設が、北九州市上下水道局の1999年からの協力により、24時間、清潔な水道水にアクセスできる「プノンペンの奇跡」を実現しました。北九州市の協力は、地方都市にも広がりを見せ、現在は、全国の水道セクターを対象とした水道事業計画策定の協力が行われています。また、同市は公害克服の経験を、同様の問題を抱える開発途上国の都市にも役立てもらうべく、インドネシア・スラバヤ市において、生活排水対策事業を実施しています。
また、日本政府は、地方活性化や国際化の促進のため、地域の産業を含め、地方自治体の海外展開を積極的に推進しています。JICAは、意欲的な地方自治体のために、草の根技術協力事業に地域活性型を設けて、多様な分野で開発途上国への技術移転を地方自治体と共同で実施するなどしています。例えば、廃棄物分野では、鹿児島県大崎町の活動を通して、インドネシアにおいて分別・回収・処理によるごみ減量化に取り組みました。また、保健分野では、長野県駒ヶ根市の活動により、ネパールにおいて母子手帳を活用した医療従事者と地域保健ボランティアの連携強化や産前産後ケアの能力強化などに向けた人材育成が行われました。現在は、浜松市やさいたま市を始めとする地方自治体が、インドネシアやラオスにおいて上水道管理に関する技術協力を実施しています。
さらに、全国15か所に設置されているJICA国内拠点は、「地域と開発途上国の結節点」として、市民、NGO、地方自治体、民間企業などの多様なアクターとの連携を強化し、国際協力に関する情報提供など、地域の特色をいかした多様な事業を展開しています。また、JICAは、地方自治体や当該地域のNGOとのパイプ役として、国際協力推進員を地方自治体の関係機関に配置しており、2025年9月現在、47都道府県において様々な国際協力活動を推進しています。
