2024年版開発協力白書 日本の国際協力

(2)諸外国・国際機関との連携

■G7・G20における連携
G7プーリア・サミットで発言する岸田総理大臣(当時)(写真:内閣広報室)

G7プーリア・サミットで発言する岸田総理大臣(当時)(写真:内閣広報室)

G20リオデジャネイロ・サミットで発言する石破総理大臣(写真:内閣広報室)

G20リオデジャネイロ・サミットで発言する石破総理大臣(写真:内閣広報室)

G7においては、イタリア議長国の下、2024年6月、G7プーリア・サミットが開催されました。日本からは岸田総理大臣(当時)が出席し、「アフリカ、気候変動、開発」のセッションでは、アフリカとの協力に焦点を当てつつ、気候変動、開発やジェンダーを含む国際社会が直面する重要な課題への対応について議論しました。岸田総理大臣(当時)からは、G7グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)を始めとした取組をアフリカのニーズに沿う形で一層推進しつつ、G7各国の取組を連動させて相乗効果を発揮すべきであることを述べました。さらに、人間の尊厳や人間の安全保障を重視しつつ、SDGs達成に向けて引き続き注力することが重要と強調しました。また、国際開発金融機関(MDBs)注4の改革の進展を通じ、開発途上国に譲許性の高い開発資金注5を効果的に配分するなど、目に見える成果を示していきたい旨を述べました。同セッションでは、G7首脳はアフリカの声に寄り添いながら、気候変動や開発を始めとする諸課題への対応においてG7が一層緊密に連携していくことを確認しました。

10月、ペスカーラにおいて開催されたG7開発大臣会合には柘植(つげ)外務副大臣(当時)が出席し、ロシアによるウクライナ侵略や紛争、気候変動、自然災害等により重大な影響を受けている食料安全保障に関するG7としての対応や、世界のインフラ投資ギャップを埋めるべくPGIIの下で協力を進めることの重要性、また、グローバルヘルス・アーキテクチャー(GHA)の構築・強化、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向けた方策について議論が行われました。PGIIのセッションにおいて柘植外務副大臣(当時)からは、現在協力が進むPGIIに関するG7の取組が、パートナー国・地域にとって新たな成長の起爆剤となるとの見通しを述べ、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を始めとする国際ルール・基準を遵守し、透明で公正な開発金融を促進していくことが重要であることを強調しました。また、日本として、G7および様々なパートナーと連携し、質の高いインフラ投資の推進を通じて、引き続き各国の自立的な成長を強力に後押ししていく決意を改めて表明しました(質の高いインフラについては第Ⅲ部1(3)を参照)。さらに、同会合中、G7に加え関係国・地域や国際機関が参加する形で中東に関する人道会議が開催され、中東地域における事態のエスカレーションの回避、人道状況の改善の重要性について議論が行われました。

G20においては、7月にブラジルのリオデジャネイロにおいて、G20開発大臣会合およびG20飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス注6設立に関する閣僚級会合が開催され、日本からは穂坂外務大臣政務官(当時)が出席しました。開発大臣会合では、安全な水と衛生サービスへのアクセスの確保、気候変動、デジタル、ジェンダーなど幅広い分野における不平等への対処や三角協力注7について議論され、穂坂外務大臣政務官(当時)からは、日本は水・衛生分野における世界のトップドナーの一員として、質の高いインフラ整備や人材育成等幅広い支援を行ってきていることや、日本の取組を通じて、日本と多様なパートナーとの間での学び合いが生まれ、水と衛生へのアクセスの確保に向けた解決策が共創されていることを、具体例を交えながら紹介しました。また、不平等への対処に関し、日本はODAを開始してから70年の間、一貫して、質の高い教育の提供を始めとする人への投資を実践してきていることを紹介し、三角協力を含めて国際社会のパートナーによる協働を加速させることが不可欠なことを述べました。

11月のG20リオデジャネイロ・サミットには、日本から石破総理大臣が出席し、セッション1の「飢餓と貧困との闘い」では飢餓・貧困対策を中心とした開発課題について議論が行われました。また、本セッションに先立ち、「飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス」が創設され、日本からも参加を表明しました。石破総理大臣から、日本は人間の安全保障の理念の下、飢餓・貧困を撲滅し、誰もが人間の尊厳を持って幸福に生きられる豊かな社会を実現していきたい、そのためには、食料安全保障や持続可能で強靭(じん)な食料システムの構築という観点が重要であり、日本は、「飢餓と貧困に対するグローバル・アライアンス」にも積極的に貢献していくことを述べました。さらに、防災に関し、引き続きG20メンバーと共に、「仙台防災枠組」を着実に実施し、防災対策を強化することを述べました。セッション2の「グローバル・ガバナンス機構改革」に関し、MDBsの改革の重要性を述べた上で、開発途上国の債務に関しては、G20「共通枠組」における債務再編プロセスの迅速化や、債務透明性の一層の確保が必要であると述べました。また、日本は、中所得国の債務再編で新興債権国と協調した初の事例であるスリランカの債務再編を主導してきており、引き続き、開発途上国が直面する課題の解決に向け、必要な支援を行っていくことを述べました(債務問題への取組については第Ⅲ部1(4)を参照)。また、G20が国際協調を主導していくべき分野は多く、その役割は一層重要になっており、対立を超え、全ての国が責任を共有するグローバル・ガバナンスを構築していくことを呼びかけました。

■主要ドナー国等との連携

経済協力開発機構(OECD)加盟60周年に当たる2024年に、日本は10年ぶりにOECD閣僚理事会の議長国を務め、岸田総理大臣(当時)が議長国基調演説を行うとともに、「変化の流れの共創:持続可能で包摂的な成長に向けた客観的で高い信頼性に裏付けられたグローバルな議論の先導」のテーマの下、持続可能な開発を含むトピックについて、日本が議長国として議論を主導しました。持続可能な開発について取り上げた分科会では、上川外務大臣(当時)から、開発途上国の開発資金ニーズに応えるため、ODAを触媒とした民間資金の動員の重要性を指摘したほか、発展に必要な資金を安定的・持続的に確保できるよう、日本としてMDBsの改革にも積極的に貢献していることを述べました。加えて、OECDは持続可能な開発のために「共創」の考えの下、専門的知見や人材を総動員していくべきことを強調しました。

また、日本は主要ドナーとの間で対話を実施し、お互いの優先課題・政策について意見交換を行っています。2024年4月の日米首脳会談を踏まえ、5月、日米外交・開発戦略対話(次官級)を実施し、外交と開発の取組を通じて、国際社会が直面する諸課題への対応、グローバル・サウス諸国との関与強化に向けた日米間の連携について、戦略的観点から幅広く議論を行いました。

さらに、G7開発大臣会合に際し、柘植外務副大臣(当時)は、チリエッリ・イタリア外務・国際協力副大臣、コールマン米国国際開発庁(USAID)副長官(当時)、モアメド=ソアリヒ・フランス欧州・外務大臣付仏語圏・国際連携担当長官とそれぞれ会談を行い、G7を始めとする国際場裡(り)において連携を一層深めていくことを確認しました。さらに、G20開発大臣会合に際し、穂坂外務大臣政務官(当時)は、ヴィエイラ・ブラジル外務大臣、フッセン・カナダ国際開発大臣、モハイ南アフリカ計画・監視・評価副大臣と会談を行い、開発分野におけるG20の協力関係強化等について意見交換を行いました。

伝統的に開発協力を担ってきたOECD開発援助委員会(DAC)のメンバー国に加え、近年、中国、インド、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、ブラジル、南アフリカなどの新興国も開発途上国に対して支援を行い、開発課題に大きな影響力を持つようになっています。日本は、新興国を含む諸国とも連携し、これらの新興国から開発途上国に対する援助が効果的に促進されるよう、新興国への支援も行っています。2024年3月に行われた第16回日・印外相間戦略対話において、インドとの間で、開発分野での第三国協力に係る協議の場を設けることで合意しました。

開発協力を効果的・効率的に進めていくための取組として、ドナー国のみならず、開発途上国、国際機関、民間セクター、市民社会、地方公共団体等の様々な開発主体が一同に会して話し合う「効果的な開発協力に関するグローバル・パートナーシップ(GPEDC)」があります。日本は、2024年1月からGPEDCの運営委員を務め、開発協力において、オーナーシップの尊重、成果重視、幅広いパートナーシップ、援助の透明性・相互説明責任といったGPEDCの4原則が実践されるよう、引き続き各国と連携しています。

■国際機関との連携

日本は、様々な開発および人道上の課題や地球規模の課題に対応するため、国際機関との連携を進めています。上川外務大臣(当時)は2月に訪日したポープ国際移住機関(IOM)事務局長と会談したほか、3月に訪日したラザリーニ国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)事務局長、6月に訪日したキショー国連事務総長特別代表(防災担当)と会談を行い、岩屋外務大臣は、11月に訪日したグランディ国連難民高等弁務官と会談を行いました。

また、国際機関との連携による支援を円滑に進めるため、国連機関を始めとする主要な国際機関との対話も実施しています。2024年は、国連人口基金(UNFPA)、国連児童基金(UNICEF)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、赤十字国際委員会(ICRC)などとの定期的な政策対話を実施しました(IOMで働く日本人職員については「国際協力の現場から」を参照)。

■国際開発金融機関との連携

国際開発金融機関(MDBs)注8は、開発途上国の貧困削減や持続的な経済・社会的発展を支援する国際機関の総称です。パンデミックや気候変動等の国境を超える課題により貧困が深刻化し、不平等が拡大する中、世界銀行を始めとするMDBsにおいて、地球規模課題への対応強化に向けたMDBsの改革や、開発資金ニーズの増加に対応するための既存資本の活用(CAFレビュー)解説といった取組が進められています。

MDBsの機能強化に向けた改革の重要性については、2023年の日本議長国下のG7広島サミットに続き、2024年6月のG7プーリア・サミット、11月のG20リオデジャネイロ・サミットにおいても取り上げられ、MDBsの改革を進めることに対する支持が各国首脳からも表明されています。G20リオデジャネイロ首脳宣言では、「より良く、より大きく、より効果的なMDBsに向けたG20ロードマップ」が承認され、MDBsのSDGs達成に向けた進捗が加速化し、地球規模課題への対応能力が高まることが期待されます。

用語解説

CAFレビュー
国際開発金融機関(MDBs)の自己資本の十分性に関する枠組み(Capital Adequacy Framework)の独立レビュー。MDBsの既存資本を最大限活用するための方策を検討するG20の取組。2023年7月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議において、CAFレビューに関する進捗等を整理したロードマップが策定され、2024年4月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議において、同レビューの継続的な実施の重要性についての認識が共有された。

  1. 注4 : 用語解説を参照。
  2. 注5 : 第Ⅱ部2の冒頭部分を参照。
  3. 注6 : 飢餓と貧困の撲滅のための取組を支援し加速させるためのプラットフォーム。2024年11月のG20リオデジャネイロ・サミットにおいて設立された。日本を含む90か国、76機関等が参加している(2025年1月時点)。
  4. 注7 : 用語解説を参照。
  5. 注8 : 用語解説を参照。
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